【 特集!「四肢マヒ者の創作活動(その2)】
前回の146号(2014年4月)に続いて、創作活動の特集・第2弾です。もてる機能を駆使して多種多彩な創作をしておられる方々の創作品を、きっかけ作りや情報交換のためにご紹介させていただきます。
特集 写真を元に描画
連日、痛みと痺れ、排泄の不調に悩まされながら生活してます。手足が、多少は動くので「絵」を描いたり「パソコン」で遊んでいます。
お絵描きは、15年ほど前、地域で「アクリル絵具」を使って絵を描く集まりができ、参加して描き始めました。
昔から絵は好きでしたが、仕事が忙しく、描いている時間がありませんでした。描き始めた頃は、もう少し体調も良く、描く意欲もあったのですが、最近は、描くのがストレスになるときもあります。
月に2回の例会があり、当初は参加していましたが、最近は、体調が悪く、年に1回会費を納めに行く程度です。発表する機会は、年に1回は「グループ展」を開き、出品しています。
「秩父夜祭」
「花火」
「富士遠景」
「奇跡の一本松」(陸前高田市)
「白川郷」
同封しました絵は、かなり前に描いた絵です。それぞれ、元になった写真などから付け加えたりして描いたものです。
ヒロシ
特集 デジタル制作
絵を描くことは頸損受傷以前から好きで、落書き程度のイラストですが、よく書いてました。
頸損になってからは、パソコンで同様のことができないかいろいろ試してます。昨年 iPadを購入して、書き心地の良いタッチペンを見つけ描いてみた作品です。
●フリーソフト・Kerkythea(カキーシャ)で作成
その他にも3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)にも興味があり、ずっとやってみたいと思ってたんですが、いかんせんソフトが高価ですからなかなか手が伸びずにいました。
でもここ数年、フリーで高機能なCGソフトがいくつかでてきて、たまに趣味で作っております。マウス操作にハンデがありますので、トラックボールと、「できマウス。」という入力補助機器を使ってます(できマウス。https://dekimouse.org/wp/)。
作品を作るのに時間がかかるので、チマチマと作って、年賀状の図案なんかにして遊んでます。
匿名希望
特集 水彩画、気の向くままに
〈1〉どういう創作ですか?
植物や風景、建築物などの水彩画です。口に筆をくわえて描いています。
〈2〉はじめたきっかけは? 頻度は?
もともと絵を描くことが好きだったから。最近ではほとんど絵を描けていません。
〈3〉よかったことや気持ちの変化は?
自分が描いた絵を見ていただき、綺麗だとか凄いと言ってもらって、なくなりかけていた自信につながった。単純に絵をかくことが楽しかった。
〈4〉大変なことや工夫、便利グッズは?
細かな作業が難しいが、描ききった後、達成感があります。
〈5〉何か目標や挑戦したいことは?
海外で個展を開きたい。
〈6〉何かに発表する機会は?
地元の福祉祭りで個展を開催させていただいた。
〈7〉他に何かありましたら。
最近では全く描いていませんが、アート、芸術、ファッションに興味があります。
広報担当:土田 浩敬
特集 創作は、継続のその先に~
〈1〉どういう創作ですか?
絵画活動(油彩画)。メルヘン画、人物画、風景画など。
〈2〉はじめたきっかけは? 頻度は?
入院中のリハビリの一環として始めた後、
「口と足で描く芸術家協会」(http://www.mfpa.co.jp)と出会い、画家を目指す。
生活の中心を創作活動にして過ごすことになった。就労し、社会の中で自立していくきっかけとなった。
〈3〉よかったことや気持ちの変化は?
障害を負っても、人生に目標を見出したと同時に、就労のきっかけになった。
〈4〉大変なことや工夫、便利グッズは?
製作を継続するための体調管理・維持。
自分に一番あった道具を、試行錯誤しながら作っていくこと。
〈5〉何か目標や挑戦したいことは?
できるだけ、良質な絵を描いていきたい。
〈6〉何かに発表する機会は?
所属している協会主催の絵画展。他からの依頼される絵画展。画家仲間とのグループ展。
〈7〉他に何かありましたら。
受傷して以来、40年以上絵画活動を続けています。生活上の変化や体力の問題などいろんなことが起こりますが、結局、絵を描くことにまた戻っていきます。終わりなんてないのだなとつくづく感じています。一生のうち何枚、これが自分にとって最高の絵だという作品を描くことができるのでしょうか? そのために、描き続けているのかもしれませんね。
東京都:H.K.
特集 新たな目標
●フイルムカメラで撮影、望遠レンズで花火の中心を狙いました、まぐれです。花火は打ち上がってから、シャッターをきってもフイルムに残りません。
シュッパッと花火玉が筒から飛び出した瞬間、シャッターを開き、フイルムに写しこみます。
できあがりが予想付かないので、楽しい反面難しいです。
季節のイベントに出掛けることで行動範囲が広がりました。
夏が待ち遠しい。
●JR門司港駅前噴水広場
●遠くから漁船が、港に向かって帰っていました。
ところがシャッターチャンスが遅れて、
平凡な夕焼けの写真に。
●水族館。大きな魚に眼差しを向ける少女。
驚きが伝わってきますね。
水槽にへばり付いてしばらく動きませんでした
以前、2010年(No.126)のデジカメ撮影特集に、写真を投稿して10年近くなるのですね。撮影の腕は上達していませんが、何をするにも垣根を低くするという、自分に甘いのかな。私は長く楽しんでいける方法だと。
福岡県の障害者の芸術祭や退院した総合せき損センターの文化祭に、OT=作業療法士さんの勧めで、作品を発表する機会がありました。
今は100%デジカメで撮影しています。 今後の目標として写真展を開くためにパネル作りをしています。額に納めれば数十万円と掛かるので、30点ほどパネル作品が揃えば実行します。
福岡県:K.M.
特集 無になれる時間(2)
〈1〉どういう創作ですか?
絵(水彩とアクリル、ペン画)
〈2〉はじめたきっかけは? 頻度は?
はじめはリハビリの一つとして、自己流で絵を描き始めたのですが、障害者を対象とする絵画教室が近くであると紹介され、通うようになりました。
〈3〉よかったことや気持ちの変化は?
絵画教室のグループ展で描いたものを、人に見てもらえる機会があり、それが嬉しかった。
それによりもっとうまくなりたいという向上心が芽生え始めた。
〈4〉大変なことや工夫、便利グッズは?
手・腕が肩から上しか動かないので、そのままだと自分で描けないので、手首を自助具で固定し、そこに筆やペンを刺して描いている。机の上に置いた紙にしか描けない(キャンパスを立てかけて描いたりできない)。
また、動く範囲が限られているので、大きな絵を描くときには、何度も紙の位置を動かさなければならないので面倒くさい。
〈5〉何か目標や挑戦したいことは?
今まではグループ展しかやっていないので、一度、個展を開いてみたい。
以前は詩を書いていたので、また詩も書いてみたいし、詩と絵のコラボもしてみたい。
〈6〉何かに発表する機会は?
2年に一回のグループ展(今までで4回ぐらい)。
東京都:N.M.
特集 写真撮影
写真撮影の動機や方法については、113号に「車椅子に三脚のせて」という一文を掲載した。その後も改善を加えているが、なにせ取説を見ながらカメラをいじるということは至難の業で、いつまで経ってもうまくならない。車椅子にカメラを固定する方法も難しい。夏にした工夫は、冬になって着ぶくれするとフィットしなくなる。背中の痛みを押して撮影に行くのはつらいが、できのいいのをベッドの上に飾って来客の反応を楽しみにしている。
「順番待ち」
東京都:F川
特集 2つの『フラ・フラ』で心のバランスを保つ
2つの『フラ・フラ』とは、フラワーアレジメントとハワイアンフラダンス。前回の146号(その1)のときにも、フラワーアレジメントに関して投稿させていただいた。
それから、5年余りが経ち、2つとも継続できていることが何よりもうれしい。水泳も含め、偶然にもすべて同じくらいの時期からヒョンなきっかけがあり始めた。十数年……今の生活環境からいつまで続けられるかわからない部分はあるが、自分を表現できる趣味に出合えたことは四肢マヒ者にとって、幸運な有り難さを感じる。今は生活の中で、心のバランスを保つ重要で大切な役割を担っている。
月1回のお教室でも、コツコツと作品の数も167号までになった。全部プリントアウトをし、裏にそのときの花材の名前を書いてある。フラダンスは、習った曲が25曲を超えた。
とにかく、好きで充実感があり、楽しいのだ。フラのステージに立つ前は少し緊張するが、いざ踊り始めると自然と笑顔になれ、いつまでも踊っていたくなる。そして、花たちと向き合っている時間も同様だ。目の前に花があれば、いくらでも生けてアレジメントをしてみたくなる。花屋の店先を覗くのも好きである。つい花や鉢植えなどたくさん買いたくなってしまうが、自分で管理できる範囲内で我慢。枯れ花を飾っておくことが嫌なので。
もう少し指が動いたら……と思うが、これは仕方がない。フラダンスは、私が身体障害的に一番重度だが、なぜかずっとセンターで踊らせていただいている(ジャンケンではなく 笑)。手の動くメンバーが振り付けを踊り、私が曲の歌詞の意味など、表現力と笑顔でカバーしているような気がする。
目標と挑戦というより、夢はフラワーアレジメントに関しては、花屋一軒くらいの花を使って、ホテルのロビーに置いてあるような作品を作ってみたい。フラダンスは、本場ハワイに行って踊ってみたいということかな。
今回は、お花ではなくちょっと変わったところで、クリスマスリースの作品を何点かチョイスしてみました。よろしくお願いします。
編集担当:瀬出井 弘美