この夏の肌トラブルと膀胱ろうの剃毛
頸損は、通常汗はかかない(かけない?)が、それでも夏の暑い季節はどうしてもムレる。私の場合、室内・外出用とも車いすのクッションが“エア系”なので、なおさらだ。外出後にロホクッションのカバーを外したことがあるが、セルとセルの間に水が溜まっていて、「尿モレ!?」と勘違いしたくらいだ。知覚がないのでわからないが、考えると恐ろしいくらいお尻はムレムレなのだ。 皆さんは、ムレ対策は何かしていらっしゃいますか? 私は特別なことは何もしておらず、外出後などにお尻拭きシートで陰部や臀部(でんぶ)を拭く、寝るときに仰臥位のときは、足を開脚する程度。 肌トラブルも起こしやすいシーズンで、バルンカテーテルが肌に接触する部分に小さな軟らかい素材のタオルを挟み、人工肛門のパウチには不織布(ふしょくふ)のガーゼを挟んでいる。身体の前面は自分でも拭けるので、肌の具合をチェックしながら、市販のウェットタオルで拭いている。 2、3年前、股ズレから水疱(すいほう)をよくつくっていた。小さな水疱は常備している“マルチフィックス”というフィルム材を貼り、水疱の中身が吸収されると、かさぶたになってポロリと取れる。今年は一度も股ズレ水疱はつくらなかったが、何だかよく訳のわからない湿疹がアチコチにできた(今はニャンコもいるので)。おかげさまで悪化はしなかった(左足首のひとつだけ水疱に……)が、痕(あと)はまだまだ残っている。 もうひとつ、この夏最大の肌トラブルは、膀胱ろう内とその周辺。 自宅で入浴中、膀胱ろうを見ると、膀胱ろう内から赤黒い肉芽のようなものが飛び出し、膀胱ろう周辺の皮膚が固くしこり、皮膚の色も赤みを帯びている。触ると痛い。 昨日まで全然気がつかなかった。ちょうど、入浴後にパウチ交換で訪問看護師さんが入る日で、「すぐに診てもらったほうがいい」という判断のもと、往診医のクリニックに電話。緊急ですぐに診ていただき、切開して膿(うみ)(もちろん無麻酔)を出していただいた。 ドクター曰く……「何かの傷が菌に感染したのでしょう」ということだった。抗生物質が1週間処方された。その後の往診時でも、まだ膀胱ろう内が腫れていたので切開していただいたが、出血のみだったからか“肉芽”と判断されたようで、ステロイドの入った軟膏(リンデロン)を塗り、様子を診ることになった。 往診医の診ている患者の膀胱ろうの人では、このようなことは初めてだったようである。私にしてみても、受傷30年近くにして初めての経験だ。「できたところの皮膚は弱くなっているのでまたなるかも」の言葉に、もうならないように願うばかりの心境……。 こちらもおかげさまで悪化はせず、ほぼ完治。それにしても経年とともに、今までにはなかったことが次々と起こるものだ。 そして、訪問看護師さんと話になり……「膀胱ろうの剃毛(ていもう)は必要なのか? 考えてみると、感染する数日前に剃毛してもらっている(それが原因かどうかはまったくわからないのだが)。私は、膀胱ろう内にも2本くらい毛が生えている。剃毛は、今は2週間に1度、訪問看護師さんにテープを貼る範囲まで剃(そ)ってもらっている。往診医も「剃毛は不要」派。膀胱ろう内の毛は、ピンセットで立たせてハサミでカットしている。 今さらながら、皆さんは、膀胱ろうの剃毛はどうされていますか? 私的には、剃毛は必要と考えている。カットしないと、ろうを保護しているガーゼのテープが陰毛に張りつくことになるし、初めて膀胱結石のオペをKリハで内視鏡でしたとき、“陰毛”が膀胱内に入り込んでいるのをモニターを通して、実際に見ているからだ。陰毛が「核」になって、結石を作る可能性はある。 10月に、Kリハの泌尿器科にまた検査受診するので、訪問看護師さんも聞いてみてと言うので、ドクターにお聞きしてみようと思っている(今回の感染の件も含めて)。 編集担当:瀬出井 弘美
電車に乗る日常
梅雨は、直接的な害を僕に与える。それは雨なのだが、車利用で言えば乗り降りで困る。移乗と車いすの出し入れ、これだけでも全身ずぶぬれとなる。 近頃では、電動車いすにも乗るようになった。それで、週末の外出は大概バス・電車を使う。しかし、鬼門はやはり雨だ。バス停までの7〜8分の道のりを雨具で防いでも、バスへ乗り込む際には運転手さんが雨に濡れながらスロープを設置し、車いすを押し上げる現実がある。 これが、僕の精神的な負担になってしまう。僕はどうしてもこの負担をクリアできないので、雨の日の外出は車だ。しかも屋根付き駐車場から屋根付き駐車場と、何だか点移動のようなルートを選択してしまう。はなはだ情けない。 50代までは、雨の中でも平気で乗り降りをしていたような記憶がある。なのに今は、避けたい気持ちが先に立ってしまう。思慮深くなったのか、怠惰になったのか。 最近、車いすトイレもそうだが、車いす用駐車場も混雑している。スーパーとかモールでは、車いす用駐車スペースの利用者への枠組みが広がり、結果として誰もかれもが利用しているようにすら感じる。特に中高年が目立っている。駐車スペースは出入り口に近くて、当人たちにとっては魅力的なのだろう。気持ちはよくわかる。とは言え、観察していると、彼らに悪いことをしているという気持ちがまるでないように見える。なにせ、堂々としてるもの。僕は、堂々とする場面が違うだろうと思う。それでつい「そこで堂々とするか」とつぶやいてしまうが。 駅の地下駐車場に車を止めておいて、そこから電車で移動することも覚えた。雨の日や帰り時間が不明で、ひょっとしたら最終バスに間に合わないと思えるときの手段だ。この場合は手動車いすを使う。正直に言えばこれが辛い。60歳で頸損バスケをやめて6年、運動をしないからすっかり体が衰えて、5分も走れば腕がストライキ状態になるからだ。 直近の雨の中の外出では湘南台駅に車を停め、横浜までの移動を電車にした。確かにここまでは雨に濡れなかった。が、目的の銀行まで屋根のない歩道を雨に打たれながら車いすをこぐとき、確かに心が折れそうになった記憶がある。さすがに、駅から先のことも先読みする必要があると感じた。 それでも、これを無謀とは言わない。僕たちの日々の不便な日常生活、何かをするに、容易であったことはない。人は易きに流れるのを常とするのだから、容易でないものに相対するには意志がいる。そして、意志は鍛錬されないとやせ細る。故に廻って、日常を鍛錬の場にしないで、どこにその場を求めるというのだ。 ところで、何のための鍛錬かと問いかけられると、返答に困る。習慣としか言いようがない。深い思索から出て来たものではないし、多分単にやせ我慢から始まったのだと思う。 ここ数年、電車を利用し始めて、最初に気が付いたのがベビーカーの多さだ。40年も前、電車の中でベビーカーを見かけることなどなかった。もちろん、車いすを見かけたことも一度としてないのだが、長いブランクの果てにまた電車に乗るようになったら、世間は様変わりしていた。 何ということだろう。先日、川崎駅南部線のプラットフォームから、改札口へと続くエレベータ口にベビーカーが数珠(じゅず)状態で並んでいて、えらく往生した。そして、車いすが普通にいて、それも日常になっていることも確認した。付け足すと、若者も結構エレベータを利用している。つまり、誰もが利用するということだ。 誰のためのエレベータかは別として、電車に普通に乗る車いすを見かけると、乗るにひたすら喘(あえ)いだ昔を知る僕としては、いつも感慨無量なるものを覚える。最初の一度だけでよいのに、繰り返し覚えるということは、よほど電車に乗ることへのトラウマがあるのかもしれない。 それにしても感謝するのは、電動車いすが僕のもとへやってきたことだ。「移動は車で」から、その日の気分で移動手段の選択が自由にできるようになった。こういうのも小さな幸せというのだろうか。 神奈川県:M.K. ★★★ ひとくちインフォメーション ★★★
★ 渋谷区文化プログラム『MERRY SMILE SHIBUYA for 2020』 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた #1000Days to Go! ●日程:平成29年11月3日(金・祝) ●時間:10時30分〜19時30分 ※開会式(オープニングアクト)は10時30分からスタート ●場所:渋谷ヒカリエ8階 ●費用:入場無料 ※来場者アンケートをご記入いただいた方へもれなくピンバッジをプレゼント(お一人様一個) ※手話通訳あり ●主催:渋谷区 ●企画・運営:NPO法人 MERRY PROJECT https://merryshibuya.wixsite.com/2020 【編集後記】
この夏の『オー・マイ・ゴッド!』(?)な出来事。 (その1) 通所しているデイサービスの納涼祭で、「かき氷の早食い大会」があり、なぜか参加することに。 頭はキーンとはならなかったが、その夜、下の歯全部が痛くなった。痛みには慣れているとはいえ、歯の痛みは耐えがたい! とりあえず手持ちの鎮痛剤を服用すると、案外すぐに治まった。助かった……。 しかし、次の日の昼食後、またもや同じ事態に。昨夜と同じく鎮痛剤を服用すると、すぐに治まった。その後、症状は出ていないが、何となく奥歯に冷たいモノがしみる感じがあり、「知覚過敏??」原因がかき氷かどうかはよくわからないが、歳をとってからカゲキなことにチャレンジしてはいけないという教訓?(苦笑) (その2) 165号の編集後記で子ネコ(♀)がやって来たと書いたが、ワクチン注射のために獣医に連れて行ったところ……「男の子ですね〜」 エ〜〜ッ!? “タマ”の見落としなり……(大苦笑)「名前、変えますか?」「いえ、もう覚えています(ニャンコが自分の名前を)からけっこうです」♀であろうと♂であろうと、約半年経った今もその“クソガキ”ぶりは、まったく変わらない。 しかし、子ネコにとっては、生まれて初めて迎える夏。暑さが大丈夫かなと心配したが、よく食べ、スクスクと成長。体重もナント、あっと言う間に来たときの10倍近くになった。小さな命の生きる強さに、本当にたくさんの元気をもらった夏でもあった。 次号の編集担当は、藤田忠さんです。 編集担当:瀬出井 弘美
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