はがき通信ホームページへもどる No.142 2013.8.25.
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も く じ
ballごあいさつ 広報担当:麸澤 孝
ball「はがき通信」からのお知らせ
ball水分摂取が大切です! 神奈川県:S.M.
ballNPO(介護事業所)設立に向けて 東京都:T.M.
ballオリンピック招致と障害者問題 匿名希望
ball『臥龍窟日乗』 —三つのエピソード— 千葉県:出口 臥龍
ball緊急手術 神奈川県:M.Ⅰ.
ballNPO法人「広島頸髄損傷LifeNet」への思い 広島県:K.T.
ball四国でアンパンマン列車に乗ってきました! 福岡県:Y.S.
ballひとくちインフォメーション


ごあいさつ

 以前、大学のゼミにゲストで行った時のこと、ある学生さんから質問を受けた。
 「僕は車いすの方の外出ボランティアをしています。ある駅で電車を降りる時、ホーム渡し板の介助をしてくれた駅員さんに“ありがとうございます”と言ったところ、車いすの方からお礼なんて言わなくていい。介助は当たり前。他の乗客はお礼なんて言わないでしょ、と注意されました」
 麸澤さんはどう思いますか?と聞かれ、ん……人それぞれですし、感じ方や考え方はちがう。障害をもつ人もいろいろだから……としか言えなかった。一言、お礼を言っても罰は当たらないと思いますけどね。みなさんはどう思いますか? 
 今年も猛暑のようです。熱中症に気をつけ暑い夏を乗り切りましょう〜。

広報担当:麸澤 孝




「はがき通信」からのお知らせ


1.10月号(143号)の原稿の締め切りについて

 次号・143号の原稿の締め切りは、9月下旬に開催予定の広島懇親会の関係で、
9月25日(水)まで とさせていただきます。よろしくお願いいたします。


2.3人目の編集担当者の募集について


 編集担当者を募集いたします! 現在は、瀬出井・藤田の障害当事者による2名体制ですが、どうしても体調不良など、四肢マヒ者ゆえの不安があります。不慮の事態にも対応するためにも、編集担当者を3人体制にして安定した編集体制を目指したいと考えております。
 編集は大変なときもありますが、とてもやりがいのある役割です。電子メールの送受信ができるパソコン環境で、ある程度ワープロソフト(一太郎orワード)が使用でき、
 〈1〉四肢マヒの障害当事者であること
 〈2〉無償であること
〈3〉「はがき通信」の発行主旨に沿う(四肢マヒ者に有益な情報交換)こと
が基準となります。なお、原稿集めまでできればベストですが、編集スタッフでご協力応援させていただきます。何よりやる気のある方が条件になります。
 決定につきましては、編集スタッフの多数決で行なうこととさせていただきます。自薦・他薦を問いませんので、募集いたします。裏表紙の「はがき通信」編集スタッフまでお気軽にご連絡ください。



 水分摂取が大切です! 


 昨年の秋、久々5年ぶり、神奈リハに入院してしまいました。キッカケは軽い肺炎での入院だったのですが、肺炎は3週間で完治。その後、入院中にいろんなことが発覚してしまい、予想以上に入院が長引きました。
 まずは不整脈、頻脈。今までも訪問看護で日頃から言われてはいたのですが、「そんなのって誰でもあることなんでしょ?」と、まったく気にしていませんでした。ところが、入院で24時間モニターの状態になりずっと心電図を取っていると、深夜の熟睡中でも脈拍が150を超えていたり、不整脈もしょっちゅう起きていることが判明しました。「こんなんじゃ体がそうとう参ってるはず」という医師の診断により、まずは薬で調整を試みることになりました。2週間ほど、数種類の薬を個数や組み合わせを変えながらいろいろ試し、程良い組み合わせが見つかったところで、いよいよ週末前に退院が決定。長いこと仕事を休んでいたのでホッとしていたのですが……。
 いよいよ退院という前日の出来事でした。ベッドから3人掛かりで電動車椅子に乗せてもらった直後、姿勢の修正や固定ベルトの説明をしようとしたところ、しゃべろうとしても言葉が出てきません! 頭では「そのベルトを……」とか「腰をもう少し右に……」と言おうとしているのに、口からは「はい」と「大丈夫です」の2語しか出てこないのです。必死に他の言葉を出そうとするのですが「え〜っと……」になってしまい、不思議なことに頭にある文章が口に出てきません。
 また、おかしなことに病院での会話というのは相手(看護師)が「ああなの?こうなの?」と聞いてくれるので、「はい」と「大丈夫です」の2語があれば形式上は成立してしまうもので……。(もちろん、冷静に考えれば両者の言葉の内容はチグハグでかみ合っていない?)最初は、その異常な状況が笑えてしまってヘラヘラしていました。
 よく耳にする脳梗塞とかの症状というのは、呂律(ろれつ)が回らなくなるとか、顔面に麻痺が出るとかいうものと聞いていたので、まさか自分のその状況が脳から来ているという自覚はまったくありませんでした。頭が痛いわけでもなく、書いてある文章を声に出して読むことは普通にできるし、身体的には他に何も症状はないのです。というのもC4の頸損は最初から麻痺で手足が動かないから、かもしれませんが。しばらくはおかしくて笑っていた僕ですが、次第に自分の異常を自覚し「このまましゃべれなかったら……」と思うと、とても怖くなりました。四肢麻痺の上に、“口の達者な”を奪われてしまったら、意思伝達の手段がなくなってしまいます。
 そのおかしな状況のまま昼食をすませ、いつも通りPT訓練に出掛けました。そこでようやく、いつもはおしゃべりな僕が口数少ないことに担当PTが異変を感じ取り、僕もなんとか「言葉が出てこない……んです。」と発することができたのです。すると、状況は一変! 途端に周囲のみんなが走り回って、僕は病棟へ強制送還。即、点滴をつながれ、そのままMRIへ……。
 幸い、梗塞は一過性の軽いものでMRIを撮ったときには、すでに流れていたようで症状は見当たりませんでした。病院で処置が早かったのが本当に不幸中の幸いでした。おかげで後遺症は何もなく、その夕方にはまったくの元通り。もし、これが1日遅く退院後に自宅で起きた出来事だったら……と思うと、きっともっと大変なことになっていたに違いありません。
 久々に1ヶ月半も入院して、改めて健康の大切さを実感。退院後は、体力回復のためにもうしばらく仕事を休ませてもらいました。とはいえじきに忙しい年末、12月に入ったところで晴れて職場に復帰しました。
 そして、ボチボチ仕事のペースが戻ってきたかな?と思っていた10日の朝……。ヘルパーさんの食事介助で朝食を摂っていたところ、「会話の返答がおかしい」「かんでばかりでなかなか飲み込まない」と2人のヘルパーがザワザワ。僕自身は何がおかしいのかわからないまま「一応、念のため」と救急車を呼ばれ、再び病院に搬送されてしまいました。
 即MRIで検査を受けると、その結果には前回以降新たな怪しい点があるということで再度入院となりました。その際も自覚症状がなかった僕は不本意に思っていたのですが、夕食後、歯を磨いてもらっていると左上唇が動かせなくて「イー」ができないことに気付きました。またしても周囲が騒然となり、モニターと点滴をつながれて厳重監視状態に。この時も幸い1時間ほどで症状は消え、すっかり元通りになりました。
 前回に続き、「一過性脳虚血症」とのこと。最近、チャゲアスの片方も同症を起こしたとかでTVでもよく耳にするようになりましたが、つまりは脳梗塞の未遂のようなことだそうです。血液をサラサラにする薬を飲み、日中まめに水分摂取することで、血栓を作らないようにするという治療を始めました。
 5日間で退院し、クリスマスの連休・年末年始前に帰宅できてホッとしましたが、さすがに年内は引き続き仕事を休ませてもらって休養しました。早めに異常に気付いてくれたヘルパーさんに感謝!
 新年を迎え、仕事始めから職場に復帰。もう3度目はないように……と、しばらくは仕事の量を減らしてもらい、自分でも体調優先でゆっくりと徐々に慣らし運転から働くようにしました。こまめな水分摂取と、休憩、を心がけての再始動とするために自分で定めた下記を厳守!
 入院中にベッドで使っていた水飲み器を電動車椅子の背中にセッティングして、常時自分の意志で水を飲めるようにしました。さらに、PCを30分おきに時報が鳴るように設定し、そのたびに水を飲んで、リクライニングを倒して休憩すること。でもって、休日は完全休養。
 6月が終わり、治療を始めて半年が経ちました……。日頃の体調管理と毎月の血液検査でその後も異常はなく、今では仕事も遊びも以前と同じペースに戻ってきました。とはいえ、怖いのはこれからの暑い季節です。この原稿を書くことで発症の時の怖さを思い返し、再度気を引き締める良い機会になりました。皆さんも水分摂取を心がけて、この夏を無事に乗り切れるように注意してください!

神奈川県:S.M.

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