はがき通信ホームページへもどる No.92 2005.3.25.
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 読書メモ(8) 

C5受傷18年、56歳

 『古事記の暗号』(藤村由加著、新潮社)途中で閉じる。ヒッポのトラカレの女の子4人組が『人麻呂の暗号』についで発表した研究書。古事記は易を手がかりにすればよくわかるというのだが。ヒッポらしく発見の過程を重視したエクリチュール。しかし女の子たちのキャピキャピ会話についていくのがしんどい。易も本人たちが興奮するほどの説得力がない。

 『トンボの不思議』(新井裕著、どうぶつ社)に目を通す。知られざるトンボの生態について概括した本。特にヤゴの研究レポートは珍しいとのこと。トンボの雄雌はオチンチンの有無で見分けるなど、面白い発見もあるのだが、引き込まれるということがなく退屈。なぜか。自分を、人間を描いてないから。
 たとえば、テレビニュースでウスバキトンボを映しながら、「暑い中でもアカトンボが山から下りてきて秋の訪れを感じさせる」という誤った報道がなされると、「これはアカトンボの仲間ではない。盛夏を代表するトンボだ!」とテレビに向かって怒鳴ってしまう。すると奥さんから「いつもそんなことで腹を立てる、もっと大物になりなさい」とたしなめられるといった愉快なエピソードがもっとあればいい。むしろ各章それをサゲに持ってくるぐらいのサービス精神がほしい。
 装丁がおもしろい。オビがない。カバーの上半分にトンボのカラー写真とタイトル・著者名。下半分に1行コピーと荒目次。経費節減にいい。かえってスマート。

編集委員:藤川 景 E-mail: CQN03007@nifty.ne.jp



 ひとくちインフォメーション 


★ 本の紹介

 『こんな夜更けにバナナかよ〜筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち〜』
 以前、MLでも話題になり、私も読みました。BS2で放送の「週刊ブックレビュー」に著者が出演しました。障害者本にありがちな美談・感動本ではなく、堅苦しい福祉本でもなく、ユーモアもあり、介助するとは? されるとは? を考えさせられながらも、楽しく読めました。とにかく、24時間介護が必要な重度障害者でありながら、主人公の鹿野氏の超わがままで目立ちたがり屋のキャラクターが強烈です。機会があったら、ぜひ読んでみて下さい。
 第35回大宅壮一ノンフィクション賞受賞
 第25回講談社ノンフィクション賞受賞
 渡辺一史 著 北海道新聞社 出版 1,890円
 瀬出井弘美(編集委員)


★ 方向可変型(あっち向け)リモコン

 神奈川工科大のサークル「車いすの修理屋」が“方向可変型リモコン”を作り、私も愛用しています。
 (情報提供:神奈川県・K.Kさん)
 [パンフレットから]
 *通信角度の調整できるリモコン*
 この製品はベッド上や車椅子にいる状態でリモコン操作を行う時、ボタンを押しやすい角度にリモコンを固定するとリモコンの電波がTVやエアコンに届かない! という悩みを解決するために作りました。
 通常はリモコンの中にある送信機を延長し、向きを調整できるようにしたため、操作しやすい角度にリモコンが固定した状態で確実にチャンネル変更ができます。 
 <価格>
 ・TV、ビデオ用総合リモコン(押しボタンが大きいタイプ)¥4,000
 ・TVのみ総合リモコン(押しボタンが大きいタイプ)¥3,000
 ・オーダーメイド(現在使用しているリモコンを改良)TV以外のリモコンも可。納品に1〜2週間程度。¥1,500
 ・テーブルなどへの固定台も相談があれば製作します。¥1,500〜         
 注意:送料は別途いただきます。市販の総合リモコンと部品代がかかるので割高はご了承ください。
 リモコン本体に改造を行うので故障時にメーカー保障が利かなくなることもご了承ください。

 [申し込み先・お問い合わせ]
 E-mail: kwr2@melu.jp 「リモコン製作」宛でお願いします。
※メールアドレスをお持ちでないかたは、編集委員までご連絡ください。


    <小峰さんが使用している様子>


 ★ 研修受けたヘルパーなど、在宅患者のたん吸引解禁へ

 厚生労働省は4日、在宅で療養する難病患者や障害者について、ヘルパーなどによるたんの吸引を全面的に解禁する方針を固めた。
 2003年7月に在宅のALS(筋委縮性側索硬化症)患者に限り試験的に解禁した後、重大事故が報告されていないことなどから、問題ないと判断した。同省の研究会が7日、解禁妥当とする報告書をまとめるのを受け、年度内に関係者に通知する。
 たんの吸引などの医療行為は、医師法などにより、原則として医師、看護師、患者の家族以外には認められていない。研究会の報告書案によると、たんの吸引が医療行為にあたるという位置づけは変えず、医師や看護師との連携、ヘルパーやボランティアなど吸引にあたる人への研修、緊急時の連絡体制の確立などを条件に認める。
 人工呼吸器装着者など、たんが詰まると呼吸困難に陥ってしまう在宅患者は、24時間、30分—1時間おきに吸引を必要とするケースも少なくなく、家族に重い負担がのしかかっている。ALSや筋ジストロフィー、肺結核の後遺症などで人工呼吸器を使っている患者だけでも全国に1万人程度いるとみられている。
 (情報提供:読売新聞 05.2.5)


 ★ 目の動きでパソコン操作 瞳孔マウスの実用化目指す

 視線の動きやまぶたの開閉でパソコンのカーソルを自在に操作する「瞳孔マウス」を静岡大学工学部(静岡県浜松市)の海老沢嘉伸教授が開発、実用化に取り組んでいる。重度の身体障害者らへの活用が期待され、既に「使ってみたい」との声も寄せられている。
 瞳孔マウスは、目に入った光が網膜で乱反射し、その一部が光源の方向に戻る性質を利用。発光ダイオード(LED)を取り付けた小型ビデオカメラをパソコン脇に設置し、目に見えない近赤外光を当てながら使用者の顔を撮影することで瞳孔の位置を検出する。
 瞳孔の動きが画面上のカーソル移動に対応し、ウインクのように片方の目をつぶることで左右のクリックやドラッグ操作が可能になる。
 実際に体験してみると、カーソルが見る方向へと滑らかに動き、魔法のよう。眼球だけでなく顔全体を動かすなどのコツはあるが、頭部にセンサー類を取り付ける従来の方法と違って、パソコンに向かうだけですぐ使える。両目を同時に閉じる通常のまばたきや眼鏡の反射は影響しない。
 海老沢教授は「システム自体は低コスト。身障者支援のほかにも、工場の生産ラインで両手がふさがった状態でのパソコン操作など、さまざまな分野に応用できる」と話している。
 (情報提供:共同通信ニュース 05.1.5)


★ 新法<グランドデザイン(案)=障害者自立支援給付法案(仮称)>での1割負担についての情報

 改革のグランドデザインによる18年1月1日から始まる障害ヘルパーなどの新制度では、サービス利用をすると1割負担があります。ただし、長時間サービス利用者にはある一定金額以上の自己負担をすると、高額サービス費が支給され、実質的な自己負担の上限が設けられます。負担の上限は、課税世帯は最高4万200円、非課税世帯で年金1級は2万4,600円の負担がありますが、年金だけで生保をとらずに暮らしている1人暮らしの世帯の場合などは、負担が0円になるようです。
 非課税世帯で年金1級は2万4,600円の負担ですが、この負担をすると生保になってしまう人は、1万5,000円になるそうです(生保基準額は1人暮らしで13万円くらいですから、たとえば1人暮らしの年金1級の場合は、2万4,600円の自己負担をすると生保基準以下になりますから1つ下の自己負担上限1万5,000円ランクにいきます)。
 上記の人や、年70万以下の年金収入の方は1万5,000円の負担ですが、この負担をすると生保になってしまう人は、0円になるそうです(生保基準額は1人暮らしで13万円くらいですから、たとえば1人暮らしの年金1級の場合は、1万5,000円の自己負担をすると生保基準以下になりますから1つ下の自己負担上限0円ランクにいきます)。
 詳しくは、住宅扶助をくわえて考えるのかどうかはっきりしませんので確かなことはいえませんが、普通に考えるなら、「自己負担すると生活保護基準以下になる人は0円にする」という趣旨のようですので、今現在の収入が年金1級+特障だけの1人暮らしの人は収入が11万弱で生活保護基準以下ですから、全員0円負担になりそうです。
 障害者夫婦の場合は、家賃が安いなどの場合は人により生保基準以上の人もいるので、その場合は1万5,000円になる場合もあるかもしれません。
 (生活保護開始の基準額は2003年3月号をご覧ください。ホームページにも掲載しています。
http://www.kaigoseido.net/> メニューの生保コーナーからも探せます。)
 生保基準額の計算方法は1類、障害者加算、重度障害者加算は1人ごとにつきますが、2類は2人暮らしになっても1割ほどしか増えません。家賃補助は部屋の中で車椅子利用なら1人も2人も額が変わりません。
 国会審議で扶養義務者から親・兄弟を外す可能性もなお、収入のある家族と同居の障害者の場合ですが、現状の案では費用負担に月4万200円の上限があります。しかし、今後の国会審議で親と兄弟などを扶養義務者から外すことになるかもしれません。与党の障害者関係議員の間ではかなり理解が得られている模様です。
 国会で決まった場合は、財務省は文句が言えないので、そのまま決まってしまうことになります(1割負担は義務的経費化と引きかえの約束で財務省は許可したのですが、すでに政府予算確定後で義務的経費化を決めてしまっているため、国会で一部書き換えがあっても義務的経費化には変更がない)。その場合は、家族と同居の障害者の場合も、収入が年金1級だけの場合は月2万4,600円が負担上限になり、年金2級だけの場合は1万5,000円が負担上限になります。
 (情報提供:全国障害者介護制度情報1月号抜粋・メールマガジン版から)
 ※まだはっきり決まった情報ではありませんので、確実な情報や訂正情報が出た場合はまた掲載いたします。


 ★ ワンボタンで登録先へコールする携帯電話用便利アイテム『ワンプッシュコ−ル』

 携帯電話につないでボタンを押すだけで登録した相手先へ呼び出し(コール)することができるアイテム。電話番号の登録設定が1ヶ所の1ボタンタイプ・3,500円と、設定3ヶ所の3ボタンタイプ・4,500円や、声が録音(最大10秒)でき“緊急連絡”などのメッセージをボタンを押すだけで送信可能のタイプ・6,500円あり。

[問い合わせ先]株式会社システック
 TEL: 053-428-4319
 http://www.systec.co.jp/products/onepush.html


 ★ 軽いタッチでお湯が出る浴室用水栓

 『タッチスイッチ水栓』49,000円〜
 スイッチを軽く押すだけでお湯が出て、もう一度押すと止水する浴室洗い場専用の水栓。本体は断熱仕様で約45度以上のお湯が出ない「高温出湯規制」機能付き。

[問い合わせ先]TOTO
 TEL: 0120-03-1010
 http://www.toto.co.jp/

★ 向坊さん「インドの旅」から








【編集後記】

 向坊さんのごあいさつ文の中にもありますように、インターネットを検索して購読を申し込むかたが増えました。しかし、その逆にインターネットが普及したがために、残念ながら投稿数は減りました。
 ネットを通じて申し込まれるのは、おそらく受傷・罹病歴が浅いかたたちと思われます。受傷・罹病歴の長い慢性期のかたたちに比べ、そういうかたたちこそ情報を得たいがために申し込まれるのだと推察いたします。情報発信はまだまだ難しいのかもしれませんが、どんなささいなことでもかまいませんので私たちにお聞きになっていただければと思います。
 この情報誌のタイトルは「はがき通信」。『はがき一枚の通信にも貴重な出会いが……』と表紙にありますように、メール2,3行の通信にも貴重な出会いがあるかもしれません。
 次回は、藤田忠さんの編集担当です。

編集委員:瀬出井 弘美


………………《編集委員》………………
◇ 藤田 忠  福岡県 E-mail:fujitata@aioros.ocn.ne.jp
◇ 瀬出井弘美  神奈川県 E-mail:h-sedei@js7.so-net.ne.jp

………………《広報委員》………………
◇ 麸澤 孝 東京都 E-mail:fzw@nifty.com

………………《編集顧問》………………
◇ 松井和子 東京都清瀬市国立看護大学校
◇ 向坊弘道 福岡県 E-mail:zi5h-mkib@asahi-net.or.jp

(2005.1.25.時点での連絡先です)

発行:九州障害者定期刊行物協会
〒812-0069 福岡県福岡市東区郷口町7−7
TEL&FAX: 092-629-3387
E-mail: qsk@plum.ocn.ne.jp

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