料金無料
有料の公共施設の入場料の多くには、障害者割引というものがある。たいていは半額割引で、付き添い1名も半額。もちろん、無料というところもある。 N港水族館に行ったときのこと。入場口の料金表に案内はないかと探してみた。すると具体的な料金や割引の表示はなく、「係員におたずねください」と書いてある。 近くにいた係員に聞くと、身体障害者手帳の提示を求められる。係員は手帳の中を見て、一種一級の身体障害者であることを確認すると、「本日はご本人様、付き添い様の計2名様は無料になります」と館内へ入れてくれた。 なぜ身体障害者は、無料であることを案内に書かないのか。おそらく、無料であることに疑問や反対の意見を持つ方たちからのクレームを避けるためなのだろう。このようなことはよくあることだ。ガラス越しの窓口で料金の支払いをしようとしたときのこと。向こうはマイクに向かって話す。スピーカーから声が聞こえてくる。障害者手帳を提示すると、マイクのスイッチを切って半額(無料)であることを告げてくる。マイクのスイッチを切るのも、ほかの客への対応だろう。 では、なぜ身体障害者は無料になるのか。「うらやましいな」「ずるいな」などいろいろ思う方もいるだろう。僕も最初は、「無料にしてもらっちゃっていいのか」と抵抗があった。 だが、よくよく考えてみると、遠慮なんてせずに無料にしてもらえばいいのではないか。 電車やバスといった公共交通機関、体育館や劇場などの公共の施設。障害者が利用できない施設はたくさんある。僕だって少なからずとも税金を払っている。それなのに利用できないのはおかしい。 先日、車椅子のマークのついたバスに乗ろうとしたら、リフトバスでもノンステップバスでもなかった。運転手にどのように乗ればいいのか聞いてみたところ、「ほかのお客さんで手伝っていただける方がいたら……」と言い出した。もし乗せてもらったとしても、降りるときに誰もいなかったら降りられない。はじめから企業努力をせずに客に頼るなんて。それを言おうとしたがやめた。運転手に言っても解決はしないだろうから。むしろ運転手の方が、そのような場合の対応に困っているのかもしれない。 このように、バスひとつ快適に利用できないのだ。鉄道だって最近ではバリアフリーが進んだものの、利用できない駅が大半を占めている。このように公共サービスを利用できない代償として、入場料金無料などのサービスを受け取ることにしている。 賛否はあるだろうが、鉄道やバスに何不自由なく乗れるときがきたら、水族館にも正規の料金を払って入場しようと思う。 愛知県:Y.S. 写真だより
故Y脇さんと昨春にお約束した通り、昨年10月に鳥取に行ってきました。私にとっては、人生初の山陰旅行でした。 地元のMayumiちゃん、I君と一緒に境港の「水木しげるロード」に観光に行った折りに撮った1枚です。土曜日でしたが思っていたより混んでおらず、歩道も意外と広く、お店もけっこうバリアフリーになっていて入れました。お土産をたくさん買いました! Y脇さんのまだ残されているご自宅を訪れ、偲んでまいりました。住んでおられた町の空気に、少しでも触れることができたことが何よりです。 Y脇さんが見守ってくださっていたかのように、ずっとさわやかな秋の絶好の好天に恵まれ、鳥取の美しい青い空と海は山脇さんの思い出とともに忘れることはないでしょう。 編集委員:瀬出井 弘美 ひとくちインフォメーション
★ 厚労省、年内にES細胞の作製指針制定へ 厚生労働省は、人体に移植できるヒト胚性幹細胞(ES細胞)の作製に関する指針を整備する方針を固めた。 患者を対象にした臨床研究へのES細胞の使用を解禁するためのもので、病気やけがで傷ついた組織をよみがえらせる再生医療の実現に向けて動き出す。 ES細胞は、iPS細胞(新型万能細胞)とともに「万能細胞」と呼ばれる。現段階では、iPS細胞より安全性などで優れ、米国では昨年10月から脊髄損傷の患者を対象に治験がスタートした。国内でも脊髄損傷や小児の糖尿病などの研究者、患者から臨床研究を望む声が高まっていた。 厚労省は今月、研究班を組織し、具体的な検討を開始する。ES細胞は、生命の萌芽(ほうが)である受精卵を壊して作るため、その提供者の権利を含めた倫理的な問題を抱える。そのため意識調査などを行い、対策を検討する。 その上で、厚生科学審議会科学技術部会で指針案をまとめ、年内の早い時期の制定を目指す。 (情報提供:2011年1月26日 読売新聞) 【編集後記】
2月に入りましたが、今年初めての通信ですので明けましておめでとうございます。今年も皆様からのご投稿をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。 昨年12月に3回目の膀胱結石がCT検査で見つかり、幸いにも外来で内視鏡で取ることができました。結石になりやすい体質になってきているのか?……いやはや、初詣のお願い事は「結石ができませんように」と祈るばかりでした。 私もこの2月に五十路になります(自分自身信じられませんが)。頸損歴も20年を超え、体調の変化などに合わせて体力維持・健康管理にますます努力をしていかなければ!と、思う新年の今日この頃です。 昨年は夏が酷暑だったことも原因しているのか、訃報の多い1年でした。12月には、「はがき通信」でも松井先生がご紹介された呼吸器ユーザーのH口A子さんがお亡くなりになりました。各人のご冥福をお祈りするとともに、仲間を失う悲しみと寂しさと改めて残された者はどう生きてゆけばよいのか考えさせられます。 次号の編集担当は、藤田忠さんです。 編集委員:瀬出井 弘美
………………《編集委員》……………… (2010.4.1.時点での連絡先です) 発行:九州障害者定期刊行物協会 |
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