はがき通信ホームページへもどる No.159 2016.6.25.
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 私が膀胱ロウにした理由 

C5、頸損歴22年

 頸損になり、受傷歴が長くなるにつれて悩まされたのが泌尿器科。排尿トラブル。
 10年間、尿道からのバルーンカテーテルにしていましたが、昨年、膀胱ロウにしました。理由は、カテーテル交換に看護師さんが1時間以上も手こずられるから。患者としては、たとえ手こずられても文句も言えず我慢していなければいけない。外来へ行って、交換ができない看護師に当たるといつも憂鬱でした。それがとてもストレスでした。
 交換時にカテの入れ替えを何度もされれば、膀胱に雑菌を入り込ませることにもなりかねない。そうなれば、膀胱に石を作るきっかけにもなる。石を除去する手術をして膀胱の中を綺麗にしても、また交換時に手こずられて膀胱に雑菌を入れ込んだらまた石ができ、手術しての繰り返しでした。
 今は膀胱ロウにし、交換はお腹を出し、すぐ交換も完了するのでとても楽になりました。また、膀胱ロウの造設もわりと簡単にできたので、膀胱ロウにして良かったです。
 やはり、バルーンカテーテルの交換は見られたくない部分を見せるので、1時間以上も手こずられると、たとえ同性でもとても嫌でした。それもなくなり、今はそんなストレスもなくなり精神的に楽になりました。膀胱ロウにして良かったです。
 しかし、頸損歴が長くなればいろいろなトラプルが出てきます。泌尿器科でトラブル前は、肺炎と褥瘡に苦しみました。
 今度は、どんなトラブルに向き合うことになるのか分かりませんが、仲良く頸損の身体とお付き合いをしていこうと思います。
  

ペンネーム:桜



 膀胱瘻(ろう)の潰瘍 

C5損傷29年、67歳

 157号戸羽吉則氏の「膀胱ろう潰瘍防止の手法をご教示ください!」は、瘻孔とバルーン・カテーテルがこすれて、瘻孔がただれる現象とおもわれる。
 氏の文章を読んだとき、わたしははじめバルーン・カテーテルを腹に留めているテープをいつも同じ場所にしているから腹に褥瘡ができたのかなとおもい、しょうがねえなあ、腹に褥瘡なんかこしらえて、オレなんか29年間そんなトラブル一度もない、では拙者のやりかたを写真入りで教えてしんぜよう、「看護師さん、写メ撮ってくれる?」といったところ、「瘻孔のおへそ側に潰瘍ができている。ほかにおできも2〜3個ある」といわれガクゼン。月水金と訪問看護を受けていて、月曜日には何ともなかったのに水曜日に突然だもの。
 わたしは、それまで瘻孔にYカットガーゼを当ててそれを粘着テープで留めていた。それで30年近くトラブルはなかった。「どうして急にこんなことになったんでしょう」と聞くと、ナースはにやりと笑い、「加齢」と答えた。バルーンをズボンから出す必要上、いつもへそ側に出して留めていたのがよくなかった。そのうえおできとは。
 おできはYカットガーゼの縁にできていた。こすれたのだろう。そのほかに鼠径部(そけいぶ)に湿疹もできていた。皮膚科の医師の往診を仰ぎ、さいわい潰瘍やおでき、湿疹は小さかったのでリンデロンを塗り、鼠径部の湿疹にはヒルドイドを塗って、ガーゼをはさんだ。通気性をよくするためだ。とかく陰部は湿気を帯びる。
 それ以降、処置のたびに毎回バルーンを留める位置を変えた。なおかついつもつけていた尿取りパッドもやめた。通気性がよくなり、じきにどの症状も解消した(さいわいなことに便失禁は5年以上なく、尿失禁もバルーンにヨリがかかって排尿がストップしたときだけ。むかしはしょっちゅうバルーンの先っちょに粘土質の物がたまって詰まり、バルーン交換を余儀なくされたが、週2回膀胱洗浄をするようになってから詰まらなくなった)。
 戸羽氏はバルーンが瘻孔をこすらないようにいろいろなクッションを工夫しておられるが、わたしは医療用脱脂綿「キュアレット」(商品名、3㎝×3㎝)を二つ折りにしてはさみ、カミバンで留めるだけ。それでも、脱脂綿はブリーフが押さえているせいか外れない。
 ところで戸羽氏の泌尿器科医は、潰瘍にイソジン消毒ジェルを塗ったというが、それは30年前の治療法ではありませんか? ムカシはねえ、褥瘡にイソジンシュガーなんてものを塗ってドライヤーで乾かしたものなのよ。蟻がたかったりして。イソジンは細菌感染していないかぎり患部に塗るものではないと思います。いま創傷には湿潤療法を採用するのが常識です。おまけに皮膚科の医師は患部に液体窒素スプレーを吹きかけたというけど、いささか乱暴じゃありません? 知らないけど。
 とにかくバルーンを留める位置は毎回変えること。通気性をよくすること。お試しあれ。事後報告もしてネ。

●157号 http://www.normanet.ne.jp/~hagaki-t/pcc157a.html

東京都:F川



 膀胱ろう潰瘍〜その後の経過 

C5、受傷歴9年、51歳

 昨年10月ぐらいから、膀胱ろうの穴のふちに潰瘍ができるようになり、157号に、対策のご教示を乞う記事を投稿させていただきました。その後の私の経過を報告したいと思います。
 潰瘍の原因となっているカテーテルの圧迫を防ぐ目的で、3種類の硬さのウレタンフォームで断面が凹型のブロックを自作して、それぞれを数日間ずつ、膀胱ろうの穴のそばにカテーテルを乗せてテープで留めて様子をみました。その結果、カテーテルがウレタン製ブロックからずれ落ちることが避けられないとわかりました。これでウレタンはあきらめることにしました。
 次の方法を思案していたところ、看護師からの提案で、カテーテルの周りに厚手のガーゼを数回巻きつけてみることにしました。この方法だと、皮膚への負担が少なく、カテーテルからガーゼが外れる心配もなく、カテーテルが穴のふちに接触しないようにできました。週2回の入浴後にガーゼを交換してもらい、1ヶ月間継続してみたところ、潰瘍はほぼ治ったようでした。
 このあと、ガーゼを巻きつけるのをやめて、以前のように1ヶ所だけカテーテルをテープで留めるだけの状態で様子をみることにしましたが、1週間で再発の兆候が見えるようになってしまいました。
 どうやら、昨年秋におこなった膀胱結石の摘出手術のあと、膀胱の形や大きさが変わってしまったようです。これが、潰瘍ができるようになった原因だと思われます。カテーテルを挿入する深さも、以前と同様にすると尿の流れが悪くなり、尿道から尿もれをおこすため、ちょうど良さそうな深さを試行錯誤で模索しております。こちらのほうを優先するため、潰瘍対策は、膀胱ろうの穴とカテーテルの間に緩衝材(かんしょうざい)としてガーゼをはさむだけで、血に染まったガーゼを見る日々を過ごしております。
 つくづく、膀胱の中の状態が簡単に覗(のぞ)けると便利なのになあ……と思います。

編集担当:戸羽 吉則

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