はがき通信ホームページへもどる No.113 2008.9.25.
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<特集!「車いすの工夫あれこれ」>



 車いすは、私たちにとって大変重要なものです。身体の一部といっても過言ではないでしょう。皆さん“愛車”にはそれぞれのこだわり、身体機能レベル等に合わせた工夫を何かしらされているかと思います。109号の特集「車いすの工夫あれこれ」のご投稿と写真を引き続きご紹介させていただきます。
 なお、今までの特集(連絡方法・私の入浴・車いすの工夫あれこれ・私の常備薬・尿路管理・頸損と合併症・パソコン入力の工夫・暑さ対策)および連載特集の「介護する側、される側」は、次号で引き続きご投稿をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。




 <特集> 車椅子に三脚のせて 

C5損傷21年、59歳♂

 特に写真が好きというほうではなかったから、ケガをして写真が撮れなくなったときも悔しくてたまらないということはなかった。だいいちカメラはファインダーを覗(のぞ)いてピントを合わせシャッターを切らなければならない。そんなことできっこない。

 ◇デジカメと「どこでもカメラ」でスタート
 デジカメをテレビで宣伝しだしたのはいつごろのことだったか。CMを見るとカメラのうしろに大きな画面がついている。これならファインダーを覗(のぞ)く必要はない。ピントはカメラまかせのようだ。シャッターはレリーズを使えばなんとかなるだろう。レリーズというのはシャッターに付けるひも状のもので、先端を押すとシャッターが切れる。その程度のことしか知らないが、デジカメにもきっと付けられるにちがいない。
 2〜3万で買えるだろうと思ってヨドバシカメラに行った。レリーズの付けられるカメラはもっとずっと高かった。だがここで引き下がるわけにはいかない、おめおめ手ぶらで帰れるか、大枚をはたいて「ディマージュ」というのを買った。レリーズはキットカットにひもを付けたようなものだ。スイッチは例によってへこんでいやがるから、その場で発泡スチロールの切片をくっつけて凸式スイッチに変えた。それをマジックテープでひじかけの外側に固定、カメラを店員に持たせ、親指の付け根あたりで押した。シャッターを切る電子音がした。ケガをしてはじめて撮った写真は、その後わたしの妻となるひとの姿だ。
 つぎはカメラを眼前に固定する工夫。福祉機器に詳しい麸澤広報委員に尋ねると「どこでもカメラ」という物を教えてくれた(写真①=(有)岩田陽商会 http://www.iwata-you.co.jp/newpage5-3-1dokodemocamera.htm)。注文したら社長が茨城県から取り付けに来てくれた。商売になるのだろうか。2本の鉄パイプを組み合わせる。1本をひざの横あたりに垂直に立て、もう1本をその先端から枝のように伸ばし、枝先の雲台にカメラを固定する。一本あしの三脚といったところか。





 ◇キムタクが「カッケー」というからD80に
 この組合せでまずまずの写真が撮れた。しかし使っているうちに不満も出てくる。ズームができない。ひとにやってもらえばいいのだが、なるべくひとりでやりたいほうなのだ。地元の障害者でフイルムカメラをヘルパーに持たせてアゴでシャッターを押すというひとが話題になったことがある。展覧会にさそわれたがことわった。話を聞いただけで悲しくなってしまう。
 ズームリングに角が生えていればうしろからマウススティックで回せるのだが。旧知のOTに相談すると、円筒形の水道栓を回しにくいひとのための補助具を持ってきてくれた。円形のプラスチックで1ヶ所突起がついている。おあつらえむきだった。これでアップ、ロングともに自由自在。
 数年たつうち写真は趣味といえるまでになった。だが旅行に持ち歩いているうちカメラを落としてしまった。新しいのを買わなければならない。ちょうどそんなときニコンのテレビCMでキムタクがD80をさすりながら「カッケー」といっているのを見た妻がこれにしようといった。ミーハーなのだ。ヨン様が薦めてもこれがいいといっただろう。一眼レフというなにやら難しそうなカメラなので地元のカメラ屋で買うことにした。わからないときすぐ聞けるようにだ。ショーウィンドウにはD80とD40が並んでいた。D40のほうがずっと安いからこちらを注文して帰宅すると、追っかけカメラ屋から電話がありD40にはレリーズをつけられないがどうするかという。おまけにD80の店頭価格はレンズ抜きだというではないか。いちばん安いレンズをつけても、もはや趣味というより道楽といったほうがふさわしいような値段になる。だがここでテキに後ろは見せられない。
 そんな分不相応なものを買って使いこなせるのだろうかと心配しながら注文したが、はたせるかなその心配は受け渡しの日に現実のものとなった。店員がいろいろ初期設定してくれたD80を勇躍どこでもカメラに取り付けたはいいが、画面が出ない。電源を入れても黒いままだ。一眼レフとはそういうものだと店員は平然としていう。アタマが真っ白になった。ファインダーを覗(のぞ)かなくてもいいという前提でデジカメを始めたというのに。一瞬返品しようかなという思いがよぎったが、そんなことをしたら男がすたる。……見栄っ張りのくせに気が弱いのだ。


 ◇一眼レフの撮影に成功 
 さあその日から寝ても覚めてもこいつを使いこなす工夫に没頭した。宝の持ち腐れにするわけにいかないではないか。どこでもカメラの枝先につければどうにかカメラを顔に近づけることはできたが、調節がむつかしい。
 ネットも調べた。車椅子で写真を撮るための道具はいくつかあったが、みな手動車椅子用のものだ。リクライニングやティルトをしたら崩れてしまうことは画像を見ただけでわかる。世間のひとが「車椅子対応」というとき、それは小さなおばあちゃんを乗せてヘルパーが押していく車椅子のことなのだ。
 OTも熱心に取り組んでくれた。しかし提示された試作品は大きすぎた。軽くて取りつけの簡単なものがほしい。
 車椅子に三脚を取りつければいいのだと思いついたのは何がきっかけだったろう。両ひじかけの先端(片方はコントロール・ボックスだが)に板きれをわたしてマジックテープで固定し、その真ん中に三脚の脚の1本を立て、2本をひじかけに立てる。これができればファインダーを覗(のぞ)くことができる。さっそく手持ちの三脚で試してみたが、脚の開きが悪くて期待したところに届かない。脚を長くすればカメラの位置が高くなってしまう。どうしたらいいのか。考えだすと夜も眠れない。比喩(ひゆ)ではなくほんとうに眠れない。
 わたしは外出先で背中を除圧するためにプロ用の巨大な三脚を持参する。あるときその三脚の脚が1本いつもより広くひろがってしまった。一瞬故障かとあせったがそうではなく脚の付け根を操作するともとにもどった。高級な三脚はこんなことができるのかと感心した。ある夜それを思い出した。小型の三脚で脚の開きのいいのを手に入れればいいのだ。これだ! さあ脚をお開き、もっとお開き……ますます眠れない。
 幅4センチほどの板きれにマジックテープで加工をほどこし、ヨドバシカメラの三脚売り場へ行った。店員にこれこれこういうものがほしいといって出てきたのがちなみにベルボンPHD-31Qという三脚。接地部分を大きなマジックテープで包み、両ひじかけにも大きいのを貼り付け、三脚をおくと眼前にぴたりとファインダーがきた。前もって自分の車椅子をじゅうぶん観察してあった。リクライニングしてもティルトしても三脚の体勢は崩れない。ティルトすれば上方を撮ることができる。一眼レフ初撮影は、今は妻となったひとの姿だった。



 写真②:撮影の様子 ひじかけの外側に白く見える(矢印)のがレリーズのスイッチ



 写真③:ティルトして撮った桜

東京都:F川



 <特集> 手作りのウロガードカバー 


 100円ショップのクリアケースの上のフタ部分をカットする。デパート等でくれる紙袋に付いている硬めの取っ手部分をカット。それにフェルトのような布を貼り付けて補強(クリアケースと同色にして見栄えもよくする)し、それをクリアケースに取り付ける。これで「ウロガードカバー」の完成。
 右肘掛け下の車いすのフレームにS字フックで引っ掛けている。カットしたクリアケースの部分で手を切ることがないようにテープで保護し、ウロガードがケース底に落ちないように洗濯バサミで固定している。
 作業所の職員さんに作製してもらいました。




神奈川県:I



 <特集> スポンジを加工して問題解決 


 私の電動車イスのアームレスト(肘掛)のパイプが、左足太もも側面に1点集中で当たり、パイプに当たるところの太もも側面がパイプにそって凹んでしまいます。
 何か圧力を分散するモノや方法はないかとホームセンターに行くと、座布団の中に入れるスポンジ(縦横37㌢×高さ6㌢)を300円で見つけました。安価で加工がし易そうなので購入して、写真のようにカッターとハサミで加工しました。それからパイプと太ももの間に装着してからは太ももが凹むことはなくなり圧力が分散して問題解決しました。ただ安いだけあってスポンジの劣化もあり、弾力が徐々に無くなってきます。1度作ればずっと使えるということはなさそうです。




編集委員:藤田 忠



 <特集> ライトとスケートボードを装備 


 電動車いすは、インバーケア社 RANGER X 2GTRon3Gbase 使用。
ライトは、前後の左右に4個と後輪のそれぞれの空気入れノズルの横に計2個付けています。
 前後の左右4個の電球はLED(電球の種類)を使用(写真:前の左側・矢印)して、電源はバッテリーから取り、配線は業者に依頼しました。操作は、チンコントロールの横に付けたレバーでします。
 後輪の電球もLED(写真:矢印)で、電源はボタン電池3個使用。後輪が回転するなど振動感知して自動点灯するため、任意の切り替えはできない。取り付け方法は、業者任せで直接見えないので不明です。





 電動車いすの後ろにスケートボードを取り付けて、人を乗せて引っ張れるようにしています。本体のアームにワイヤーを固定金具にて取り付け、中央に丸いリングを金具にて固定して、スケートボードに付けたカラビナで、任意に取り外しを可能にしています。
 以前は、材料を東急ハンズで購入してそのまま取り付けも可能でしたが、現在は、知人のPTに補修などを依頼しているので、備品を購入したお店で相談してください。


   



 

神奈川県:M.I.



 <特集> ポンチョと携帯電話を工夫 


 「一般的な既製品の車いす用レインコートですと大きなリクライニング電動車いすでは足がぬれてしまう」と作業療法士に相談したところ、写真のように生地を付け足して足先までスッポリ被せられるように直してくれました。
 しかし、雨にはぬれなくなったものの頭のフードを被ると視界が悪くなり、顎のコントローラが操作しにくく危険なために現在はあまり使っていません。





 また、「電動車いすに乗っているときに携帯電話を使いたい」ということで、写真のようにコントローラのアームの部分にステーを取り付け、携帯をマジックテープで固定してあります。
 マウススティックによってメールを打ったり電話を掛けたりできます。ベッド上でも同じようにマウススティックで携帯を使えるようにしてあります。友人や介護者と連絡を取り合うのに携帯電話は必需品です。便利になりました。



 

広報委員:麸澤 孝

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