は が き 通 信 No.58 - Page. 1 . 2 . 3 . 4
POST CARD CORRESPONDENCE 1999.7.25

《ごあいさつ》

私は夏になると窓から青い空と入道雲を眺めて、汗をしたたらせながら登った夏山に思いを馳せます。この夏で、山で転落事故を起こしてからちょうど10年になりました。山で怪我をしたのにもかかわらず、車いすになってもコリずに山登りを続けている私です。

堤さんが前号で、「抱えてくれる人さえいれば世界中どこでも行ける」とおっしゃっていました。一昨年冬の蔵王でのバイスキー登山には、22人の山のクラブの仲間が手を貸してくれました。
私は怪我をする前、身体にハンディを持った人達のサポートをして山に登っていました。そのとき、「たとえ車いすでも多くの人の手さえあればどこへだって行ける!」と強く思っていました。そして、車いすになった今も同じ思いが私を支えています。

編集委員 瀬出井


はがき通信懇親会の御案内

新緑も眩しいこの頃ですが、みなさんお元気でご活躍のことと存じます。
いよいよ「はがき通信」懇親会 in 広島まで、3ヶ月となりました。「案内はまだ?」と“きりん”のように首を長くしておられた方もいらっしゃる?のではないでしょうか。

「皆さんに楽しんで頂けるように」と、個性派揃いの広島が、腕によりを掛けて(?)知恵を絞り、計画しております。皆さんにお会いできるのを楽しみに頑張りますので、是非、ご参加下さい。


日時 1999年10月9日〜11日
9日(土) 13:00〜17:00 夜・会食
10日(日) 9:30〜12:00 午後観光
11日(月) 9:30〜12:00 (振休日)
場所 広島アステールプラザ「広島国際青年会館」 (平和公園南300m)
TEL(082)247-8700    
発表会場(7F)
宿泊(8Fと9F)        
宿泊料 1泊につき
シングル 5〜6千円
ツイン 1万〜1万3千円
参加費 頚損1人1泊につき1〜2千円
申し込み先 8月31日までに

大会実行委員長 大竹保行へ
TEL:(0824)20-4012  
FAX:(0824)34-4749

◆ その他の注意事項


  • 恒例の頚損者の発表は1人10〜15分です。 資料の写真、ビデオテープ等を御持参下さい。
    発表希望の日時と内容をお知らせ下さい。
  • 医療・福祉の専門家や学生がオブザーバーとして参加します。
  • 9日の夕食に「WELCOME PARTY」を予定。
  • 10日の午後、平和祈念公園(車イスで約10分)へ観光、その後、外食・夜の散歩。
  • 広島駅からのアクセスは、リフト付タクシー(車椅子2台乗車)を用意します。希望者は到着時刻と新幹線便名をお知らせ下さい。
    料金は広島駅から現地まで千円くらいですが、時間節約のため、なるべく乗合をして下さい。
    また、ノンステップバスや低床路面電車につ いては少し距離(平和公園を縦断500m)がありますが、希望者には時刻表を用意します。
  • 広島駅のホームからエレベーターで降りた近くにボランティア(約10人)が待機しています。
    時間調整時にはすぐ隣のホテル「グランビア」のロビーでお待ちいただきます。
  • 参加者定員(70名位)を超えた人は他の宿泊施設をお世話しますのでご了承下さい。
  • 参加申し込みをされた方には、後日詳しいご案内をお送りします。

以上の通りです。初めての試みで、試行錯誤の連続です、ご意見ご要望等がありましたら、お聞かせ下さい。
みなさん、元気にこの夏を乗り切られ、10月にお逢いできるのを広島一同「心より」お待ちしております。


広島頸損ネットワーク会長 mami2@enjoy.ne.jp
〒739-1412 広島市安佐北区白木町小越230
TEL (082)828-0123(17時まで) 携帯090-1184-4339
FAX (082)828-3456



今は歩く事もできます

私は2年前、交通事故て頸椎の4〜7を骨折して頸損者となりました。26歳の時です。私は運が強かったと言うのか、神経は圧迫を受けたていどであったらしく、今は歩く事もできますし、後遺症は頸損としてはかなり軽い方のようです。ここまで回復した患者を診たのは初めてだ、と医師に言われました。それだけに、いざこの体について情報を得たいと思っても個人の情報は得る事ができませんでした。頸損の知人、友人もいません。
「はがき通信」というものがあると知ったのは松井和子さんの「頸髄損傷」という本からです。書かれていた先輩諸氏のあれ程の行動力にはとてもかなわない、と大変驚きましたが、障害者になってしまって落ち込んでいた時だったので、とても勇気を分けていただく事ができました。

購読の申し込みなのに長くなってしまい、すみません。よろしくお願いいたします。

横浜市 S


念願のパソコンが私のところに

やったー! 念願のパソコンが私のところにやってきたー! ノート型だから、小さくてとってもかわいい。今日で3日目なので、まだ慣れてません。弟に聞きながら楽しんでいます。実は、この文章もEメールで送ってたりします。ちゃんと届くのか心配です。本当は、パソコンでポストカードやカレンダーなど作ってみたいけど、まだそんな余裕はありません。
只今、メル友募集中。お時間のあいたときにでも、もしよければメールもらえたらうれしいです。

北九州市 : H romio@pop12.odn.ne.jp



トドの心は濁っている?

「おいおい50歳で老人性白内障かよ…」受診・帰宅後にぼやいていたら、妻が「目は心の窓というから、白内障(水晶体の濁り)になったのは心が濁っている証拠よね」と。
若いボランティアの娘さんや美貌のヘルパーさんに不純な動機で言い寄るのは止めろとの妻の言い分に、言い掛かりだと弁解しつつも改心を約束させられた。G・W明けに二週間の手術入院で視力を取り戻してみると、性格まで明るくなれたように思う。くれなずむ夕暮れにたたずみ、母の帰りを待つ少年のような自身であっただろうか。

再びアイの見通しが立ち、大いに発奮しなければと意気込んで退院した。白内障で入院する50歳代はさすがに少なく、看護婦さんに色目遣いが過ぎたのよねっと、からかわれても無口なトドのオッサンには反論の声は出せずじまい。ともかく、入院している白内障の人に伺うと、半数以上が糖尿の気があるとか。美人の眼科の先生に白内障の原因を聞くと、「原因の詮索をしても治る訳は無いから…」と。どうも糖尿は遠因であろうと推測したトド。立派な糖尿マンのトドは自制して失明の危機は逃れたいと思っている。
水晶体を人工レンズにしたので三百年は持つから大丈夫だと美人先生は仰った。トドの生誕三百五十年祭までレンズを通して時代の流れを見続けられそうです。それにしても、目の見える事はありがたい事で、文字が読めたりテレビや人の顔が見えるのも嬉しい。改めて失明者や難聴の人々に思いを馳せる。そして、頸損者の自分が視聴覚を失った場合を想定して対策を講じようと思うのだが……。
比国に遊んだ時の言葉が通じない状況より悪いだろう。せいぜい自制して五官を大切にしたいものだ。

入院中に頸損二年余りのKさんと知り合いになった。Kさんは現役の精神科医であり療養の後には社会復帰に向けて邁進されるであろう。精神を病む人々に頸損の医師が関わる姿が想定され、まさに頸損者の社会的な人材として活躍されるであろうと期待が高まる。
トドのオッサンも無い才覚で地域にしぶとく活路を択きたいものだ。末筆ながら入退院の際に関わって下さった方々に感謝したい。M嬢さんたちから戴いたお花はとっても美しく引き立つねっと、トドの顔から視線を外す看護婦さん の言葉に???。看護婦さんにはこの花も負けているねっと、ヨイショしたトドの心は、やっぱり「目は心の窓で、治療したのに濁ったままなのかしら……」

追伸
広島頸損ネットワークが「はがき通信」の集いを広島市で開催する事を引き受けており、個人的な気持ちとしても多くの頸損仲間に来広して欲しいです。役員の一人として大いに歓迎しますので、みなさんの御参加を期待しています。
広島県 : トドのオッサン


電動車椅子の注文は早めに

車椅子の注文はなるべく早めにしましょう。というのは、私は早めにやったつもりが、それでも遅かったという経験をしたからです。

私、今度電動車椅子を新しく作ってもらおうと思って、昨年の暮れに市役所の方に申請しました。
今まで使っていた車椅子は8年ぐらい使っていました。使おうと思えば使えないことはないのですが、コントローラーのジョイスティックを離しても、完全には車椅子が停止しなくなったので、あぶないときもあって、新しい車椅子の注文を申請しました。

初めは3ヶ月もあれば余裕でできあがるだろうと、たかをくくっていました。
ところが、いろいろあって、とくに今までの車椅子はリクライニングの装置が必要なかったのに、今度はなぜ必要なのかということになって、間違いなく必要という決定がでたのが約4ヶ月後でした。
そのとき、役所の人は「これですぐできます。最近は交付も早くなっていますから」というので、安心していましたところ、それから2ヶ月間何の知らせもありませんでした。
このあたりでやはり早くしてくれと言わないと、いつになるか分からないと感じて、業者に連絡したところ、来週には持っていくとのこと。
乗れるよう準備をして待っていたところ、持ってきた車椅子は充電ができてないし、安全のためリクライニングすると運転できなくなる設定も調べてありません。その一週間後にやっと乗れるようになりましたが、6月27日現在、まだ新しいフットレストはできていないので、古い車椅子のものを使っています。

ということで、電動車椅子は壊れてしまって、新しいのを申請すると遅くなってしまうので気をつけましょう。
千葉県 :HK kuromaru@fsinet.or.jp


排泄に不安があるからだ
KN (H元年にC3.4.5を受傷・不全)

春爛漫というより、むしろ初夏の気配さえ感じられるこの頃、ご健勝のことと思います。
「はがき通信」の皆さん、ご無沙汰しています。新緑が目にしみるこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。平成9年5月に仲間入りさせていただき2度目の投稿になります。
「はがき通信」No.55でSさんが「頚損者が閉じこもりになるのは、排泄に不安があるからだ」と断じ「食文化優先社会に敢然として排泄文化に陽を当てられる頚損者よ出よ!」と檄をとばされているのを読み、思わず喝采を叫びました。まさに小生の思いとピッタリ。このことは初稿でも書きましたが、少し具体的に書いてみたいと思います。

排泄指定日は、月・水・金の3回。前日は腸の活動促進のため、近所(200m程=30分)で車椅子を漕ぎ、砂嚢牽引(3m=400回)などの運動をリハビリを兼ねて行い、22時半に緩下剤(プルセニド2錠)を服用して就寝。

当日、9時過ぎ座薬(アインソフト=時間はかかるが深部まで効きそう)を挿入、トイレで座薬と自力腹圧で小1時間がんばり、さらに座薬(レシカルボン=短時間で効くが効果は浅そう)を使い、刺激でおりてくる便を摘便することを繰り返して30分程。
結局、排便だけに1時間半前後を要する。すべてホームヘルパーか訪問看護婦の介護による。
それでも、後刻失便し、ヘルパーさんや家族に迷惑をかけることがチョイチョイ。

不快感で、外出は勿論何も手に付かない場合が多い。ガスも排尿も便意と同じで、手動車椅子ではプッシュ・アップで出すが(出ずに一日中憂鬱な日もある)、電動ではこれが出来ず、長時間乗っているのが苦痛です。
「粗相したって、死にゃ〜せん」と言われると「オムツやるけん、垂れてみろ〜っ」と言い返すが、「はがき通信」諸氏の行動力を思うと、反省と同時に、どんな対応をしてあるのかが気になります。

今年の交流会開催地は広島の由。排泄の件を何とか克服して、ぜひとも参加させていただきたい。甚だ心細いのですがこれが小生の今年の一大目標です。旅行時の移動手段・方法、介助(護)等、排泄の件も含めて体験談なりアドバイスを頂ければ助かります。皆さんと比べると、低レベルの生活ですが、なんとか脱皮してみたいのです。

佐賀県 : KN


低床バスに乗ったぞ!
宮崎県 KF (C4,5,電動車イス)

宮崎市もノンステップバスが運行開始ダぁ〜!ダ・ダ・ダ。大型2台、中型1台(車いす2台用)。宮崎市での運行だから、僕の住む延岡ではないのでバンザ〜イとはいきませんが…。
県北でも要望して”いかんとね!” 

4月から運行を始めたので、早速チームを組んだ(電動車いす2台介助者2人の合計4人)。
”アマチュア取材班X”はJRで1時間30分の道のりの宮崎駅へ到着。昼食(ビールを少々)をすませ、始発点へと転がって行こうとしたところ、県の担当者とバス会社担当者がお出迎え。”オッ! お迎え”と思いきや、電動車イスがゆっくりしすぎて他の乗客の出発が遅れると困るからだった。”僕のゆとりのない行動が出てしまった。”
県、バス会社担当者のお出ましは、たまたま僕らが市外地からの予約第1号だったからです。始発停留所へ着いたとたん、報道陣とカメラ2台に囲まれて「おったまゲエ!」 
警察には囲まれた経験はあるけど(若かりし暴走族時代…)、しかし底床バスには驚きましたね。

2台で電動スロープから乗り込み、固定が終わって出発。車内でもカメラにインタビュー。一般の人たちは何だろうと、ふしぎな顔。僕らのカメラワークもプロにはかなわない。
折り返し点に着き、戻りのバスの時間まで1時間近くあったので、喫茶店でコーヒーでもと思いきや、2人に報道3社の報道ぜめ。僕らが取材に行ったのにプロから取材されるとは予想外。
「はがき通信」の宣伝。
『なぜこられたのですか?』 
→ 取材です。延岡でも回覧板に掲載しますが、全国NETの「はがき通信」に紹介しますよ。
『全国に何人くらいの会員さんが居るのですか?』 
→ 500人くらいです。すみません、まだ多かったですよね。

そうこうしているうちに”バスがキタロ〜”戻りは宮崎駅終点へ。帰りは取材もなく、乗客も少なく、45分間のんびりした車内。
ケガして13年ぶりに大衆交通機関・バスの雰囲気を味わい、ゆ〜らユラ…。バスの良さを感じましたよ。
今まで自家用、タクシー、ともプライベート空間でしょ。路線バスは、いろんな人たちが入れ替わり乗車してくるから、街の臭いを感じるんです。
「僕に似合わないフレーズかな?」
良かったなぁ〜。失礼します。


手製の天井走向式リフター

ご無沙汰しています。今までベッドからの移乗は、両親に抱えてもらっていました。母の具合が悪くなってそれが出来なくなりました。手動のリフターはあることはありますが、面倒くさがって誰も使おうとしません。そうなると天井走行式リフターしかありません。
そこで福祉機器総合カタログで調べるみると80万〜120万円と高額で、すぐに買える代物でもありません。あまりの値段の高さに途方に暮れていました。そういえばフィリピンで「15万円で天井走行式リフターをつけることができて、家族が楽になるから、日本に帰ったらつけてみては?」というアドバイスをある頸損の人から頂いたのを思い出して、さっそくE-Mailで相談しました。そしたら、詳しく教えていただくことができました。

lifterまず、予算の関係ですが、工業用リフター(8万)とレール(1万)と車輪(1万)を買ってきました。それを見てやっと工業用既製品を選んで組み合わせるから、安くあがるのだということに気づきました。
次に、お金が貯まるまでしばらく待ってから、大工をしている幼なじみに、リフターの写真をみせながら説明しました。天井に柱を取り付けてもらい(15万)、それから弟にリフターをレールに組み込んでもらいました。
汎用の既製品を組み合わせれば驚くほど安くあがるので、びっくりしています。人間、頭の使い方次第でどうにでもなるな、と思いました。一つ難点をあげるとすれば、工業用である故に音がうるさいことです。でも利用する時間が短いので、そんなに苦になりません。
この天井走行式リフターだと、肩と膝にベルトを入れるだけなので、力の弱い母親でも簡単にベッドから車椅子に移乗させることができます。わが家では大いに活躍しています。

これが出来て家族もずいぶん楽になったことと思います。パソコンをやり始めたときに、始めるのが5年遅かったと思いましたが、今回も同じ気持ちです。こんなに楽なら早く付ければ良かったと思います。
天井走行式リフターの装着を検討している方はご連絡下さい。写真をお送りして詳しく説明します。また、E-Mailでお問い合わせのかたには鮮明な .jpg ファイル画像を5枚送ります。

私はおかげで、「博多の森球技場」にJリーグを見に行くことができました。
電話(092-608-3011)で問い合わせると、駐車許可証が送られてきました。当日出かけてみると関係者以外立入禁止の入り口から入って玄関横に駐車出来(駐車料無料)、入場料が介助者1名とあわせて2500円と良心的な価格設定でした。グランドに入ると車椅子用スペースはとても見やすい良い場所にあり、車椅子用トイレも直ぐ近くにありました。
よそ見しているといつの間にかゴールが決まっていて目が離せません。存分にサッカーの醍醐味を味わいました。アビスパ福岡のゴールが決まったときの、会場中の一体感は何ともいえないものがありました。
福岡県 : TF fujita-t@try-net.or.jp


つづく
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