No.177 2019/6/25
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 お久しぶりです。 

 「はがき通信」への投稿は、十数年ぶりでしょうか。毎回読ませていただいているのですが、もっぱら読む専門で、これまで何もご協力ができなかったこと申し訳ないです。「はがき通信」の発行に、ここまで携わって来られた皆様には頭が下がります。

 今回久しぶりに近況を投稿いたします。身体的には、訪問ヘルパーと訪問看護師のおかげで比較的安定はしていますが、ここ数年寒くなり空気が乾燥してくると、咳(せき)と痰(たん)が出ることがあって加湿器を使用するようになりました。また、ときおり膀胱ロウによる過反射が起こることがあります。最近は加齢による体力の衰えを感じていて、外出行事が続いたときなどは体調を崩すことがあり、できるだけ無理な外出は控えるようになりました。
 それと近い将来、ストーマ造設手術を検討しています。現在、排便は、訪問看護師により週2回ですが、時間がかかることとガスがたまりやすいことや、外出時の不安など以前から考えてはいたのですが、ここ数年の「はがき通信」に、ストーマ手術を行った諸先輩方からの寄稿にも刺激を受けています。当事者の生の声を知ることができる「はがき通信」は、とても貴重です。
 健康に気を付けていることは、1日2リットル以上の水分摂取と、しっかりと睡眠がとれるように就寝前に姿勢や体温調節など準備に工夫していることです。
 日々の活動は、NPO法人による移送サービス(福祉タクシー)や外出支援、交流企画などの運営とこれとは別に、鹿児島の自立生活センターで活動しています。
 これらの活動に加えて、他の視覚障害、精神障害、ボランティアやヘルパー関係者など多くの人と関わっています。毎日多くの人と関わっていると時に気苦労から疲れたり、ストレスになることもありますが、それ以上に私にとっては前向きな刺激を受ける方が大きくて、自身の成長へとつながっています。
 まだ若かったころ(笑)、「はがき通信」との出会いをきっかけに全国の当事者とつながりができたように、特に最近になって出会いの重要性をつくづく感じています。現在の私の日常生活を築いていけているのも、これまでの多くの方との御縁によるものです。

鹿児島県:R.G.

 二度目の心臓弁膜症手術 

63歳、C-4、頸損歴、35年

 一度目の手術は、11年前の51歳のときであった。手術時間は7.5時間で、術後2ケ月にて退院できた。
 しかしながら、今回は年齢のせいもあるのか? そんなわけにはいかない。二度目の手術は臓器の癒着もあり、14時間半かかった。
 初めて記憶があるのは、術後10日目を過ぎてからであった。すでに、気管切開されていた。声がまったく出ないので、言いたいことがまったく伝わらない。コミュニケーションの大切さがわかった。
 それからは心臓のことより、人工呼吸器脱却に向けての治療がメインとなった。自発呼吸ができたので、人工呼吸器の脱却は比較的容易にできた。
 当然、そのまま順調にいくだろうと思ったが、そうはいかない。一番苦労したのは、気管切開した咽(のど)をふさぐときである。痰が予想以上に出たので、なかなか咽が閉じられない。退院まで2ケ月強のときを要した。
 ヘルパーは喉からの吸引ができないため、閉じられないと自宅には帰れないと聞いていたので慌てた。ここから人生において、最も頑張ったときかもしれない。呼吸訓練から廃痰訓練まで、やれることはなんでもやった。
 現在、退院から2ケ月が過ぎたが、車椅子での座位が長時間とれない、痰がからむ、声が出しにくい、ろれつがまわらない、などの症状があり万全ではないが、徐々に回復していると思う。もう少し時間がかかりそうだ。

広島県:Y.O.

 受傷後17年でも身体の使い方は上達する 

50代、男性、受傷後17年、C5/6

 私の麻痺には左右差があります。右腕は肘の伸展と手首の背屈が可能ですが、左腕は不可能です。タイピングとマウス操作は右手だけ、左手はトラックボール操作だけです。この右手中心の暮らしが左右差を助長します。車いす座位では左肩が大きく下がっています。左脇腹が縮んでいるように見えます。
 まったく汗をかけない私には、顔に霧を吹きかけるクーリングが不可欠です。いろいろな霧吹きを試しましたが自分の手で操作できるものはなく、介護者に頼むしかありませんでした。唯一の家人である妻は、11年間、私の電動ベッドの横で寝ていました。
 5年前、ベッドサイドのナイトテーブルに霧吹きを固定し、右手の手刀でレバーを押す方法を思いつきました。霧吹きを固定するという発想と「両端クリップアーム」という便利グッズのおかげで、妻は別室で寝られるようになりました。自分の努力により介護の量を減らせることは、介護される側にとって大きな喜びです。
 昼間は電動車いすを使っているので、壁に固定した霧吹きを使います。右45度で壁に近づきフットレストがぶつかる寸前で止まると、霧が顔に当たるようセットされた霧吹きのノズルは肩の高さ、レバーはその少し下です。右手の掌(てのひら)を壁に向け、小指の付け根でレバーを押します。
 去年の夏に、左手でレバーを押すという目標を立てました。左手をレバーに届かせるためには、肘を伸ばさなければなりません。使えない三頭筋を鍛えるために、屈筋を鍛えれば伸筋も鍛えられるという相反作用を当てにして、左右交互の屈伸運動を続けました。
 1か月前に左手でレバーを押すことができました。レバーまでの左手の軌道も、レバーを押す左腕の動きも右とは異なります。左右で異なる運動をしているので、見た目の左右差は拡大しているように感じます。それでも、できなかった身体操作ができるようになることは、身体障害者にとってこの上ない喜びです。
 階段を1段でも上ると、それまで見えなかったものが見えることもあります。新たな目標と、そこに至るまでの道筋が浮かび上がります。この心地よい好循環を感じることが四肢マヒ者には必要です。受傷後17年でも身体の使い方は上達します。左手レバー押しは代数の問題を幾何で解いたようなものですが、それでも構いません。
 身体操作に限らず、趣味の領域にも通じるものがあるはずです。これからも数年に一度は好循環を感じることができるよう、生活を組立てたいと思います。

茨城県:DRY

 大切なひと 

60歳・C5・完全マヒ

 5月の中旬だが九州は連日、夏日を更新中。内陸部では30°真夏日に達した地球が壊れていく……。政治家は未来の子供たち、若者に借金を残し、固執した政権が続く日本も壊れていく……。
 暖かくなってくれば、体調も上向きにと期待していたが一進一退の毎日、ふーっとため息。ストレス解消には、作り笑いでも好いと聴いて口角を上げてみるが、抜け毛は減らない。私の最強のヘルパーさん曰く「誰もKさんのハゲた頭など見ていないから大丈夫よ、それにストレスが抜け毛の原因じゃなく毛根の老化でしょう」悩みは解決、脱毛予防のシャンプーは浴室から消えた。
 18年になります、週に5日、日に5~7時間世話になってきたヘルパーさん。厳しいが、彼女がいなければここまで生きては来られなかっただろう、考える力も衰えてきたそれ以上に心が弱い私だ。
 息苦しくて激痛が襲う日がある。「デイサービス休むかな風呂も……死にそうだ~」
 ヘルパー「頑張って車椅子に移動してみたら。ベッドの上で死ぬのも車椅子の上で死ぬのも一緒」
 「そうだなぁ……」風呂に入ると嘘のように痛みが消えた。

 2006年8月、山中伸弥京大教授が万能細胞の一種、幹細胞と同様に増殖して各種の細胞へと分化することが可能な細胞を樹立。そして、現代各分野で明るい医術の発展、臨床研究が行なわれるようになりました。※血液や皮膚の細胞からつくることができる万能細胞。無限に増やせ、体のさまざまな細胞になれる。人の組織に変えて移植する「再生医療」※【新聞から引用】
 脊髄損傷の急性期の患者さんに有効な、神経細胞などの再生医療の記事を読みました。数年先には、慢性期の頸椎損傷者にも臨床研究が行なわれると……苦しむ患者さんのために、日々研究、尽力をされている方たちに感謝ですね。
 過去に臨床研究のデータの改ざんによって新薬の登用、有効な治療方など、協力者がいながらも手続きが困難になっている今日、純粋と神聖を貫く医術を。ヒポクラテスの宣誓をパクリました。ごめんなさい。
 ≪ヒポクラテスの誓い≫古代ギリシャの医師ヒポクラテスの教えを受け継いだ者たちが、編さんしたと言われている医師の職業的倫理を記した宣誓文です。金銭的報酬や名声のために医療を施すことを戒め、何よりも人命を尊重する、現代の医師たちも模範とすべき倫理規定。
 2500年前の医者“ヒポクラテス”の言葉
 ・まず何よりも害をなすなかれ
 ・すべての病気は腸から始まる
 ・歩くことは人間にとって最良の薬である
 ・満腹が原因の病気は空腹によって治る
 ・人は自然から遠ざかるほど病気に近づく
 ・病気は食事療法と運動によって治療できる
 ・筋肉を充分に使っている人は病気にかかりにくく、いつまでも若々しい
 ・心に起きることはすべて体に影響し、体に起きることもまた心に影響する~……。

福岡県:K.M.

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