No.176 2019.4.25
Page. 1 . 2 . 3 . 4 .


前ページへ戻る

 ざっくばらん 

 おもに前号(175号)に対する感想や提言などを述べる予定。みんな大いに語り合おうではないか。

◎床ずれを手術しました(新潟市:T.H.)
 床ずれもひどくなると治療に困難をきたすということがよく分かる。わたしは月に1回皮膚科の先生に往診を依頼している。訪問看護師が巻き爪だといっていた症状を見て、「これは真菌、水虫です」と即座に見抜いた。近所に専門医がいて往診してくれると安心。

◎ストーマの再手術(神奈川県:M.I.)
《摘便後は血圧が下がり、貧血が酷くなり起きられないほど辛い。》とあるが、どうしてそういう現象が起きるんでしょうね。わたしなんかベッドで排便後すぐにシャワーチェアに移って風呂に入るから今までに何百回も失神している。以前「乳酸菌で有形軟便」というレポートを投稿したが(164号)、さらにその後改善して、今では看護師が「スゴーイ!」という普通便を出せるようになった。60cm一本勝負! 腹の中はスッからかん。いろいろな工夫をしていまでは大分少なくなったが、失神したと見るや看護師が両足首を持って挙上、名前を呼び続ける。わたしは失神しているからなんともないが、看護師にとっては相当なストレスになるようだ。「塩分と水分」を取って血流量を増やすといい」と看護師。

◎徒然介護日記 (徳島県:M.R.)
 このひとには文才がある。これからも投稿してほしい。もっともヘルパーネタは面白いに決まっているのだが、何かとさしさわりがあって書けないのだ。受傷歴10年というのも記憶が薄れず、ヘルパーの数もちょうどいいころだろうか。

◎膀胱ろうカテーテルのズレ防止(札幌市:戸羽 吉則)
 《カテーテルをおなかに留めるテープは週2回の入浴後に貼り替えます。その際、カフが膀胱壁に引っかかって止まるところから目測で3cm程度カテーテルを奥に挿し込んでからおなかにテープ留めしてもらいます。》過反射対策だという。わたしは逆にカテーテルを挿入してからバルーンが止まるまで引っ張ってもらい、テープで留める。一度こんなことがあった。泌尿器科の医師がバルーンを入れたとたん、はげしい過反射とともに尿道から大出血を起こした。わたしのばあい失禁というものはまずないが、ベッド上には「2倍紙おむつ」と命名したものを敷いている。2枚のフラットをテープで貼り合わせて大きなものを作り失禁に備えているのだが、その2枚が真っ赤になるほど出血した。血尿ではない。ドロッとした血液だ。医者は謝りもせずそそくさと帰っていった。そこでわたしは考えた。長年の垂れ流しで膀胱が小さくなっているにちがいない。尿は50ccぐらいしか貯まらない。出血はカテーテルを入れすぎて内尿道口のほうへ行き、ぶつかって、あるいは狭い尿道に潜り込んで出血したのではないかと。以来カテーテルを入れたらバルーンが膀胱瘻に当たるぐらい引っ張ってもらうことにした。ときどき過反射があるが、そんなときはカテーテルの先が膀胱壁に当たっているものと想像し引っ張ってもらうと楽になる。

◎『臥龍窟日乗』-57-母の形見(千葉県:出口 臥龍)
 いやあドキドキした。《も一つ不思議だったのは、小学校に上がるまえの私と父が写った写真は、二人をことごとく剃刀(かみそり)で切り離してある。新聞紙をテープ状に切って、一枚一枚ていねいに写真の裏を貼り合わせてあった。自分は父の子じゃないのかと母に問い詰めたが、母は涙ぐんで否定した。》《辛い作業ではあるが、これはやはり作品として書き残しておくべきだろう。》出口さんは本物の文士になりつつある。「文士とは、駅前で素っ裸になることだ」と誰かが言っていた。

175号

keitan

 『臥龍窟日乗』-58- 文学座公演『寒花』 

 とかく〈お隣さん〉との付き合いは、ぎくしゃくしがちなもの。やれ植木の枝が進入してきただの、やれピアノの音がうるさいだの、いがみ合いはけっこう多い。
 私がまだ健常者だったころ、毎年のようにヨーロッパを回っていたが、国レベルでも隣となると諍(いさか)いが絶えない。
 フランス人はイギリス人を「あいつら田舎モンだから旨いものを知らない」とこき下ろすし、イギリス人はフランス人を「奴らは豚だからなんでも食いやがる」とけなす。
 フランスとドイツも犬猿の仲だ。ドイツはナポレオンに痛めつけられたし、フランスはナチスにこっぴどくやられている。
 意外なのがイタリアとドイツ。日独伊三国同盟で肩組みあった仲にもかかわらず、軽蔑し合う。同盟を最初に抜けたイタリアを、ドイツが「あのチキン野郎」と見下せば、イタリアはドイツを「キじるし集団」と嘲笑(あざわら)う。
 遠くの親戚より近くの他人という諺(ことわざ)もあるが、近くの他人であればこそ、いったんこじれれば骨肉の争いよりひどいことにもなる。
 ここちよい春風が首筋をつつむ三月の上旬、久しぶりに新宿に出た。紀伊国屋サザンシアターでは、劇団文学座が『寒花』を上演していた。寒花とは韓国で雪を意味するそうだ。

 明治42年(1909)10月26日、前韓国統監・伊藤博文がハルビン駅で暗殺された。射殺したのは大韓帝国の民族運動家・安重根(あんじゅんぐん)だった。
 舞台は旅順監獄の一室。壁面に貼った日の丸が日本統治時代を象徴している。明り取りの高窓の桟を縁どる雪が寒々しい。セットは椅子が数脚だけ。
 暗殺シーンや絞首刑シーンがあるわけじゃない。台詞の応酬だけでドラマは進行する。凹凸の少ない分、音響や照明がメリハリを利かせている。
 登場人物は安重根と、彼をとりまく典獄(監獄の長)、監獄医、朝鮮語通訳、外務省政務局長などだ。主役がだれかも判然としない。それぞれがおのれの立場でものを言う。台本がしっかりしているから理解できるが、伊藤博文暗殺事件を知らない世代には分かりにくいかもしれない。
 安重根は物静かな人物として登場する。無罪を主張したり、暗殺の正当性を叫んだりはしない。彼自身も脇役の一人にすぎないような扱いだ。白米の食事と喫煙を希望するが、それに怒りをぶつける看守と、国際法上、認めないわけにはいかないと主張する外務省政務局長のやりとりがおもしろい。

 筆者は本州最西端の下関で生まれ、小学校卒業まですごした。関釜連絡船の発着地だ。在日の人々も多く、同級生にも何人かいた。ケンカもよくしたし良からぬ遊びもした。親友の一人は在日だった。だから一般の日本人とは、心のスタンスがすこし異なるのかもしれない。
 安重根には若いころから関心があった。彼の伝記も何冊か読んだ。日本ではテロリスト、韓国では国民的英雄だ。
 ここから先は筆者による付け足しだが、実在の安重根はなかなかの人物だったようだ。キリスト教徒であった安重根を監視する旅順監獄の看守が、感化されてキリスト教に改宗した。揮毫(きごう)を看守に頼まれ、気軽に引き受けたりもしている。

『寒花』の初演は平成9年(1997)。日本人にお馴染みの金大中さんが新大統領になった年でもある。あれから20年以上もお蔵入りとなっていた作品だ。なぜ文学座はこの時機をえらんで『寒花』を再演したのだろうか。
 上演中にヤジの一つも飛ぶんじゃなかろうかと、じつははらはらしていた。筆者の後ろのほうで、韓国語の会話が聞こえていたものの騒ぎになることもなかった。戦後、日本が撤退してから、日本と韓国はときに緊迫し、ときに歩み寄った。昨今の緊張状態はかつてなかったほどだ。冷静に。冷静に。事実を公正に提示しようとする演出に好感が持てた。文学座の企画に拍手したい。

千葉県:出口 臥龍

 マスコミから 

 iPS細胞で難病ALS再現、治療薬に光 京大が治験へ 

 iPS細胞を使って、難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の状態を再現し、治療薬の候補を探す研究の結果、白血病の治療薬が有効な可能性が示されたとして、京都大のチームが治験を始める。治験は公的医療保険の適用を受けるために必要な手続きで、実用化をめざして動き出した。京大が26日、発表した。
 薬は慢性骨髄性白血病の治療薬「ボスチニブ」。1日1回、12週間にわたって口から飲む。京大病院など4カ所の医療機関で24人に実施する。発症後2年以内の20~79歳の患者で、症状は進行している一方、まだ働けたり、家事などができたりする人が対象になる。
 この薬は白血病の治療では、肝機能の悪化や下痢などの副作用が知られている。今回は主に安全性を検証しつつ、症状の改善の程度も調べる。
 ALSの患者は国内に約9千人。筋力が低下し、体を動かすことが徐々に難しくなっていく。進行を遅らせる薬はあるが、確立した治療法はない。

情報提供:平成31年3月27日 朝日新聞


 慢性期患者に応用、期待 脊髄損傷にiPS、慶大が臨床へ 

 iPS細胞を使い、脊髄(せきずい)損傷を治療する慶応大の臨床研究計画が18日、厚生労働省の部会で了承された。国内の患者は10万人以上とされる一方、リハビリ以外に治療法が確立されていない。今回の計画はiPS細胞を使った再生医療の中でも、実用化への期待が大きい。グループは損傷から時間がたつ慢性期の患者の治療を視野に、研究を進める。

 計画では、iPS細胞を神経のもとになる細胞に変化させ、「亜急性期」と呼ばれる損傷後2~4週間の患者4人に移植。損傷部から先の感覚や運動機能が失われた「完全まひ」という程度が最も重い患者で、神経の働きの回復を目指す。会見した岡野栄之教授は、秋ごろにも1例目の移植を行う意向を示した。リハビリと合わせ、1年かけて安全性と有効性を確認する。
 iPS細胞は腫瘍(しゅよう)化が懸念される。グループは安全性を優先し、移植する細胞数を少なめの200万個とする。また、腫瘍化を抑えるためGSIという化合物を用いて、事前にiPS細胞を処理する。他人由来のiPS細胞を使うため、拒絶反応を抑える免疫抑制剤を使う。
 一方、厚労省部会は、iPS細胞からつくった目の角膜の細胞を移植する、大阪大のチームの臨床研究計画は継続審査とした。

 ◇国内に10万人超
 脊髄損傷は毎年新たに5千人がなるとされるが、亜急性期は短く、半年程度で慢性期になる。このため患者の大半は慢性期だ。今回の臨床研究は亜急性期が対象だが、全国脊髄損傷者連合会の大浜真・代表理事は「亜急性期で安全性を確認し、できるだけ早く慢性期にも届く医療が生まれれば」と待望する。
 亜急性期をはじめ損傷から半年以内は回復の余地が大きいが、慢性期は治療が難しい。損傷部に瘢痕(はんこん)組織というかさぶたのようなものができ、移植を難しくする。神経の再生も妨げる。
 グループは、iPS細胞にGSIを加えると神経細胞の突起の伸びが大きくなることにも着目。瘢痕組織を除かなくても、そばに移植すれば神経再生が期待できるとして研究を進める。



 ただ、慢性期でも完全まひは治療の難易度が極めて高いという。「慢性期でも運動機能の一部が残る患者を対象に、2、3年後には臨床研究を始めたい」と中村雅也教授は話す。
 大日本住友製薬(大阪市)は、慶応大と連携して脊髄損傷の治療法開発に取り組む。木村徹取締役は、「臨床研究が始まることは大きな前進だ」としつつ「最終的には慢性期の製品化を目指している」と語る。製品化の時期は臨床研究の状況をみて判断したいという。(戸田政考、合田禄)

情報提供:平成31年2月19日 朝日新聞


 脊髄損傷治療に再生医療実用化 札幌医科大とニプロ 

 札幌医科大と医療器具大手「ニプロ」(大阪市)が共同開発した脊髄損傷に対する治療用の幹細胞「ステミラック」が、厚生労働省から製造販売の条件付き承認を受けた。脊髄損傷に対する細胞医療として初の実用化になり、今春から治療を開始する見込み。

 けがから31日以内の重症患者が対象。骨髄液を採取し、間葉系幹細胞を取り出して増殖させ、静脈に注射する。幹細胞が損傷した神経の再生を促し、知覚や運動機能が回復。リハビリ以外の有効な治療手段となることが期待されている。同様の治療で、脳梗塞やパーキンソン病などの神経疾患でも症状の改善が見込めるという。

 最大7年間の期限でリハビリのみの患者と回復を比較し、有効性が示されれば販売を継続できる。札医大の本望修教授は「慢性期の患者に対しても研究を継続したい。一人でも多くの患者を救いたい」と話した。

情報提供:平成31年1月8日 SankeiBiz


 車いすも3分でタクシー乗れます トヨタ、スロープ設置簡素に 

 トヨタ自動車は4日、車いすのまま乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシー「ジャパンタクシー」を改良し、スロープの設置作業を簡素にして3月に発売すると発表した。現行型は設置に時間がかかり、車いす利用者が乗車を拒否されるケースが相次いでいた。作業時間は半分以下の約3分になるという。
 開発責任者の粥川宏氏は「障害者や運転手の方に非常にご迷惑を掛けた。利用者とも連携し、もっと使いやすい車にしていきたい」と話した。現行型向けにも、改良型とは別に新設計したスロープなど対策品をタクシー会社に配る。作業は4分程度になるという。各地で運転手向けの講習会も開く予定だ。


 ●トヨタ自動車が改良して発売する「ジャパンタクシー」で、設置作業が簡素化されたスロープを使い乗車する車いすの利用者=名古屋市西区

情報提供:平成31年2月4日 共同通信


 木場に車いす利用者用セルフ型トレーニングジム /東京 

 木場に3月1日、車いす利用者用のセルフ型の会員制トレーニングジム「i-Self Workout for Wheelchair」(江東区木場2、TEL 03-5809-9390)がオープンする。経営は脊髄損傷者を対象に再び歩くことをサポートするトレーニングジムを運営するジェイ・ワークアウト(同)。


●自ら車いす利用者専用マシンのデモンストレーションを実施する伊佐さん

 同社の伊佐拓哲社長は学生相撲に打ち込んでいた2002年、事故で頚髄を損傷、現在も車いす生活を送っている。2007年に脊髄損傷者専門パーソナル型トレーニングジムを開設、フロアを拡大するため2015年に木場へ移転した。
 新たにオープンするジムは車いす利用者であれば誰でも利用でき、専属トレーナーの同伴も可能。車いすに乗ったまま、筋トレやストレッチ、有酸素運動などができる。マシンを使ってトレーニングすることで体幹部への効果も期待でき、日常生活での移動や動作への不安が軽減されるという。同社では専用マシン8台を導入、マシンの輸入販売ライセンスも取得している。
 元々、脊髄損傷者のための施設であり、車いす対応トイレや更衣スペースのほか、車いす用昇降機などのバリアフリー対策も講じている。
 営業時間は8時30分~19時。入会金5,000円、月額会費は平日限定6,800円、土日祝日限定7,800円、オールタイム1万円、ビジター1回2,000円(以上、税別)。

情報提供:平成31年3月1日 深川経済新聞



【編集後記】

 パソコン基本ソフトのウインドウズ7が、2020年1月14日にサポート終了しますのでお知らせです。終了後も使い続けることは可能ですが、セキュリティ更新プログラムの提供がなくなり、危険性が高くなります。  話は変わり、帯封「未納年数:3」の購読料の未納金額について、問い合わせがありました。購読料は2016年まで1000円、2017年から1500円です。そのため未納3年は4000円、2年は3000円の未納額になります。「はがき通信」は購読料で運営されており、どうかご確認の上、購読料のお支払いをお願い申し上げます。  次号の編集担当は、 さんです。

編集担当:藤田 忠


………………《編集担当》………………
◇ 瀬出井 弘美 (神奈川県)
◇ 藤田 忠   (福岡県) 
◇ 戸羽 吉則  (北海道) 
………………《広報担当》………………
◇ 土田 浩敬  (兵庫県) 

post_card_comm_14520@yahoo.co.jp

発行:九州障害者定期刊行物協会
〒812-0054 福岡市東区馬出2-2-18
TEL:092-753-9722 FAX:092-753-9723
E-mail:qsk@plum.ocn.ne.jp

このページの先頭へもどる


HOME ホームページ MAIL ご意見ご要望