はがき通信ホームページへもどる No.146 2014.4.25.
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◆【特集!「四肢マヒ者の創作活動」】



 今号の特集は、もてる機能を駆使して多種多彩な創作をしておられる方々のご投稿を、情報交換やきっかけ作りのためにも創作物とともにご紹介させていただきます。

 [質問内容]
〈1〉どういう創作をされていますか?
〈2〉創作をはじめたきっかけは? 活動の頻度は?
〈3〉創作をされてよかったことは? 大変なことはありましたか?
〈4〉創作活動をされて気持ちの変化はありましたか?
〈5〉何かに発表する機会はありましたか?
〈6〉創作活動をされる工夫や便利グッズはありますか?
〈7〉他に何かありましたら。




 特集 無になれる時間 [水彩画・アクリル画] 

C5、受傷歴23年


〈1〉どういう創作ですか?
 絵を描くこと。
〈2〉はじめたきっかけは? 頻度は?
 最初はリハビリをかねて、自助具をつけて文字を書くことから始めて、その延長で絵を描くようになりました。
 初めのうちは自己流で描いていたのですが、5年ぐらい前から、地域のNPOが主催している、主に障害者を対象とした絵画教室に誘われて、参加しました。
 それから絵画教室の先生の指導も受け、本格的に描くようになりました。
 頻度は、絵画教室は月に2回程度。あとは自宅で、時間のあるときに(体調の悪いとき以外)描いています。
〈3〉よかったことは? 大変なことは?
 少しずつ上達しているのが実感できると嬉しいですし、一つの絵が完成したときに達成感を得られること。
 大変なことは:集中しないと描けないので、そんなに長い間は描いていられません。それと、描く姿勢が決まっているので(机の高さや、角度・距離など)、高さが調節できるオーバーテーブルや、ちょうど良い高さの机がないと描けません。
 手の動く範囲が限られるので、大きい絵が描けないのが難点です。
〈4〉気持ちの変化はありましたか?
 家で一人で描いているときよりも、外(絵画教室)に出て描くようになって、気持ちも前向きになった気がします。もっと絵がうまくなりたいという向上心も芽生えてきました。それで、美術館に行ったり、知り合いの個展に行くようになったりして、行動範囲も広がりました。
〈5〉何かに発表する機会は?
 絵画教室のグループ展が、過去に2回(2年に1回のペース)。他に、地域の展覧会のようなものに2度出しました。



 それと、障害者対象の展覧会にも、3度出しました。
〈6〉工夫や便利グッズは?
 食事用の自助具に、ペンや筆を差す金具(既製品)を装着して描いています。

   

〈7〉他に何かありましたら。(目標など)
 今のところ、先生から提示された物を描いていることが多いので(花や静物画など)、自分なりのモチーフを見つけて、自分にしか描けないような作品を描いて、いつか個展を開きたい、というのが今の目標です。
 絵はこの2〜3年で描いた絵の中から選びました。
 


※関連する原稿として、Mさんの詩が以前ご投稿いただいた「詩と自己紹介」127号(2011年2月)と「通所施設で機織り」135号(2012年6月)にそれぞれ掲載されています。

東京都:N.M.



 特集 こんなこと考えています[描画・俳句など] 


◇俳句・一陣の風

 きっかけは一陣の風花ふぶき

 起こされて起きるしあわせ春深し

 うららかな忘れ上手となりにけり

 がまぐちをぱちんと閉じて春の音

 門出とは良き花言葉スイートピー


〈1〉どういう創作ですか?
 俳句・絵を描く・なぞなぞや早口言葉を作る。
〈2〉はじめたきっかけは? 頻度は?
 絵はリハビリとして、好きで始めた。
 俳句はすすめられて句会に入会。
 退院の後、言葉遊びはコミュニケーション。


     「猫好きな人の人好きな猫」

〈3〉よかったことは? 大変なことは?
 認めてもらえるとうれしい。
 まだ知らない自分を発見したりもする。
 その上自分の小ささが身にしみて分かる。
 仲間ができる。


            「そら豆」

〈4〉気持ちの変化はありましたか?
 俳句は全肯定の文学。悲しみも苦しみも俳句にすると怖いものなし。でもしかし泣き虫でびくびくばかりしている。
〈5〉何かに発表する機会は?
 毎月句会に投句。
 絵の展示は不定期便。
 1991年に挿絵を施した句集『きつつき』を出版。
〈6〉工夫や便利グッズは?
 夢を見ることができる。
 本来は右利きだが、左手にペンなどをくくりつけて絵を描いている。
〈7〉他に何かありましたら。
 創作は成長のための手段。
 なにものにも感謝したくなる。
 創作したものはすぐ過去になりますから、これまでにない新しいものを作り出そうと無い知恵をしぼってはカクトウし、ひたすら一歩でも前に。ただ精進あるのみです。

熊本県:K.S.



 特集 障害者こそ自己表現を [油彩画] 


〈1〉どういう創作ですか?
 入院中のリハビリの一環から油彩画を始める。
〈2〉はじめたきっかけは? 頻度は?
 『口と足で描く画家の協会』を知人に知らされ協会の奨学給費制度を受ける。
 http://www.mfpa.co.jp/
 現在は、同協会:準会員として活動(文房具・商品用等のイラスト制作、絵画展示用作品制作)。
〈3〉よかったことは? 大変なことは?
 自己表現の楽しみ、作品を生み出すことの喜び。
 絵画制作を職業として就労できていることに感謝。


        「お出かけ日和」

 改めて構図の楽しさを思いました。

 大変なことは:職業絵描きとして意識を持ち、商業的な作品制作。


        「草原の音楽会」

 草原の風に音楽がのって〜。

 継続することの難しさ、大変さ。
 出張先での実演のため、体力・体調の維持。
〈4〉気持ちの変化はありましたか?
 生活全てにおいて前向きな思考(能動的)、目的のある生き方。
 目標を見出し、生活において潤滑油的な役割。
〈5〉何かに発表する機会は?
 市、県主催の公募展、所属する不定期な絵画展等 。
 障害を持ち同じように絵画制作する仲間とのグループ展。
〈6〉工夫や便利グッズは?
 ホームセンター等へ出かけ、繰り返し試行錯誤しながらオリジナルの道具を製作。
 要所によっては、装具制作所・近隣の工場へ依頼。
 YouTube動画にプロアマ絵描きのさまざまな制作過程を見ることができ、参考にする。
 絵を描く仲間同士で作品画像を送信し合い批評。
〈7〉他に何かありましたら。
 身体や心に障害・病を抱える人ほど何らかの形・方法を使ってより自らの気持ちや思いを素直に表現するべきだと信じています。
 創作・芸術は、人の心を癒やし、人との間に励ましや共感を共有します。
 日々の生活に在る美しさや不思議さを意識させ、感動を引き起します。
 そうした作用、力が芸術には在り、人が生きる上で重要な役割をもたらすのです。
 「はがき通信」の仲間でさまざまな創作作品の発表をする機会があることを願っています!

 ※関連する原稿として、モデルのM.Kさんが書かれた「Kさんと私と黒猫と犬」が138号(2012年12月)に掲載されています。



          「KAZAMI Ⅱ」

 2作目に挑戦。表情や手の表現が難しかった。



          「バースデー」

 誕生祝いの花をバックに決めポーズ。
 

東京都:H.K.



 特集 気晴らしに短歌 


 水底の 鯰のごとく 人前に
  出ることもなく 死んでゆきたし


〈1〉どういう創作ですか?
 短歌
〈2〉はじめたきっかけは? 頻度は?
 短歌に興味があったから
〈3〉よかったことは? 大変なことは?
 暇つぶし
〈4〉気持ちの変化はありましたか?
 気晴らしになる。
〈5〉何かに発表する機会は?
 新聞の歌壇

宮崎県:R.S.



 特集 透明水彩画のススメ 


〈1〉どういう創作ですか?
 水彩画(風景・動物・樹木)
〈2〉はじめたきっかけは? 頻度は?
 デイサービスで誘われた。
〈3〉よかったことは? 大変なことは?
 褒めてもらえる。
 目標(カレンダーの制作)がもてる。
〈4〉気持ちの変化はありましたか?
 まだ死ねない。
〈5〉何かに発表する機会は?
 あった。
〈6〉工夫や便利グッズは?
 場所をとらない。介助者に負担をかけない。
〈7〉他に何かありましたら。
 作品をスキャンしてPCに保存。


       「安芸の宮島大鳥居」


         「孤高のライオン」


         「真庭の醍醐桜」


 

広島県:Y.O.

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