は が き 通 信 Number.40---P2
POST CARD CORRESPONDENCE 1996.7.25


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落ちたスーパーマンの消息


昨年、落馬事故で頸髄を損傷(C2)したスーパーマンの俳優、クリストフアー・リーブさんは30万通に及ぶ激励の便りを世界中のファンから受け取り、着々とリハビリに励んでいます。

頸推2番の手術は事故後3日めでした。左足は感覚が75%回復しましたが、手足は動きません。8年後には歩くつもりでがんはっています。現在、自宅でリハビリ中で、奥さんと息子があります。

呼吸器を1日に90分はずすことができるようになりました。呼吸器がはずれる事故もありましたが、偶然人がいて助かりました。乗っている電動車イスは400万円。1年間の生活費は治療費も含めて4000万円です。俳優組合の時にかけた保険で助かっていますが、1980年代に投資に失敗して無一文になったので、これから仕事を探さなければなりません。テレビなどには電動車イスの後ろに携帯用呼吸器を積んで登場します。
社会的弱者に不屈の精神を訴えたり、政府に脊髄の医学的研究費の助成を助言したり、忙しい毎日です。      

資格提供・夢運び人




愚痴と音楽会と


「はがき通信」の皆さんこんにちは。元気でお過ごしのことと思います。私は元気いっぱいとはいきませんが、つつがなく過ごしています。

今日は梅雨の中休みで気持ちの良い天気ですが、この通信が発行されるころは夏本番で、クーラーとアイスノンを使いながら“ヒーヒー”言っている姿を思い浮かべながらワ一プロを打っています。今回は“愚痴”と“コンサートの初体験”の2本立てを書いてみます。

「はがき通信」の皆さんは大なり小なりお持ちと思いますが、お尻から背中にかけて痺れるような痛みがあり、どうしようもありません。今年で6年めになりますが少しひどくなったように思います。車椅子に乗っていても、ベッドに寝ていても、正座の後にきれる痺れのように(みんなには理解できると思いますが)痛いのです。

ただ唯一の慰めですが、右肩を下にして背中と腰のあたりにクッションを置いて横になった時はわりと落ち着きます。寝る姿勢はこの横向きで6、7時間は大丈夫です。また不思議とこの向きは自尿がよくでます。ユリドームと蓄尿袋を付けて寝ます。

左肩を下にした横向きや、仰向きは調子よくありません。うつ伏せがいいのでしょうが、肩が痛いのと苦しいのとで、1時間ぐらいしかもちません。また準備が大変だし、重くて妻の負担が多くなるしあまりやりません。最近はいつも「クソー、痛いな」と言っています。薬を飲んでみようとは思っていませんが、これも宿命と悟れない毎日です。


さて愚痴はこのくらいにして、生まれて初めて行ったコンサート体験のことを書きます。私はガキのころより体育系の生き方(どんなのだろう?)をしてきたもので、音楽とか美術には縁がありませんでした。逆に妻はいろいろ行っていたようです。

何故こういう機会を得たかともうしますと、日頃より懇意にしている、ご主人が四肢麻痺のご夫婦がおりまして、彼らは以前より結構いろいろな催しに出かけております。

彼も受傷以前は鑑賞ということは好さではなかったようですが、“おこなう”ことができないなら“みる”ことで積極的に出かけているように感じます。

前々から誘われていたのですが、谷村新司コンサートがあるというので、妻も久しく出かけてないし、一緒に行くことにしました。チケットは取ってもらったのですが、あらかじめ車椅子2人と言って予約するそうです。場所によっては車椅子専用の席があったり、通路だったりするそうです。

今回は左端の後列の席が外されるようになっていました。係員の方が親切に誘導してくれましたが、一番後ろで谷村新司の顔なんてまるで分かりません。彼の場合は歌がメインだからいいようなものですが。(失礼)客層も3050歳の女性が多く、落ち着いていました。でもやはり、立って手をたたいている人も若干いました。

PM6時開場でしたので、家を5時に出発しました。いっも心配なのが尿で、朝より少し水分を控えめにして尿取りパッドを付けて行きました。コンサート終了が9時ころで、帰りにレストランで1時間ぐらい食事をしました。もう帰るだけですので、水分補給にビールを一生懸命私一人で飲んだ次第です。

我が家到着がPM10時半ころです。車椅子に正味8時間乗っていたので、体が痛いのは相変わらずですが、疲れもひどくなく、マーマーというところでした。また機会があれば出かけるかな??

それではまた.‥‥。96/6/16

熊本県 KI : QZF13621@niftyserve.or.jp




ある夕暮れ時の感傷(センチメンタル)


関東地方も梅雨入りし、太陽が恋しい季節となりました。先日、夕暮れ近くに部屋でどんよりとした梅雨空から、サーツと陽の光が射し込むのを見ていました。 「夏も近いナァ」なんて思いながらフッと突拍子もないことが、ポッカリと心の中に浮かんだのです。
「神様がもし手と足のどちらかを、もう一度動かしてくださるとしたら、私はどっちを選ぶだろう‥・?」

アレコレ考えて、私はやっぱり“足!”という答えを出しました。手のほうが自由に動いたら日常生活に便利なことが多いけれど、私はやっばりもう一度自分の足で山に登りたい。
そして自分が会いたいと思ったその時に、会いたいと思ったその人に、その景色に、その物に会いに行ける足がほしい。どんなに離れていても、たとえ夜中であろうと、自由に動く足さえあれば走ってゆける。もう一度好きなだけ、時間(とき)の中を思いっきり駆け巡ってみたい‥‥なーんてブツブツと、(こんな私でも)感傷に浸ってしまったのす。

以前、巻頭のごあいさつ欄で、「歩けるようになったら私は、夏の日に焼けるような砂浜を歩いてみたい」と書いていらっしゃいましたね。なんて言うのかな。“足の裏の感覚”というものが私には痛いほどよくわかります。長い山道を歩いたあとに重い登山靴を脱いだ時の、あのなんとも言えない解放感!

靴下を脱いで、大地に裸足で触れた時のヒヤッとした感じ…たまりません。至福の瞬間です。懐かしい記憶が甦ります。もう、7年‥‥早いものです。でも歩くことを、まったくあきらめてしまったわけではありません。

医学は進歩しています.死ぬまで希望は捨てずにいたいのです。何でも、無理だとあきらめてしまうのは簡単だから。

それでは、皆さん暑さに向かって体調をくずさず、なるったけ元気に過ごしましょう。5月の頸損連絡会の全国総会で何人かの「はがき通信」の仲間にもお会いすることができ、とってもうれしかったです。浜松での懇親会も楽しみにしています。6月15日

横須賀市 HS




炎天をゆく


最近スポーツ選手のドーピングで、利尿剤に含まれるステロイドが問題になっていますね。筋肉増強剤に含まれるステロイドは、長期間服用すると頭痛やめまいの副作用があるといいます。

してみると、私はもう22年も利尿剤(バナール)と整腸剤(カマグ)を呑んでいるのですから、何かの影響はないでしょうか。幸い頭痛やめまいはありませんが、ここ3年来胃が悪くなっているのは何か関係があるのではないか、松井先生にお尋ねしたいと思います。よろしくご教示ください。皆さんもお大事に。

炎天をゆく
生きていてよかったような野の小みち
                            犬は車いすのあとさきになる

アロエにがく現代人の胃ぶくろに
                          沈みてゆくときはるかなるジエラ紀

炎天にあぶられているトマトがぶり
                            麗顔さんの知らないうちに
佐賀県 TN




民宿をやってます


簡単に自己紹介します。頸髄損傷部位C5・6で、レベルC7です。現在、岡山ツインバスケットボールクラブの代表をまかされ、運営やトレーニング面で苦しみながら楽しんでおります。

住まいは、瀬戸内海の島でたいへん景色の良いところです。正面には小豆島が横たわり、高松の屋島も望める自慢の島です。民宿をやってますのでよろしかったらおいでください。

筆無精?なのか、文章を考えるのが非常に不得手で、メールを充分に送れないかもしれませんが、今後ともよろしくおねがいします。

岡山県 HT : HAF01224@niftyserve.or.jp




突然の痙攣


先日、大学の受講から帰ったとき、突然痙攣が起き、車椅子の上で前向きに倒れて屈んだ状態になってしまいました。どうしようもなくなり、そのままの態勢で2時間以上、誰かが帰ってくるまで動けずにじっとしてました。

胸は苦しくて息ができないし、頭に血がのぼるし、おしっこは止まって汗が吹きでるしで、誰にも助けを求められず、危うく死ぬところでした。

おかげで今日は肩が痛くてたまりません。ひとりでいる時にそんな目にあったことはありませんか?

パソコン通信を始めました。NIFTY1D:BXG07016 にぜひ通信を下さい。

北九州市 NG : BXG07016@niftyserve.or.jp




尿がたまりすぎ、殴られるような頭痛


うっとうしい雨の日が続いている毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。「はがき通信」に初めてお便りします。福岡県の総合せき損センター近くに在住しておりますSKです。家族は妻と娘2人の4人です。C45番で負傷して18年になります。

今回お便りしたのは、18年めにして3ヶ月前に体験した過緊張反射(病名)についてです。
すでに体験された方もいらっしゃるかも知れませんが、参考になれはと思いお便りしました。3ヶ月前に友人と雑談中に突然発汗し、後頭部に殴られるような激痛が始まりました。尿が出にくいので急いでせき損センターで診てもらいました。この時の頭の痛さは声も出せないくらいです。平常の血圧は9060くらいですが、この時は高いほうが220に上がっていて、カテーテルで尿を取ってもらったら血圧は下がり、気分も落ち着きました。

終わってみると簡単なことでしたが、自分にしては初めての経験でパニック状態でした。泌尿器科の先生の話では、C345番の人にこの症状が現れるとのことでした。今ではカテーテルをおまじないみたいにして常備しています。これからも「はがき通信」を楽しみにしています。よろしくお願いいたします。6月25日

福岡県 SK




大変化


梅雨の候、外出もままならない毎日ですが、皆さんお変わりありませんか?私は大変化です。38号で「4月に施設を変わります」と、お知らせした後、施設側の早とちりだったと分かり、「新施設は希望者が多くて、入所できないかも?」といわれるハメになりました。

しかしなんとか5月に入所でき、あわただしい数ヵ月を過ごしました。予定より遅くなりましたが、皆さんに報告できて、ホッとしています。

新生活は全室、個室という環境のため、個性を活かし自由を楽しんでいます。居室は約15で、トイレと洗面台が付いていて、ベッド(電動)以外の家具は、自分の持ち込みなので各居室に個性が光って面白いです。しかしピアノを置いている人には少少困りますが‥‥。

前の施設は、管理規制が厳しく、何をするにも数人の許可がいる生活でしたので、現在の自由さにとまどいますが、何でもさせてくれるので、いろいろなことに挑戦でき、ワクワクしています。今は、洗濯に燃えています!洗濯ができるようになり、嬉しくて、毎日「洗う物はないかな」と探して、まるで子供みたいです。

その他、レザークラフトやお菓子作りの計画もあるので張り切っています。前の施設で押さえ込まれていた反動でしょうか、何でもやりたい気持ちと自由を手にいれて興奮しています。施設生活で自由があるというのは変だと思いますが、施設によって様々で、私の場合、前より現在のほうが自由が多くなったというのが正しいのかもしれません。皆さんは施設生活についてどんな風に思われますか? 印象や体験などお聞かせ下さい。

ともあれ、今は新生活を充実して楽しみたいと思います。そろそろ、苦手な夏になりますが、お互い体調をくずさないようにシブとくがんばりましょう。

広島市 MH




定さん、最初で最期の通信


五月晴れの好季節になりました。皆さんいかがお過ごしですか。大阪市のMでございます。近況をお知らせします。電動車椅子の操作、アンビューバッグを使い、調子が良いと2、3時間ぐらい散歩。家では、椅子に90度に膜かけて、上半身を前後に屈伸運動、続いて呼吸運動、筋肉鍛錬、他にもいろいろと考えてやっています。

こんなにたくさんのことができるようになっでとても嬉しいです。昨年12月から月に1度くらい福祉タクシーを利用してあちこちドライブに行ってます。懐かしい所に行くと胸がつまります。もちろん呼吸器や予備バッテリーなど乗せてね。

忘れてました。呼吸練習は約1、2時間ぐらいです。後遺症でいまだに頭痛などの障害で辛い日もけっこう多く、いやになり、イライラする時、音楽やビデオなどで気分を変えて、ストレスをためないように心がけています。

最近ね、町に出ると良く気付くんです。行政の方はいったい国民のために何をしているのだと、いいたい。皆さん、自分の回りを360度見てほしい。私は身体が不自由で福祉の遅れに腹が立つやら情けない思いがします。もっと書きたいことたくさんありますが、今日はこれにてペンを置きます。私の好きな言葉は「努力、勇気、柔軟性」です。継続は力なりで行きます。1996/5/11

大阪市 故SM


この通信から数週間足らずで、Sさんは亡くなりました。39号に掲載が間に合わなかったのが悔やまれます。Sさんのご冥福を心よりお祈りするとともに、最愛の奥さん・Nさんが一日も早く立ち直られるよう、願ってやみません。皆さん、奥さんを励ましてください。

編集委員 松井




夢運び人さん、亡きKにありがとうございました


今年も梅雨の季節を迎え、うっとうしい毎日となりました。「夢運び人」さん、たびたびお電話やお手紙をいただき、たいへん嬉しく思って居ります。6月10日にお手紙をいただきましてから、ヴェルディ川崎からの連絡を待っておりましたところ、6月2日に三浦知良選手のマネージメント事務所、オフィス・ハットトリックの関根様より一通のお手紙が届きました。

「夢運び人さん」の手紙がヴェルディ経由で届き、あなたの本の帯へのコメント依頼がありました。カズ選手と話し合った結果、「夢運び人さん」をはじめ、K様を囲む方々のお気持ちを考えたら、協力させていただきたいのは、やまやまなのですが、何分、K様のことを知ったのは初めてなので、無責任にコメントをすると、あとあとS様にご迷惑をかけることになりかねないということで、名前をお貸しすることはできません。しかし、人工呼吸器を付けてまで一生懸命に応援し、ゴールを喜んでくれたKS様へ個人的に何かプレゼントをさせていただこうと考えています。しばらくお待ちください。という手紙の内容でした。

私は6月7日にマネージメントの関根様へお電話を入れました。サッカー大好き、カズ選手大好きで、ナイショ話のようなかすかな声で夢中で応援していたこと、それから出版しました『あの子の笑顔は永遠に』の文中にもたくさんカズ選手を応援している場面があることをお話ししました。よくご理解いただけるように、本をお送りすることをお約束しました。

8月11日、『あの子の笑顔は永遠に』と「はがき通信」1部をお送りいたしました。その後しばらくして、8月18日、雨降るなか、小包が届きました。
それはなんと、サッカーボールのマークが付いたJリーグからの小包でした。急いで開封しますと、カズ選手のサイン入り色紙でした。

「KS君、応援ありがとう!」と大きく書かれ、カズ選手の名前が書かれていました。そして左側下にはカズ選手の写真も入っていました。それからもう一つのプレゼントはカズ選手が練習時に着るユニホームシャツでした。グリーンで縁取られた純白なシャツでした。

胸元には“Jリーグ”と輝くグリーンの大きな英文字で書かれていました。左胸にはJリーグの鷹のマスコットマークが美しく羽を広げていました。これはカズ選手の着たトレーナーなのかしら? ゼッケンNO.11も入っていました。
さっそくKの霊前に飾り、喜びを共にいたしました。感激のあまり、Kの遺影も喜びの涙にくれているように見えました。 

また、小包と一緒にあった関根様からのお手紙には「8月13日にK君の本をカズ選手に確かに渡しました」と書かれてありました。また「Kさんは体操だけでなく、野球、サッカー、陸上など、幅広くスポーツを愛した、まさにスポーツ少年であったことが文章から読み取れます。同時に、皆さんから本当に愛されていたと感じました。もちろん一番残念に思っていたのはKさん自身だと思いますが、スポーツマンらしく明るく前向きに、そして勇敢に怪我と戦いました。また、Kさんの闘病生活を支えられたご家族のご協力と、愛情に敬服いたしております」と、ご感想を寄せてくださいました。

「夢運び人」さん、このたぴは亡きKのために優しいお心をありがとうございました。何とお礼を申しあげて良いのかわかりません。心からお礼を申しあげます。カズ選手が練習で着る純白なユニホームシャツにはほのかに香水の香りがするのです。きっとカズ選手の暖かいお心づかいかと思われます.。わが家の宝物として大切に大切に保管いたします。本当にありがとうございました。うっとうしい季節の折、どうぞお身体に気を付けてくださいますように。

お礼まで 埼玉県  HS




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