特集 詩に想いをこめて[詩]
「幸せな音」
マウススティックを口にくわえて
「ピコピコピコピコ」
パソコンのキーボードを打っている
覚えの悪い年になったけれど
毎日、毎日、勉強中
窓の外に夕闇がせまる頃
疲れた身体を
車椅子からベッドへ移してもらう
やがて、台所から聞こえてくる
「とんとんとん」
「ガチャガチャガチャ」
包丁の軽やかな音
夕げの支度をしている音
ただそれだけなのに
幸せな音が心にしみとおる
「なみだ発、ふるさと行き」
身体の調子は良いですよ。
元気に過ごしています。
笑って
精一杯生きています。
それでも、辛くなったら
「ふるさと行き」列車に乗って
元気な子供のころに帰ります。
〈1〉どういう創作ですか?
詩を書いています。詩と言っても自分の障害に関わることが題材です。
〈2〉はじめたきっかけは? 頻度は?
1996年第2回NHKハート展を見に行って感動してから。障害者のことを少しでも分かってもらえばと言う気持ちから。
頻度は月に2篇程度創ります。
〈3〉よかったことは?
自分の障害や生き方を見つめることができる感じがします。
◇大変なことは?
内容が同じようなことばかりになってきます。
〈4〉気持ちの変化はありましたか?
過去ばかりふり返ることが多くなりマイナスなときと、気持ちを奮い立たせるプラスな部分もあります。
〈5〉何かに発表する機会は?
毎年募集されているNHKハート展に投稿しています。毎月更新している自分のHPにて掲載しています。
〈6〉工夫や便利グッズは?
心に感じたことをメモります。
熊本市:K.I.
特集 水彩画
「ハワイの夕陽」
〈1〉どういう創作ですか?
水彩画を描いています。
〈2〉はじめたきっかけは? 頻度は?
口で絵を描く人の絵を見て。
頻度は、年に1枚程度。
〈3〉よかったことは? 大変なことは?
絵を描いて自信になったこと。
大変なことは:首や肩の凝りが酷くなったこと。
〈4〉気持ちの変化はありましたか?
絵の深さが分かり、絵を描ける喜びを知った。
〈5〉何かに発表する機会は?
年1回の絵画展や講演会で披露しています。
「秋」
時間をかけて描き込みました。
〈6〉工夫や便利グッズは?
水彩用紙は磁石でとめ、筆を口にくわえて描くために長くしてパレットは立てて利用。
「夜桜」
想像の絵です。
「南の島」
沖縄旅行の思い出に描きました。
〈7〉他に何かありましたら。
描き溜めたら個展を開きたいと思っています。
横浜市:M.I.
特集 趣味と実益を兼ねたフラワーアレジメント
〈1〉どういう創作ですか?
フラワーアレジメント
〈2〉はじめたきっかけは? 頻度は?
受傷前、小原流の生け花を習っていました。フラワーアレジメントをやってみたいと思っていたところ、ひょんなきっかけから今の先生と巡り合うことができました。月1回のお教室です。その他、花の宅配サービスを利用して、自宅でも生けています。
〈3〉よかったことは? 大変なことは?
季節の花々を生けることはとても楽しいですし、花のある生活は、心も豊かにしてくれます。“忘痛法”にも役立っています。
大変なことは:特にありませんが、力がないため、オアシス(園芸用スポンジ)に花材によっては挿せない場合があり、そのときは先生にお手伝いいただいています。
〈4〉気持ちの変化はありましたか?
「今日はどんなお花かな」と思うだけで、何だかワクワクした気持ちになり、「どう生けようかな」と思っている時間が、充実していてとても楽しいです。
〈5〉何かに発表する機会は?
発表する機会はありませんが、主に玄関に飾っているので、来訪者(近所の方・訪看さん・ヘルパーさんなど)にほめていただけるとうれしいです。
●お正月に
それから、個人的にお祝いのときなどに作って、差し上げたりしています。
●秋の野に咲く自然の花のようにイメージして
●フラの先生へのお礼に
〈7〉他に何かありましたら。
習い始めて8年くらいになりますが、月1回のお教室なので、なかなか上達しません。でも、クリスマスリースを作り、お正月花を生けて玄関に飾ると1年が無事に終わり、「ああ、これで新年を迎えられるな」という、清々しいシャッキとした気持ちになります。
編集担当:瀬出井 弘美
特集 生きていく大きな支え[水彩画]
〈1〉どういう創作ですか?
花の絵を水彩絵の具で描いて、絵はがき、カレンダーを作成しています。
〈2〉はじめたきっかけは? 頻度は?
18年前、リハビリ目的で絵を描き始めました。
描き始めた当初は、毎日描いていましたが、今は、体調のこととか相談しながら、描けるときに描いています。
1枚描くのに、1ヶ月〜1ヶ月半のペースです。
退院後、入院中お世話になった医療ソーシャルワーカーの勧めで、絵はがきができました。16年前のことです。カレンダーの作成は、14年になりました。
カレンダーは年に1度作成し、販売の他に病院等へ届けさせていただいています。
〈3〉よかったことは? 大変なことは?
体の痛みや嫌なことを忘れさせてくれる、無心な時間を持てること。やさしい気持ちになれること。
絵はがき、カレンダーになったこと。
絵はがき、カレンダーの作成を始めた理由は、同じ障害を持たれた方のお役にたてたらいいな、ということでした。でも、内科疾患を始めいろんな病気で病んだ方、悩みを持たれた方、そうでない方まで、「ありがとう」の声をたくさんいただきます。嬉しいです。私まで元気が出ます。
カレンダーについては、それ以外の理由があります。1ヶ月のこん睡状態から覚めたとき、
「椿」真っ白い雪。"ぽとり"と赤い足跡がまた一つ……。
「アネモネ」撫でるように、やさしくやさしく通り過ぎる春の風。
私のベッドの上に腕時計とカレンダーがぶら下げてありました。どうしてか? と看護師さんに尋ねると、こう言われました。「入院されると不安になりますが、そのとき、時間と日にちが支えになるそうです。だから、時計とカレンダーは必要なんですよ」そのことがずっと頭にあって、私の絵がカレンダーになったら、季節感のない病室に、季節の花の絵のカレンダーを、ぜひ届けたいと思っていました。
「ひまわり」『元気になるよ』と毎日持って来たあなた、病室がひまわり畑になったよね。
「アメリカ楓」赤い葉っぱのコンチェルト。北風の指揮棒に揺られながら…。
カレンダー作成費用分、売れるかどうか毎年ドキドキします。お陰様でなんとかぎりぎり黒字で助かっています。続けられる限り続けたいと思っています。
〈4〉気持ちの変化はありましたか?
絵を描き始めたのは、入院中のリハビリ目的でした。それが今では、絵はがき、カレンダー、本の表紙、挿絵となりました。感謝です。
大きな収入はありませんが、私にとっていろんな意味での仕事だと思っています。
誰かに喜んでいただけることによって、自分の大きな力になって、私も元気をいただいています。
いろんなことで落ち込んだり、体調不良で絵を描くことができなくなるときがありますが、そこから救い出してくれるのも絵を描くことなんですよ。
描きたいのに描けない……でも来年のカレンダーが……とか、考えているうちに、ある日突然「頑張らなくては」という気持ちになって、描き始める。そして元気になる。私の生きていく大きな支えとなっています。
〈5〉何かに発表する機会は?
ギャラリー、病院等で、何回か個展を開かせていただきました。
1年間、「病院」という月刊誌の表紙になりました。
毎年「医療福祉総合ガイドブック」「日本医療ソーシャルワーク研究」の表紙、挿絵に使っていただいています。
〈6〉工夫や便利グッズは?
鉛筆や筆の自助具。両方とも手に固定します。固定するベルトなどに、鉛筆は鉛筆の滑り止めをくっつけて鉛筆を固定、筆はクリップをくっつけて筆を固定しています。どちらも左手につけますが、筆のときは筆先を安定させるために、右手を添えて支えます。
●いつも描いている、絵のセッティング。
自分1人で、色の調合ができるように、固形絵の具を使っています。絵の具、パレットの大きさも腕の可動域に合わせて、携帯用を使用。パレットは絵の具の蓋になっていて、つながっています。パレットから絵の具までの長さは、16.5cm×12cm、スケッチブックは、23cm×17cmです。
〈7〉他に何かありましたら。
ほんとうにたくさんの支えの中で、ここまで活動を続けることができました。
感謝の気持ちを忘れずに、これからも可能な限り頑張りたいと思います。
広島県:M.K.
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