はがき通信ホームページへもどる No.162 2016.12.25.
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 相模原事件を風化させてはならない 


 相模原の悲惨な事件から4ヶ月しか経っていないのに、すでに遠い過去の出来事のようにテレビをはじめとするマスメディアでは、ほとんど取り上げられることはなくなった。事件が起きてすぐアメリカ政府、ロシアのプーチン大統領、ローマ法王など追悼の声明を出した。しかし、日本は当事国でありながら安倍総理は何の声明も出さなかった。
 私は抗議の意味を込めて、内閣府に安倍総理の声明を要請するメールを送ったが当然受け入れるはずもなく、日本における障害者の命の重さが軽んじられているようで憤りを感じた。
 あれから4ヶ月、このまま史上最悪と言ってもよい悲惨な事件を風化させて良いのだろうか。せめて私たち障害当事者だけは障害者の命の重さを鑑みながら忘れることがないようにしたいものだ。
 あの事件が起きた背景に犯人の措置入院(精神障害)、薬物、「重度障害者は生きている意味がない」といった優生思想、家庭・生活・社会環境問題などさまざまな要因が取りざたされているが、未だに主な動機・要因は解明されていない。しかし個人的にはそんなことはどうでもよくて、障害者の命が軽んじられたことは事実であり、それを許すことは障害当事者として絶対にできない。
 ネットでは匿名ということもあり、あの犯人を擁護、賛美する書き込みがあとを絶たない。最近「不寛容」という言葉が社会問題になっているが、まさに現代社会が不寛容という底知れぬ恐怖へ向かっているようで、マイノリティーにとってはより住みにくい社会になって行くようで不安で仕方がない。
 さらにあの事件で別の問題が問われている。それは遺族の意向による被害当事者(障害者)の匿名報道である。一般的には被害者であっても実名報道が暗黙の了解となっている。賛否両論はあるようだが、障害当事者団体等は匿名報道に反発している。障害者だから名前を出さないのは差別であると。障害者個人として生きてきた証しが匿名により表に出ることはない。それは名前だけの問題ではなく、存在すらこの世から抹消されたようで私には辛い。
 しかしほとんどの遺族(家族)が実名を拒み匿名とした。遺族が実名を拒む理由は、あの犯人の言動(社会の有り様を代弁したもの)と言っても過言ではない。つまり優生思想による障害者への差別や偏見である。私たち障害者も長年差別や偏見をなくそうと日々啓発活動を続けているが、ある意味当たり前かもしれないが、差別や偏見はなくなる気配はない。むしろ最近はネットの投稿に代表されるように差別や偏見は平然とまかり通っている。
 そんな状況で遺族が実名報道したら、遺族がいわれのない誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)を受けることは分かりきっている。社会から差別や偏見がなくならない限り、遺族は実名に踏み切ることはないのかも知れない。遺族の気持ちも理解することも大切だと思う。悪いのは差別や偏見を許し続けている社会であって他の誰でもない。

匿名希望



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 ◆外国人介護士を全面解禁=関連2法成立、実習も受け入れ

 外国人が介護福祉士として就労することを全面的に解禁するとともに、介護現場に外国人の技能実習生を受け入れることも可能にする関連2法が18日午前の参院本会議で、与党と民進党などの賛成多数で可決され、成立した。
 1年以内に施行される。少子高齢化に伴う介護人材の不足を、外国人への門戸開放で補完するのが狙い。
 関連2法は、改正出入国管理及び難民認定法(入管法)と外国人技能実習適正化法。
 日本はこれまで、経済連携協定(EPA)を締結しているベトナム、フィリピン、インドネシアの3カ国出身者のみ、介護福祉士の国家資格取得を認めてきた。今回の入管法改正により、全ての国の人に機会を与える。
 一方、外国人が日本で働きながら技能を身に付ける外国人技能実習制度は従来、農業や製造業、建設業を対象としてきたが、今後は新たに介護分野も認める。 
 (情報提供:平成28年11月18日 時事通信)


 ◆障害者差別解消法施行半年 相談窓口設置3割届かず

 全国の市区町村のうち、4月に施行された障害者差別解消法が求めた障害者の相談窓口を設置した自治体は、3割に満たないことが明らかになった。法施行後も差別的な対応が問題になっている中で、多くの障害者にとって相談できる窓口がない状況が続いている。
 窓口の名称は「障害者差別解消支援地域協議会」。障害者団体、家族会、医師、学識経験者らで構成し、自治体が事務を担う。設置は義務ではないが、障害者の相談に応じるほか、法律の啓発を進める。
 法律を所管する内閣府が施行半年後の10月1日現在でまとめた結果、全国1741市区町村のうち、協議会を設置したのは507だった。来年4月までの新たな設置予定も調べたところ、215にとどまった。施行1年を迎えた段階でも、4割までしか設置が進まないことになる。
 障害者が不利益を受ける問題は法施行後も続き、5月に筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の男性が国会に参考人として招かれながら、障害を理由に一転して出席を拒まれた。8月には埼玉県入間市共催の大相撲地方巡業で、車いす観戦を断られたことが明らかになった。国会や入間市は批判を受け、後になって方針を転換している。
 13の障害者団体でつくる「日本障害フォーラム」は「障害者の要望を実現するためにも身近な相談窓口が必要だ。協議会には法律の趣旨を広める役割もある。設置する自治体が増えてほしい」と要望。内閣府の担当者は「設置が十分ではないので、自治体に法律の趣旨を説明していく」と話している。 (城島建治)

 ◇世田谷区では相談49件対応 積極的な取り組み
 東京都世田谷区は、障害者差別解消法施行の9年前から、障害者差別解消支援地域協議会に相当する「区自立支援協議会」を設置し、関係機関と連携して差別解消に取り組んできた。
 法施行後は49人の区民から相談を受けた。「車いすでレストランに行ったら、段差で入れなかったのに対応してくれなかった」「選挙の投票所の出口に段差スロープがなかった」など。レストランには法の趣旨を説明し、車いすに対応してもらった。投票所ではスロープ設置を徹底した。



 協議会のメンバーは障害者団体、家族会、弁護士、障害者福祉の事業者ら約40人。地域協議会より幅広い役割を果たしているとして、名称を変えていない。
 (情報提供:平成28年11月28日 東京新聞)







【編集後記】


 本誌は4月6日現在で購読者数は226名(そのうち未納者数51名)と、年間購読料1,000円での発行に不可欠な購読者300人を大幅に切っている状況にあります。そのことから昨年秋よりお伝えしたように、やむをえず来年の2017年度より年間購読料を1,500円にさせていただきたく存じます。なにとぞ事情をおくみ取りいただきご了承のほどお願い申し上げます。

 話は変わって、ベッド角度を上げて座位のときに、両脇のベッド柵を使って、ときには姿勢の修正や保持を行っています。先日、座位でベッド柵に力を加えたときに片側がボキッと真っ二つに折れて、横倒れしベッドから落ちそうになりました。1ヶ月前からベッド柵の1ヶ所の溶接が外れていたのに気づき、近所の鉄工所に溶接を頼まなければと思うだけで放置していたことが原因でした。一歩間違えばベッドから転落、頭を強打とかの大惨事になるところでした。今回の失敗から、早くすべき大事なことは後回しにしないことを身をもって学びました。
 次号の編集担当は、戸羽吉則さんです

 編集担当:藤田 忠




………………《編集担当》………………
◇ 藤田 忠  福岡県 E-mail:stonesandeggs99@yahoo.co.jp
◇ 瀬出井弘美  神奈川県 E-mail:h-sedei@js7.so-net.ne.jp
◇ 戸羽 吉則 北海道 E-mail:toba@blue.ocn.ne.jp

………………《広報担当》………………
◇ 麸澤 孝 東京都 E-mail:fzw@nifty.com

………………《編集顧問》………………
◇ 向坊弘道  (永久名誉顧問)

(2015年2月時点での連絡先です)

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