No.183 2020/7/10
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 ITB(バクロフェン髄注療法)その後 

 「はがき通信」179号に掲載していただきました通り、痛みと不随意な筋肉の緊張、痙性に悩まされていた私は、令和元年8月19日に医大病院にてITB療法(バクロフェン髄注療法)を受けるためのポンプ埋め込み手術を受けました。

 術後8ヶ月経過(※令和2年4月現在)しましたが、自分の記録も兼ねて情報発信したいと思います。主観も入ります、感情的な部分も入りますがご容赦下さい。
 手術を受ける前、半年間ほど悩んでいました。何もしないで悶々としている日々はとても辛く、生きている心地すらない状態でした。
 結論から申しますと、受けてよかったのではないかと思います。

 【手術を受けて改善できた点】
 顔が歪(ゆが)むほどの極端な左半身の緊張が少なくなった。
 クローヌス(脚の貧乏揺すりのような症状)はほとんど出現しなくなった。
 手術を受ける前より物事に集中して取り組めるようになった。
 痙性治療薬(リオレサール)の内服を止めることができた。
 夜間の睡眠改善

 【もう少し期待したい点・あるいは改善できなかった点】
 (これは加齢に伴うこともありますので一概に言えませんが)
 全身の締め付け感
 仰臥位になったときの急な脚の屈曲
 胸部の締め付け感による発声、及び肺活量の向上
 薬液流量の調整が難しい
 痙性に伴う痛みの改善

 ITB療法を行なっている医療機関は限られており、外出先でポンプ等のトラブルがあった場合情報共有できるよう、以下の手帳を常時携帯しています。


 薬液量の調整は難しいですが、調整の基準として夜間の睡眠が取れているかで考えるようにと言われました。(夜間だけ流量を増やすことも可)
 季節によって気温の変化と共に痙性の強弱がある方は、そのつど調整が必要です。流量を増やしすぎると、脱力感が増し体幹保持が困難なため、ある程度の痙性は残すようにしています。
 感覚は自分しかわからないことなので、薬液量を把握し、痙性状態を記録することが大事だと思います。心配していた術後のトラブルですが、術後1ヶ月経過しないうちに髄腔から髄液漏れがあり、背部に水風船のような浮腫ができました。


 浮腫は1ヶ月おきに注射器で2回穿刺(せんし)し、髄液(1回目20ml)(2回目10ml)排出しました。
 その後経過観察しましたが、浮腫は引かなかったため、埋め込み術後3ヶ月目で、再び髄腔とカテーテルの結束術を受けました。(部分麻酔で日帰り手術)
 「ITB療法の術後浮腫はよくおこります」との説明でしたが、すでに受けていらっしゃる方3人に問い合わせたところ「聞いたことはない」とのことでした。その後、自然吸収し現在浮腫は消失しています。  腹部の手術跡の状態です。


 寝た状態なのでほとんど膨らみはわかりませんが、触ると硬いものが触れるようです。リハビリに関しては伏臥位は不可、長座位での前屈も筋肉を切ってポケットを作っているので、創部が落ち着くまで1ヶ月は禁止でした。
 MRI検査に関しては注意が必要で、3.0テスラ以下の磁力で使用が可能と手帳には記載されておりましたので、担当医師と相談し今後受ける予定です。(MRIを受けるとポンプが一時的に停止し、20分以内に再開するが、流量設定プログラムにその後、異状がないか確認が必要)
 筋肉の緊張、痙性、全身の痛みは依然続いていますが、私の場合6割方軽減したように思います。3ヶ月毎に薬液の入れ替え、補充を受けています。痙性の状態が変化したときは連絡し薬液量の調整を受けるなど、術後の通院頻度はもちろん多くなりました。
 術後8ヶ月経過している現在ですが、しばらく薬液量の調整をしながら、拘縮予防のリハビリを受け適度な流量を模索していきたいです。ポンプの電池交換が6年後にあります。また全身麻酔での手術、入院となります。
 その頃も、思い描いて生活することが大切ですね。どうか、再生医療も進んでいますように、生活の質が向上していますように……。
179号「ITB療法の手術体験談」

奈良県:M.K.

 ★☆ ひとくちインフォメーション ☆★

★ コロナ医療現場からの報告

   ※購読者のAさんのご家族のお知り合いで、コロナ対応されている看護師さんからの情報です。[抜粋]
 
 東京の大学医学部付属病院で看護師をしている者です。このたび4月頭からコロナ外来に選出され、毎日PCRや入院手続きなど実施しています。まず大事なのは漠然と怖がらないで、きちんと理解して適切に怖がろうということです。空気感染ではないので、ふわふわ飛んているのではなく接触! 飛沫! 人のしゃべるツバ! この見えない概念の理解が大事かなと思っています。

 以下、100人くらい問診した結果からの情報です。
 《症状の特徴》
 コロナウィルスは7日~10日にピークを迎えます。
 最初に倦怠感が顕著に出る
 頭痛がほとんどの人で出現
 下痢(回数は多くない)も多い
 途中から味覚と共に嗅覚も全くなくなる人が半分くらいる
 発熱 軽症:微熱がだらだらと続く
     中症:39度台くらいまで上がる
     重症:38度以上がずっと続く
 特徴は一旦7日目くらいにおさまってまたぐんぐん出る
 日内変動はある
 咳や痰はあまり多くない印象
 若くても息切れが出てくる
 喘息や喫煙歴、糖尿病があると重篤化しやすい
 肺炎像は両肺に淡い影がはっきりと出る(レントゲンよりCTでしか読影できないことあり、CTがいい)

 《実際にうつる場所の印象》
 居酒屋や外食店のホールスタッフの手が怪しい! 毎回手指消毒していなければウィルスのついたお皿をさげて次の人のお皿を運んでいる可能性が十分あります。
 ライブハウス系の人はよく来ます。
 陽性の出た人の家族はほぼみんな陽性です。
 孫が祖父祖母宅に遊びに行って濃厚接触をする。
 病院関係のクラスターとその家族や、それらの人と接触した人。

 《私が気をつけていること》
 口から入るのが一番うつるので食べる前、ドアノブなどどこも触らない状態にしてから、爪や指と指の間までしっかりと洗う! これにつきます!
 1日8時間睡眠(睡眠を十分にとる)
 現金は一切触らず全て電子マネー。
 クラスターになっている場所や病院はできる限り行かない。
 携帯電話は食事中触らない。帰宅後はまず第一に消毒してから家にいれる。
 マスクの表面は絶対に触らない。ポケットにしまった手は汚染されていると認識する。(マスクは基本1枚/日)
 タクシーに乗らない。実はコロナ患者さんはタクシーで移動してる人が多いので、タクシーは基本的にコロナウィルスウヨウヨです。

 以上です。必要以上に怖くなるような情報は避けたつもりです。
 日本は、他国よりだいたい2週間ほど対策や実行が遅れている印象があります。お金の心配も絶対あると思います。ですが、目先のことより、今ぐっとこらえることが大事な命を救ってくれます。私が今いる病院の中もまさにコロナ戦争ですが、みなさんに応援してもらって私たち医療従事者は頑張れています。本当に感謝しています。   

2020年4月18日 看護師

 
 【訂 正】
 182号【特集! 介護保険が組み込まれての生活】に「介護保険導入後の生活」を投稿したF川ですが、2ヶ所誤りがありましたので、訂正してお詫びします。
 1.介護保険制度は国家によって「5年に1回見直しされる。」とあるのは、3年に1回のまちがい。
 2.(4)「それと重訪の時代からあるものだが、外出に同行してもらうと、1時間1000円、自費分は1割だから100円ぐらいかかる(細かくいうと30分刻み)。」とありますが、それ以下「重訪一本の時代はわかりやすかった。」まで削除してください。すみません。

(F川)

 

 全員参加企画
『いいモノ見つけた!』 ~34~

【電動エアコンプレッサー】

 ●手動・電動車イスの空気入れに、トンボ口金・英式バルブアダプターを装着(写真)


 手動・電動車いすの空気入れに使用可能なコードレス式・電動エアコンプレッサー。自転車(車いす)用の英式・米式バルブを含め、バイク、自動車、ボール等用のアダプターが付属。使ってみるまで心配な、アマゾンに山ほどある知名度の低い中華メーカー製。英式バルブ用の(洗濯バサミのような)トンボ口金が付属していることを条件に、商品レビューもまあまあで、価格とコンパクトさにつられて購入。
 特に手動車いすのタイヤは、手動式空気入れで入れたときに比べて、空気がパンパンに入るようになりました。満充電で2~3回ほど使用可能で、半年間故障も不具合もなく便利に使用しています。価格は5500円くらい(時どき、アマゾンタイムセールあり)。「電動エアコンプレッサー」で検索すればたくさんヒットします。
 なお、アマゾンの中華メーカーはやらせレビューが多いという説もあり、やらせレビューの判定サイトとして「サクラチェッカー」があります。

 紹介者:キロパスカル



【編集後記】

 新型コロナウィルスの終息がいまだ見えない中、皆さん不安と外出自粛の日々をお過ごしでしょうか? 私は、週1回のデイサービスにはずっと通所しており(予防策的に休んでいる方もいますが)、デイでのマージャンが気晴らしになっています。(笑)

 広島のKさんが秋に今年の懇親会の開催を検討してくださっていたのですが、5月にお電話にてお話させていただきましたが、この先どうなるのか……まったく先が読めない現在、今年の懇親会は「見合わせる」こととなりました。皆さんと、また安心して交流できる日がきますように!

 そして、たいへん残念なお知らせですが、編集担当の戸羽吉則さんが「目の病が悪化して左目の視野全体が歪(ゆが)んで見えるようになり文字が読みづらくなったこと」「肩の随意運動の自由度が下がって長時間のパソコン作業が困難になったこと」の2つの身体的ご事情、ご理由で編集担当を退任されることになりました。
 戸羽さんには5年半、編集担当として、「はがき通信」継続のためにご尽力いただきました。また、後任の決まらないネット版の更新作業も兼任していただきました。本当にありがとうございました。お身体、くれぐれもお大事に、今後はネット版読者の立場でご投稿くださるということですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次号の編集担当は、藤田忠さんです。
 

編集担当:瀬出井 弘美


………………《編集担当》………………
◇ 瀬出井 弘美 (神奈川県)
◇ 藤田 忠   (福岡県) 
………………《広報担当》………………
◇ 土田 浩敬  (兵庫県) 

post_card_comm_14520@yahoo.co.jp

発行:九州障害者定期刊行物協会
〒812-0054 福岡市東区馬出2-2-18
TEL:092-753-9722 FAX:092-753-9723
E-mail:qsk@plum.ocn.ne.jp

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