食事用自助具の作成に感謝
今年の春、10年以上前に知人作成のフォークとスプーンの食事用自助具が壊れて困っていたところ、自助具作成ボランティアグループの方に作成していただきました。
もう知人との接点がなく、自助具作成業者も知らないため、次はどこで作成したらいいのか分からずに困ってしまいました。業者の場合は2~3万かかることを想定し、自助具作成業者を探すのか、あるいはどこかの木工所に事情を話して注文するのか思案していました。
●壊れた古い自助具
その前に使える市販品がないかネットで探していて、どこかで見たことのある自助具の写真が見つかり、「NPO自助具の部屋」というウェブサイトにたどり着きました。
「NPO自助具の部屋」のウェブサイト(の一部)には、下記のように記載されています。
『1983年に読売新聞社の福祉教室(自助具作成)の受講者たちが会を創始して、大阪府肢体不自由者協会を拠点に「大肢協ボランティアグループ自助具の部屋」の活動を開始。2018年NPO法人化。
自助具の製作を主にして、展示・講習・講演・相談・情報提供などを全国的な規模で幅広く活動。30年余りの間に約4千点の自助具を作成して依頼者に提供。所在地は大阪市の「大阪府障がい者社会参加促進センター内」。
来所しての依頼が好ましいが、無理なら電話・FAX・メールにて作成依頼受付可能。相談日は月・水・金の10時~15時。製作の費用は材料費と送料。市販の自助具の製作や改造、住宅改造は不可。全国の自助具製作ボランティアグループの紹介など』
このような、今の言葉でいう“神グループ”があるなんて初めて知りました。一縷(いちる)の望みを託して、まず破損した前後の自助具の写真を添えて、メールと電話で相談しました。なにか会員制とか作成するには、条件があるかもと危惧(きぐ)していたらありませんでした。
あっさりフォークとスプーンの2つとも作成していただける、うれしい返事でした。壊れた自助具の事務所への送付をリクエストされましたが、現在使っているためできませんでした。何回かメールと電話にて、寸法、材質の一部を金属製にしたい希望などを打ち合わせし、作成に約1ヶ月かかるとのことでした。
首を長くして待っていると20日くらいで完成・発送メールが届き、次の日にフォークとスプーンの自助具が郵送されてきました。前モデルより、食事ごとに水洗いするためエポキシ樹脂で表面処理、指を引っかける棒が木製だと折れやすいために、アルミニウム製に改良していただきました。
実際に毎食ごとに使用したところ、前モデルと違和感がなく、とても使いやすく、耐久性もありそうで、私の想像以上の大満足の食事用自助具でした。
代金は、材料代として天ぷら刺身御膳ランチ位のビックリするくらいリーズナブルな金額+送料代510円でした。すぐに感謝の気持ちを込めて送付状に記載された口座に、ネットバンキングから送金させていただきました。
今回、私からの突然の申し出に快く応えられて、人件費や製作料はかからずに材料代(+送料)だけで作成していただき、おかげさまで自助具の困りごとが解決しました。「NPO自助具の部屋」の方々のご厚意には、ただただ感謝の気持ちしかありません。
●新たに作成してもらった自助具
自助具でお困りの方は、一度ご相談なさってはいかがでしょうか。
パッシブラジエーター
膀胱ろうからの尿もれと右足裏の褥瘡
171号の編集後記で、膀胱ろうからの尿もれについて触れたが、その後もピタリとは止まらずに続いている。4月のある日から突然、何の前触れもなくもれ始めた。
Kリハビリテーション病院の泌尿器科を受診し、バルンカテーテルの太さを20から22フレンチに変え、“ベシケア”という、膀胱の筋肉の過剰な収縮を抑える作用のある服薬を処方してもらった。それによって、もれる量はかなり減った。膀胱ろうをYカットガーゼで保護していたが、もれ始めてから膀胱ろうまで届く長めの尿とりパッドと、尿とりパッドに女性の“おりもの専用シート”を貼って対処している。その程度で何とか対処できる量だ。もれないときもある。寝ているときは、仰臥位が多いせいかもれない。もれによる皮膚トラブル予防のため、アズノール軟膏を膀胱ろう周辺に塗っている。
しかし、常にもれていないか気を遣わなくてはならず、まったくもれないほうが良いに決まっているので、他に何か方策はないか、結石の検査をしていただいているドクターの外来日に再度、Kリハビリテーション病院の泌尿器科を受診した。残念なことにドクターの回答は、「膀胱ろうのもれは仕方ないんだよね」だった。膀胱ろうを造り直したということも数例あるそうだが、またもれるというケースもあり、根本的な解決につながるおススメの方法ではないようだ。今は、ベシケアの量を、朝夕2回1錠2.5mgを5mgに増量して服用している。
原因は不明だが、長年の間(約30年近く)に膀胱容量も小さくなってしまっただろうし、膀胱の変形や膀胱内がどうなっているかもわからない。摂取する水分量や、姿勢も関係があると思う。水分の一気飲みをやめた。
そして、ここ2、3年、腹部まで入ってくる脚の筋肉がキュウーーっと収縮するような痙性が、強くなっていることも影響しているのかもしれない。
さて、次は、右足裏の褥瘡。もう5月下旬のお話だ。山のクラブで1泊でキャンプに行く朝、靴下を抜ぐと靴下の小指付近に血痕が……。「どこからの出血?!」調べると、右足の小指下あたりの足裏に傷を発見。こちらも、怪我をした原因は不明。でも、もう出血は止まり、かさぶた状態になっている。傷の大きさもたいしたことはない。急いでいたので、市販の“クイックパッド”を貼って出かけた。
貼りっぱなしで2日間……帰宅後に剥(は)がすと、パッドが浸出液を吸収して白くプヨプヨに。皮膚のほうもかさぶたは取れていないが、周囲の皮膚が白くふやけている感じに。初動処置が間違っていたのか、ここから悪化の一途(?)をたどるハメになる(苦笑)。いつのまにやらかさぶたが剥がれて、傷の中央に穴が開いてしまう。
訪問看護師さんが“イソジンシュガーパスタ”を持参して塗布し、ガーゼ保護してくれるが、一向に良くなってこない。さすがに「ヤバイ」と思い、近所の病院の皮膚科を6月半ばに受診。常勤医ではなく、外来も1週間に1度のみ。傷を洗ってもらい、“ゲーベンクリーム”が処方された。処方箋に……「左足(右足の間違え)、キズ」の文字を見たとき、私的にはもう褥瘡レベルだと思っているのに、頸損のことなど理解していない温度差をまたしても味わう結果にガックリ。
ゲーベンクリームは殺菌能力はあるが、悪い皮膚を溶かす作用がメイン。次の段階として肉を盛り上げる軟膏がほしかったが、それでも、アズノール軟膏レベルまで回復したところで、感染を起こしてしまう。足の甲の皮膚が赤くなり、熱感もありで、手持ちのゲンタシンに軟膏を変え、往診医の指示で抗生物質を数日服用。これを2度繰り返すことに。蜂窩織炎(ほうかしきえん)にまでなっていたかどうかはわからないが、幸いにも、熱まで出すことはなかった。若干だが、いつまでたっても侵出液が止まらない。
一進一退の状態のまま、もう8月だよと思っていたときに、神奈川リハビリテーション病院の整形外科(脊損の専門医)を予約外で受診。中央の白くプヨプヨしていた皮膚をチョッキンチョッキン。“プロスタンディン”軟膏が処方される。穴の深さは3mm程度。「2週間後にまた来なさい」と言われ、また不要な皮膚をチョッキンチョッキン。
ようやく、侵出液が茶褐色から黄色状になって、ガーゼに付くのも微量になり、完治しそうな目処が立ってきた。9月6日もKリハに行くが、最終受診になると思っている。
足は雑菌も多く、ひどい浮腫みや血流の悪さ、夏という季節も、治りの悪さに関係しているのだろう。とはいえ、若い頃は、ひどい火傷やひどい怪我も経験したが、さほどの危機感もなく、無頓着に遊び回っていた(どうやって治したのかさえ記憶がない 笑)。今回も最初は、「この程度の傷なんてすぐに治る」とたかをくくっていた。
3ヶ月を過ぎてやっと完治の見込みが見えてきたが、これも加齢や経年によるもの?? 私にとっては超久しぶりの褥瘡経験だったが、ケアがひとつでも増えるのは本当に面倒くさい。
余談(?)
上記に書いた脚の痙性だが、かつてKリハビリテーション病院で2度、痙性・拘縮除去を主目的に『神経アルコールブロック』の治療を受けた。
171号のKさんのように、バクロフェン持続髄注療法まで踏み切る勇気はまったくないので、『神経アルコールブロック』をまた……と思案中だったので、整形を受診の際、ドクターに尋ねてみたところ、「今はもう機器なくやっていない」ということだった。
痙性が入るとさらに痛く、寝ている姿勢のときが1番シンドイ。痙性止めを服用しても、1、2割効くかどうかだろう。服用する気はない。
痙性のためにモノをよく落とすし、書字にもモロに影響するので、本当に少しでもよいから和らいでくれて、安眠したいものだ。
編集担当:瀬出井 弘美
マスコミから
車いす搭乗、スムーズに 国が航空各社に設備義務づけへ
車いす利用者がスムーズに航空機に搭乗できるよう、国土交通省は10月から、航空各社に支援設備の完備を義務づける方針を決めた。昨年、車いすの男性がいったん搭乗を断られたり、腕の力でタラップの階段を上らされたりする事態が発生。東京五輪・パラリンピックを控え、バリアフリー対策が急務と判断した。
【障害者配慮に課題 車いす男性、自力でバニラ・エア搭乗】
昨年6月、大阪府の木島英登(ひでとう)さん(45)が車いすで関西空港から奄美行きのバニラ・エア便に乗ろうとした際、奄美空港には階段式のタラップがあることを理由に「歩けない人は乗れない」と搭乗カウンターで言われた。「同行者に手助けしてもらう」と伝え、同行者に担いでもらってタラップを降りた。だが帰りの便では同社委託の空港職員に規則違反だと止められ、車いすを降り、腕を使って自力で17段のタラップを3~4分かけて上がることを余儀なくされた。
こうした一連の対応を疑問視する声が上がり、国交省は対策を検討。バリアフリー法や航空法に基づく関連規定を改正し、障害者の搭乗に必要な設備や器具を備えるよう10月から各社に義務づけることにした。
支援設備は、車いすで地上から搭乗できるスロープやリフト、車いす利用者のリフター(昇降装置)つきのタラップのほか、簡易に準備可能なものとして、座った状態で係員に運んでもらう担架(アシストストレッチャー)などもある。
航空各社は現行の事業計画にこうした支援策を追記し、国交省の承認を得なければならなくなる。これまでは、ボーディングブリッジ(搭乗橋)を用いずに空港ターミナルから機内まで移動する場合に、障害者支援の国の規定はなかった。
「バリアフリー研究所」の代表も務める木島さんは「設備が充実するのはありがたい。併せて、係員の育成などソフト面のバリアフリーも進めてほしい」と語った。(伊藤嘉孝)
【バリアフリーに詳しい三星昭宏・近畿大名誉教授の話】
階段が必要な中小型機への搭乗は車いすの人には難しく、諦める人も多かった。支援設備の義務化は大きな一歩といえる。ただ、ルールの整備だけでは不十分で、現場スタッフが必要と感じた支援を柔軟に行える環境を醸成していくことがさらに必要だ。
(情報提供:2018年8月4日 朝日新聞デジタルヘッドライン)
【編集後記】
今年は冬が寒く、天候不順で気温の変動が大きかった春、梅雨時は毎年憂鬱(ゆううつ)だが、神奈川は6月に梅雨明けし、梅雨明けとともに猛烈な暑さが襲ってきた。長い長い恐ろしいほど酷暑の夏だった。
1年で一番好きな秋が今年はどうかな、過ごしやすい好季節が続くといいなと願いつつ……10月1日は真夏日だった。日本の四季が年々、体温調節が難しい頸損者につらいものになっていっているのは確かだろう。
そんな酷暑の夏を9月の広島懇親会参加を楽しみに、日々を過ごした。何か目標があったほうが頑張れる。何とか大きく体調をくずすことなく、懇親会の日を迎えた。Iさんと一緒の新幹線。今までに何度、新横浜駅から“のぞみ”に乗ったことだろう。
久留井さんからお聞きしてはいたが、広島駅は目を見張るほど様変わりしていた。ホテルは新幹口から直結と、利便性はバツグン! カープが優勝したばかりで、赤いユニフォーム姿の人たちを街中で多く見かけた。
懇親会の参加者は少なかったが、その分和気あいあいと和やかな時間を過ごさせていただけたことに感謝。全懇親会制覇の記録更新! 夕食レセプションでは、ハワイアンフラダンスも披露させていただいた。「はがき通信」の仲間に会えることは、本当に嬉しいことだと改めて思う。
ただひとつ……台風24号が追いかけるように、やって来ていた。このエピソードに関しては、次号をお楽しみに~? ある意味、忘れられない、思い出に残る懇親会となった。
171号のKさんの情報提供のご希望に対し、反響があったこともとても嬉しいことでした。まさに双方向の情報交換こそ、「はがき通信」の趣旨、編集担当者としての醍醐味(だいごみ)です。
次号の編集担当は、
さんです。
編集担当:瀬出井 弘美
………………《編集担当》………………
◇ 瀬出井 弘美 神奈川県 E-mail:
◇ 藤田 忠 福岡県 E-mail:
◇ 戸羽 吉則 北海道 E-mail:
………………《広報担当》………………
◇ 土田 浩敬 兵庫県 E-mail:
(2017年2月時点での連絡先です)
発行:九州障害者定期刊行物協会(2017年10月1日付移転)
〒812-0024 福岡市博多区綱場町1-17 福岡パーキングビル4階
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