No.189 2021/7/1
Page 1 . 2 . 3 . 4

前ページへ戻る

 小さなおじさん 其の5 

 「お袋さま帰還大作戦」の肝は、何と言っても地元のクリニック。ここに、再度の通院許可をもらわねば話が進まない。そこで、電話を入れて翌日の面談の約束を取り付ける。そして、ケアマネに電話。在宅が条件となるため、改めて契約し直さねばならない。こちらはお袋の様子を喜んでくれ、なにぶんにもクリニック次第ではあるが、準備に入ってくれた。
 そしてヘルパーさん。電話でボスにお袋の様子を伝え、全面的に協力してくれると頼もしいお返事を頂戴する、ありがたや。地元の福祉村にも再度話し相手をお願いできることとなり、一部始終をI子ちゃんにもご報告。皆とても喜んでくれた、お袋は、何と愛されていることよ。
 そして翌日。クリニックの先生と看護婦長との面談であるが、どちらもお袋の現状をご存じない。ここを出た患者のことは気にならないのか、と思ったがもちろん口には出さない。今、臍(へそ)を曲げられては元も子もなくなる。顔には出ちゃったかも。カロナール500についてお伝えすると、先生が席を離れ戻ったのは20分後。あちらの病院に確認していたのかしらん。
 そこで、お袋の退院を検討いただいており、その大前提としてクリニックへの受け入れを打診した。かなり困った顔をされていたが、その他の前提となるケアマネ、ヘルパー、搬送、デイサービス、福祉村の了承と協力は確約済みだと押し切り、しぶしぶながらも何とか承諾を頂戴する。

 次は玄関の改修。これまで車椅子での外出はわしの寝室窓からであったが、6畳間に介護用ベッド2つとなるので、玄関から出入りできるようにする必要がある。
 この話は進んでいたのだが、お袋の入院で頓挫(とんざ)していたので改めて煮詰める。開き戸では、車椅子で下がる必要があり不便。これは引き戸にしてもらう。そして昇降機。これがなければ段差がどうにもならん。玄関前に屋根も必要。ポストも玄関横に。そして、玄関から車庫へのアプローチはできるだけ勾配を緩く、などなど。
 が、この玄関から車庫へは、400kgはある庭石と毎年その収穫で恩恵に預かるミカンの木があり、これを何とかしてくれという。なるほど横は通れないか。
 そこで、長年お世話になっている植木屋に電話を入れるも、予定が詰まっているので時間が欲しいと言われ、結局3週間ほどを費やすこととなった。この間も「今日も帰れないの?」と言うお袋をなだめすかして過ごすも、何とかならないものかと、こちらもストレスが限界に達していた。
 さらに、ここでケアマネから泣きが入った。訪看がどこも一杯で見つからないというのだ。これは弱った、病院側からの絶対条件だ。さて、どうすんべと悩んでも答えは出ない。そこで、ヘルパーのボスに泣きついた。すると「……あたってみます」と電話が切れ、間もなくして「週1ですが確保できました」と吉報が届く。
 できるできると思っていたがこの人は凄い、本当にやってくれた。系列会社の訪看さんをねじ込んでくれたのだ。これで、すべての課題は準備できた。
 あとは、病院側と具体的な交渉に入り、そののちに担当部署のボスたちを交えて、1週間のスケジュールを調整することとなる。改修工事も順調に思えた。

鈴木@横須賀

 「はがき通信」collection 

 「はがき通信」に過去に掲載された投稿を再録するコーナーです。
 バックナンバーを読み返していたところ、故T.Nさんの“ことば遊び集”がとても懐かしく、このコロナ禍にクスッと笑え、少しでもホンワカした気分になれるのでは?と思い、再録させていただきました。[掲載:94号他多数]

 五輪の準備に余念がない中国。マウスをねずに操作する。盆カレー。残酷暑。金髪ギャルをカラカウワ通り。ハワイではオーシャンビューの部屋、帰国すると台風ビューの部屋。12センチな気持ち。あなどれん分泌物。蓄音機についての薀蓄。野球界もスト(レス)社会。ウルトラマンもパラリンピックで手話っち!。寝つきのいいのキツネ。スロー風土。漢字変換ミスコンテストの女王。ビザの宅配もあればいいのに。ピルを否認する。土佐のガイダンス済んだ伊賀の里。政権を奪いとるためにダッシュ。新潟へボラの大群。松坂さまに恋に落ちる女子アナ。長崎のおくんちにはもってこーいの天気。遺産としてヘリ提示。Islandを伊豆大島のことと思っていた。地球存亡の時。競馬場で三練炭自殺の起こる確率。うたが和歌っ短歌!?。野暮天はおでんに入れるぞ。大学芋駅弁。漫画喫茶を満喫する。相手の手相。気合を発する!発する!。勤労患者の日。北風ぴーぷる。感謝深謝い。ヨソ様の芝生は青く見えるのさ。ようやくドナウ川に住めたな。有明海のワラスボに目がない。酷薄な打ち明け話。イラクとクソ法。くだらない便秘とつまらない下痢。池矢絵里奈みるルミナリエ夜景。丈夫なアルミ冊子。小父谷市に雑炊の炊き出し。焼き肉のばかタレ。法王の罰(バチ)監視国。不況の正月におせちがらい料理。一位に三枝語録、名は「苦汁」。酢語録。現代のドンキホーテは焦る番です。両親の呵責に責めさいなまれる子ども。音声多重人格放送。イケメン類好きのおば様たち。のろいウイルスとは言えぬ。鞭々の女王様。スリランカの古い正論党。ニセ札まんえん。鹿島市むすめ。コロンでもただでは起きない車いす。用心震災よ。浅田真央のフィギア。聖職者の破廉恥漢々踊り。孫は正義の味方。千栗を「ちりく」と読めない女子アナをチクリと批判。万博は行列が長久手会場。ヒマ人のマヒ人。お花見で妊婦も待つけん産婆。憲法の窮状を訴える。デマ交信にご用心。あんまり突っ張ってるとコキンと酒席で折れるよ。ソレイユけ太陽。詩人のように凛とした石垣。くり返すなんまんだぶる。東北楽天銀行。おじゃま無視。昼下がりの事情。



【編集後記】

 家庭の諸事情により、無理せず、少ないページ数で編集させていただきました。

 家庭の諸事情……今年年明け1月に父が持病の悪化により、緊急入院。幸いにも、自宅からほど近いかかりつけの病院に入院することができた。ちょうど同じ日に母のショートステイと重なり、母を送り出し、こちらも運良くショートステイを1ヶ月くらい延長することができた。このくらいの幸運、いきなり1人暮らしに陥った重度障害者に神様が与えてくださってもよかろう。
 現在母は、市内のグループホームに入居している。(簡単に言ってしまえばそうなるのだが)コロナ禍のなか面会等一切できず、ホームでの生活ぶりはまったくわからない。
 父は2週間で退院。入院中に介護保険認定も受け、要介護1に。現在は入院前より弱々しくなってしまったが、何とか入院前の日常生活を取り戻し、私と同じ曜日にデイサービスに通い始めた。4歳になった元気いっぱいのニャンコと日々、2人と1匹で精いっぱい暮らしている。
 今年度は、介護保険報酬改定に当たる。介護職の処遇改善は、少しはされたのだろうか。報酬改定は、利用者にも利用料金の値上げという形で跳ね返ってくる。細かいことでいうと、紙オムツの支給要件も厳しくなった。
 40歳から介護保険料を国民皆支払っているわけだが、いざサービスを使うとなると、決して安いものではないと両親の件で感じる。介護保険料が20年前より、2倍になったとか。新聞記事に書いてあった。元気なうちはよいが、「老後はお金」とつくづく思ったりもする。
 オリンピックやコロナ騒動で、莫大なお金を使ったであろう日本の財政、社会保障費は、ますます厳しくなってゆくに違いない。そして、団塊の世代が高齢者になってきている。
 我々重度障害者に、生き延びる術はあるのか? 本当に不安になる。Oさんの「介護保険年齢まで生きていたくない」の言葉が、頭の中をよぎる。ふと思ったのだが、医療的ケアが必要な頸損(四肢マヒ者)は、いわゆる“特養”に入れるのだろうか?
 何だか、暗いお話になってしまいました……。

 今朝、玄関に置いた、フラワーアレジメントで生けたシャクヤクが満開になっていた。満開のシャクヤクは、本当に美しい。
 次号の編集担当は、藤田忠さんです。

編集担当:瀬出井 弘美


………………《編集担当》………………
◇ 瀬出井 弘美 (神奈川県)
◇ 藤田 忠   (福岡県) 
………………《広報担当》………………
◇ 土田 浩敬  (兵庫県) 

post_card_comm_14520@yahoo.co.jp

発行:九州障害者定期刊行物協会
〒812-0044 福岡市博多区千代4-29-24 三原第3ビル3F
TEL:092-753-9722 FAX:092-753-9723
E-mail:qsk@plum.ocn.ne.jp

このページの先頭へもどる


HOME ホームページ MAIL ご意見ご要望