No.187 2021/4/21
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 キシロカインゼリーもやもや、驚きのその後 

81歳、♂、C3-5、頸損歴32年

 コロナ禍で迎えた新年、いかがお過ごしでしょうか。早々から、ホームヘルパーさんたちも「鬱陶しいうっとうしい」を連発しながら、青いビニールの予防着にフェイスシールド姿での対応です。介護される身としては、コロナ患者になったような妙な感じです。

 さて、「はがき通信」183号で書きましたキシロカインゼリーの医療機関における医療保険適否の取り扱いについてのモヤモヤのその後を報告します。重複部分が多いですが、あしからず……。

 ○県後期高齢者医療広域連合との質問、応答(メールにて)

 ・社会保険診療報酬支払基金・審査の一般的取り扱いで、表面麻酔剤であり、疼痛を伴わない単なる潤滑油的使用で、麻酔の必要性がない場合は適用しない。が、すべての個別診療内容にかかる審査において、画一的、一律的に適用されるものではない。とされていること。

 ・ある医師会報では、社保・国保審査委員連絡委員会合議結果として、「摘便、高位浣腸については認める」と紹介されていること。

 ・自身、頸髄損傷後遺症による小・大腸機能障害があり、排泄ケアのため訪問看護ステーションを利用している。排泄時には浣腸、坐薬、摘便、指による腸管刺激などの腸管負荷により排便を促している。これを30数年間……キシロカインゼリーが疼痛緩和に不可欠な薬剤であることは容易に理解してもらえるであろうということ。

 この3点を主張して意見を求めました。
 ☆回答は、「審査委員会でも浣腸または座薬挿入時のキシロカインゼリーの使用は原則認めていないが、レセプト等に医師の所見等が記載されてあれば、個々の事例に応じて医学的判断のもと審査を行い、保険適用を判断している。」というものでした。

 ○医療機関への質問、回答

 診療に差し支えることを避けるために、前記の質問、応答内容を文書で提出し意見を求めました。
 ☆回答は、その後受診したときに、受診待ちの患者さんに気遣いながらの対面で、いろいろ議論しましたが、結局のところ次のようなものでした。『審査委員会で可となるか否となるか分からないギャンブルのようなことは(レセプトの所見記載)できない、当院の方針です』と審査委員会を信頼できないのか、審査委員会が形骸化しているのか、保険適用の判断以前の問題のようで、一層モヤモヤが強くなった気がします。

 コロナ禍が一刻でも早く収束することを祈りつつ……失礼します。ありがとうございました。

佐賀県:天邪鬼

介護保険先行に思うこと&モヤモヤhttps://www.normanet.ne.jp/~hagaki-t/pcc183a.html

 全員参加企画
『いいモノ見つけた!』 ~36~

【何かを挟んでどこかに固定する「両端クリップアーム」】




 ●どんなことに使えるの?
 自由に曲げられるアームの両端にクリップが付いており、いろいろなモノを挟んでいろいろな場所に固定して使用できます。例えば、写真のようにスマートフォンを挟んでベッドサイドの椅子に固定して動画を見たり、リモコンや霧吹きを挟んでサイドテーブルに固定して寝たまま操作したり。



 ●どこで手に入るの?
 100均にもあるとのことですが、写真は配達料金無料のyodobashi.comで購入したYazawa製です。この大クリップ+大クリップのほかにも、2本アームや大クリップ+小クリップの数タイプあります。どれも1,000円くらいでした。

紹介者:ガジェット警部

 マスコミから 

 ※在宅要介護者の同居人が、コロナ感染したときの自治体支援策の一例 

◆同居家族感染時の介護体制を整備

 介護が必要な家族と同居する人が新型コロナウイルスに感染した際に要介護者などの受け入れ先を確保するため、(山梨)県は、県内の病院に依頼して一時的に介護が受けられる体制を整備しました。
 (山梨)県によりますと、県内の要介護や要支援の認定を受けた人は昨年度の時点であわせて3万9685人で、こうした人たちと同居する家族が新型コロナウイルスに感染した場合などの受け入れ先の確保が課題になっていました。
 このため、県は県内の1つの病院に依頼し、要介護者などを2週間ほど受け入れられる体制を先月8日から整備しました。
 この病院では、感染防止対策のため一般の患者とエリアを分けて要介護者などを受け入れるベッドを3つ確保し、食事や入浴などの介助を行うということで、費用は市町村が負担するということです。
 対象となるのは、同居する家族などが感染して介護が受けられなくなったり、施設に入所中に感染し、退院後、人手不足などで施設に戻れない状態が続いたりする人で、市町村が1人では生活できないと判断した場合だということです。
 県健康長寿推進課は「家族の中に要介護者などがいる場合で万が一感染しても安心して治療に専念してほしい。身近な地域での受け入れ施設の確保が望ましいので、市町村でも体制を整えてもらいたい」と話してます。
 (情報提供:令和3年2月1日 NHK NEWS WEB)

 ◆同居家族のコロナ感染、在宅高齢者の生活支援 神戸市/堺市

 在宅生活をしている要介護高齢者・障害者の場合、同居する家族が新型コロナウイルスに感染すると、入院により介護者不在となり生活に支障を来したり、自身が濃厚接触者となるため訪問介護などの提供を断られたりする可能性がある。そうした事態への対応策を打ち出す自治体も出てきている。神戸市と堺市の事例を紹介する。

 ◇保養所を活用し最大10人受入れ 神戸市 無料の一時受入れ施設設置

 神戸市では、家族などの介護者が新型コロナウイルス感染で入院し、在宅での生活が困難となり、ショートステイなどの利用も困難な市内在住の高齢者・障害者を一時的に受け入れる拠点を設置した。要介護認定の有無に関係なく、他者のケアが必要な状態と判断されれば利用できる。
 受け入れを行うのは、北区にある「保養センターひよどり」(「しあわせの村」内)。最大で10人の受け入れが可能。期間は最大2週間を想定。受け入れ時は介護・看護の専門職が、介護保険が適用されないサービスとして24時間体制で生活を支援する。宿泊費、食費、サービス費用などは不要(個別におやつを購入など、特別対応をした場合は除く)。
 「ひよどりには、和室と洋室がありますが、高齢者には洋室を使用してもらうことを想定しています。完全個室でトイレもバリアフリーになっていますので、介護が必要な方でも安心して過ごせると思います」(神戸市福祉局高齢福祉課)

 ◇濃厚接触理由のケア拒否を防止 堺市 訪介事業者らに15万円給付

 堺市では、家族の感染により濃厚接触者となった高齢者・障害者が在宅生活を継続するための支援策「新型コロナウイルス感染症在宅ケア継続支援事業」を5月22日に開始した。
 具体的には、こうした高齢者にサービスを提供する訪問介護事業者などに対し、専門家による感染防止に関する指導実施や防護服などの物資支給といった支援を行う。また、要介護者1人に対して15万円の協力金を給付する。
 「要介護高齢者が濃厚接触者となった場合に、介護事業者から『感染リスクがあるので、サービス提供はできない』と断られる懸念があります。しかし認知症ケアなどを考えると、これまでの介護事業者に継続してサービスを提供もらうのが最善です。防護服の取り扱いなどを学んでもらうことで、サービスを継続提供できる環境を整えていきます」(長寿社会部地域包括ケア推進課)。
 また、現在要介護認定を受けていない、介護保険サービスを利用していない在宅高齢者に対して新規でサービス提供をする場合も対象となる。
 さらに、在宅生活が困難と判断される場合には、この支援策に加えて、市で借り上げた宿泊施設に移って介護サービスを受ける形で対応する。
 要介護者の負担は、介護保険・医療保険など各種保険の自己負担分を除き不要。
 (情報提供:令和2年6月8日 高齢者住宅新聞)

 ◆新型コロナ 在宅要介護者対策で都が独自助成

 東京都は、家族が新型コロナウイルスで陽性者や濃厚接触者となり、要介護者が自宅で一人になった場合に備え、「在宅要介護者の受入体制整備事業」を始めている。三定補正予算2億2040万円を投入し、都内の各自治体に1000万円を上限に助成する。昨年11月末から12月中旬までで、すでに15自治体から申請が来ているが、来年度も視野に都は整備を進めている。
 事業は、「在宅で高齢者を介護する家族等が新型コロナウイルス感染症に感染した場合や濃厚接触者に当たる場合等においても、要介護高齢者が住み慣れた地域で生活の継続ができ、感染した家族等が安心して療養に専念できる環境を整えるため、要介護高齢者が緊急一時的に利用できる受入施設の確保や介護職員等の配置など、受入体制を整備する区市町村を支援することにより、在宅で生活する要介護高齢者や家族等に対する新型コロナウイルス感染症への対策を講じることを目的とする」としている。

 受入れ先は、各自治体の判断によるが、特養や老健などの高齢者施設を都は想定している。現在、いくつか事例が挙がっているが、受入施設がない場合には、在宅にヘルパーを派遣するなど、柔軟な対応も視野に入れている。

 また、受入調整機関については、地域包括支援センターを想定しているが、医療機関や社会福祉法人など自治体によりさまざまな機関があり得る。流れのイメージ(図)は、陽性者となった家族が関わった病院や保健所が、区役所に連絡して家族状況を把握。その上で受入調整機関が受け入れ先につなぐという流れや、要介護者本人のケアマネジャーが区役所や地域包括に連絡して繋げるという流れが想定される。
 各自治体が介護事業者連絡会と調整するなど、行政と各機関との調整が要となりそうだが、事業の取り組みの好事例はまだなく、今後は都福祉保健局で事例を作表し、自治体の参考にしていく考えだ。

 取り残される要介護者の対策については、すでに都に要望書を提出していたケアマネジャーの後藤紀行さん(あ・むろケアプラン事務所管理者)は、「ようやく事業内容が把握できて安心している。自治体が積極的に手を挙げて欲しい。しかし、施設がなく在宅の介護となると、常時見守りが必要な認知症の方などは、細切れの訪問でなく、滞在型のケアが必要になると思う」とコメントしている。

 後藤さんは「在宅で一人取り残された利用者がいて困っている」という話を聞いた事がきっかけで、同じ危機感をもつケアマネら100名の署名を集め、「家族が陽性で隔離になり、自宅に取り残されてしまった要援護高齢者を一時保護する手立てを」として、小池百合子東京都知事宛に要望書を提出していた。
 (情報提供:令和3年1月13日 シルバー産業新聞)



【編集後記】

 今号は瀬出井の編集担当でしたが、急遽、ピンチヒッターで藤田忠さんに引き受けていただきました。というのも、同居する高齢の両親の入院等が重なり、いきなり一人暮らし状態に陥ってしまったためです。
 普段から何かあったらといろいろと考えてはいるものの、いざとならないと物事は進展しないものです。私は、一人っ子です。何とか生き延びて(?)いますが、頸損になってから最大のピンチが“年女”の還暦にやってきました。ここを何とか乗り切らなければなりませんが、コロナ禍の状況のなか、不安な気持ちでいっぱいです。
 加齢や頸損(四肢マヒ者)歴が長くなるにつれて家庭環境等の変化、身体的問題、ADLの低下等、誰でもがあり得ることです。「はがき通信」のスタッフは、全員、頸髄損傷者です。

 藤田忠さんと瀬出井は、20年以上、「はがき通信」の編集に携わってきました。おそらく、年6回発行を一度も休んだことがないはずです。私たちも歳を重ね、無理が利かなくなりました。正直なところ満身創痍状態です。「はがき通信」第一の生活はもうできません。
 この先、どうなるかわかりませんが、原稿集めも厳しいなか発行の延期もあり得ること、そしてまた最悪の場合、休刊でもやむなしと考えております。
 スタッフの実情をどうかご理解のうえ、ご了承いただけますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

 次号の編集担当は、藤田忠さんです。

編集担当:瀬出井 弘美


………………《編集担当》………………
◇ 瀬出井 弘美 (神奈川県)
◇ 藤田 忠   (福岡県) 
………………《広報担当》………………
◇ 土田 浩敬  (兵庫県) 

post_card_comm_14520@yahoo.co.jp

発行:九州障害者定期刊行物協会
〒812-0054 福岡市東区馬出2-2-18
TEL:092-753-9722 FAX:092-753-9723
E-mail:qsk@plum.ocn.ne.jp

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