はがき通信ホームページへもどる No.162 2016.12.25.
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 ◆特集 姫路城5景 

67歳、C5損傷29年


1. 姫路城は美しいだけの城ではなかった。堀に囲まれた要塞であり、簡単に天守閣までは行けない。



2. この門まで来るのにそうとう難儀したが、ここから坂はさらにきつくなり、外国人を含む多くのかたの助力を得た。江戸時代はさらなる難路だったろう。



3. ようやくたどり着いた天守閣。「はがき通信」一行の背後から望む。晴れていれば白鷺城の別名を堪能できたことだろう。



4. 天守閣を仰ぎ見る。左下に観光客の列が見える。城の中に入れるのだろうか。



5. ピンクの姫路城。「姫路から全世界にむけて乳がんの早期発見の大切さを強く情報発信する」というイベントが、姫路懇親会のちょうど10月1日におこなわれた。年に一夜だけのこと。


   

東京都:藤川景・京子


 特集 受傷後初めての3泊4日 

59歳、C4、頸損歴23年目、人工呼吸器、電動車イス使用

 今年もはがき通信懇親会に参加させていただきました。これで7年連続です。今年は姫路、皆さんありがとうございました。じつは今回は受傷後初めての3泊4日でした。以下には雑多ではありますが、旅行の種々を御報告したいと思います。



 (1)3泊4日を実現するために
 私は通常週2回、訪看さんに浣腸をしてもらっています。つまり、長くて4日後には排便しなければなりません。看護師さんが同行しない限り、これが今までの3泊4日旅行を実現できない壁でした。今回は、なじみの訪看さんに通常9:00からの処置に対して、7:30からをお願いしたところ快くお引き受け下さいました。これによって、準備〜新幹線〜姫路17時到着が可能になって懇親会18時にも参加できて、残り3泊4日が可能になったのでした。



 (2)はがき通信懇親会〜姫路城
 1日目の夕、はがき通信懇親会が催されましたが、これがじつに立派なレストランでした。初めて〜何年ぶりのお顔、お会いできたことだけで元気をいただきます。今回は先達を差し置いて私が乾杯の音頭を仰せつかり、しかし7年連続出席の御褒美(orお仕置き?)と考えお引き受けした次第です。
 2日目の午前は姫路城へ行きました。宏大雄壮=お堀や門まで城の体裁がこれほど整っているところは初めてでした。しかし、坂が急で天守閣の一歩手前で断念せざるを得ませんでした。また、近くの好古園という庭園にも行きました。お城の観光客の混雑に比べて、こちらは比較的空いていて落ち着いたたたずまいでした。



 2日目の午後は「四肢麻痺者の排泄」というシンポジウムを聴講させていただきました。私自身は排便に不都合は感じていないので、会場内でストーマにしている人が少なくとも6人と意外に多いことに驚きました。
 2日目の夕は、Fさん御夫妻と夕食を御一緒させていただきました。小グループでの観光・会食も懇親会の楽しみのひとつです。そして、なるべく御当地名物をということで生姜醤油おでんと串鳥を食べました。しかし、飲むと話もできなくなるくらい弱くなってしまったので、お酒を控えなければならなかったことは残念でした。
 3日目の午前は、はがき通信会議に参加しました。印象に残ったことは、訪問看護が3割負担の県もあるということ=私のところは1回250円のみで最高でも月2250円ですが、それが月30000円もかかってしまう勘定です。意外なところに地域差があるんですね。



 (3)名古屋〜岡崎での施設見学
 3日目の午後は名古屋に行きました。市立科学館で東洋一というプラネタリウムを観覧するつもりだったのですが、事前の抽選で外れてしまって、それでも外からでも見ておこうと思ったのでした。



夕食は名古屋駅地下名店街で名古屋名物の味噌串(みそくし)かつ、(もつ)土手鍋、エビフライ寿司等をいただきました。これが八丁味噌の甘いのを使っていて、ふだん東北地方の塩味ベースな私にはすごく甘く感じました。夜は名古屋駅の上にある超デラックスなホテルに泊まりました。ツイン1泊36000円は死ぬ前に行っといてよかったと思うことでしょう。
 4日目は岡崎に今年4月に開所した施設見学をさせてもらいました。脳性マヒの理事長Kさんが御主人はじめ多くの方々の御協力を得ながら、種々のイベントを行って9年間かけて開設したのでした。そこに夢が形になっていることに感激しました。送迎用の福祉車両3台、機械浴槽は全部企業からの寄付だそうで、これまでの活動の成果です。



 生活介護(定員10名)+就労継続支援B型(定員10名)+喫茶店で構成されていましたが、当日の利用者が4人だけと経営的には厳しい模様でした。これから利用者が増えて長く運営されることを望むばかりです。

 (4)新幹線
 今回、東海道新幹線で初めて広い多目的室を利用しました。私の大きい電動車イスがスッポリ収まりドアも閉められました。しかし、全部の号車ではなく、姫路から名古屋への号車は従前の狭い多目的室でした。一方、上越新幹線の「とき」には多目的室はなく、最前列の座席ひとつを外してスペースを作っているだけで、私の車イスは大きすぎて出入り口のセンサーが感知してドアが閉まりません。しかたなくデッキに出ていましたが、到着駅毎に開くドアの反対側に移動しなければなりませんでした。東海道新幹線のように車イス席が進化してほしいと思いました。
 (以上2016年11月8日記)

 新潟市:T.H.


 ◆特集 はがき通信・兵庫頸髓損傷者連絡会 合同シンポジウム
    「四肢麻痺者の排泄」
 

 1.はじめに
 皆様こんにちは。
 兵庫県に住んでいる、土田浩敬と申します。以前も一度「はがき通信」に、私の原稿を掲載していただいたので、今号が2度目となります。そして、このたび「はがき通信」の広報担当として、現在担当されている麸澤さんから引き継ぎ、これから携わらせていただきます。至らないところもあると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 秋も終わり、頸損者にとって寒くて過ごしにくい季節になりましたね。気温の低下もあって、風邪等をひいて体調を崩されていませんか。寒くなってくると、肩こりがひどくなったり、痰が絡んだり、痙性が強くなったりと何かと不具合が出てきますよね。健康体を保つということは、頸損者にとっては難しいテーマであり大事なことだということは、皆様も十分に承知されていると思います。
 今回は、頸損者にとって悩ましい問題である“排泄”について取り上げたシンポジウムが、10月1日(土)姫路市にある専門学校の講堂をお借りして開催されました。私自身もシンポジストとして参加し、その場を借りて自身の問題を伝えることができたのではないかと思います。前置きが長くなりましたが「はがき通信・兵庫頸髓損傷者連絡会 合同シンポジウム」の報告させていただきます。

●会場の様子


 2.概要
 2016年10月1日(土)13:30〜16:30ハーベスト医療福祉専門学校1階講堂にて開催。
 はがき通信、兵庫頸髄損傷者連絡会(以下、兵庫頸損連とする)との共催。はがき通信懇親会に併せてシンポジウムが開かれました。

 3.排泄シンポジウム
 今回、私は急遽(きゅうきょ)シンポジストとして決まりました。なかなかシンポジストが決まらずに、停滞状態だったのですが、兵庫頸損連の役員会で、“若手が発表してはどうか?”という意見があがり、発表者が全て決まりました。時間のあまりない中でしたが、自分の現状を参加される方々に伝えて一緒に考える場になればいいなと思いながら、資料作りを行っていました。
 頸損者の排泄で困ることと言えば、便失禁やお腹のハリ、便秘……。泌尿器系でいえば膀胱結石や留置カテーテルのトラブル、過反射による血圧の上昇等、あげていけばキリがないですよね。読まれている皆様も、共感される方は多いと思われます。頸損連には、「You are not alone」1人じゃないよ、というスローガンがあるのですが、ご存知でしょうか? 同じ頸損なのですから、悩んでいることも、似たようなものが多いのです。排泄で困っているのは1人だけではなく、みんなも同じように困っているのです。
 悩みを共有して、問題について考える、いい機会になりました。頸損に特化して、排泄について話し合う機会は滅多にありません。
 シンポジウム当日、少し寝不足気味で、姫路に着きました。前日は懇親会に参加していましたので、少々疲れが残っています。会場のセッティング、打合せに参加していよいよ本番が始まります。
 シンポジウムの会場にも人が徐々に集まってきて、少し緊張感が増して来ました。私の発表についてですが、自己紹介から頸損の排泄の代表的な問題を例に挙げ、皆さんと同じなんだよ、ということを知ってもらいました。やはりそこでも、さまざまな問題があるということを伝え、今後の頸損者の理想とする排泄について、私なりの意見だったのですが発表させていただきました。

●事例報告


 最終的には全ての問題を、解決するのは難しいと思うのですが、改善していくことは可能です。参加された皆様も、自身の排泄について改めて考えて、より良い排泄を見出していただければ幸いです。
 私自身は資料を作って、イメージして発表の構想は考えていたので、ある程度の余裕を持って話すことができました。
 兵庫頸損連からS.Sさん、神奈川頸損連からF.Hさん、H.Sさん、皆さんそれぞれが自身の排泄法を発表されて、興味深いものになりました。個人的な意見なのですが、ストーマについて“もっと聞いてみたい”と思いました。発表を聞かれた皆様の中にも“ストーマにしてみたい”と思われる方もいたのではないでしょうか。近頃は、ストーマにされている方も増えて来ています。あと、H.Sさんがストーマに対して名前を付けていることが、とてもユニークでした。そのように、愛着を持って接することも管理の一貫なのですね。
 兵庫県立総合リハビリテーションセンターWOCナース(Wound創傷、Ostomyストーマ人工肛門、Continence失禁 皮膚、排泄ケア認定看護師)M.Tさんからも排泄のメカニズム、ストーマについてのお話も非常に参考になりました。
 2部のパネルディスカッションは意見交換の場となりました。さまざまな情報が飛び交い会場からの発言も貴重な情報となったのではないでしょうか。

●ディスカッション風景


 4、さいごに
 しかし、今回は基調講演なし、パネルディスカッションのコーディネーターなしという、異例のシンポジウムとなったわけです。それは、私たち実行委員の準備不足は否めませんが、今後の課題として、私たちのステップアップとなるように、務めていきたいと思いました。
 ともかく、頸損者にとって排泄問題は切っても切れない問題だと改めて実感しました。シンポジウムを通じて、さまざまな問題について共有ができて、それらの問題を考える機会になったのではないでしょうか。そして、皆さんが考える理想の排泄に、少しでも近づくように、頸損者にとって明るい兆しがさしてくることを願い、今回の「はがき通信・兵庫頸髓損傷者連絡会 合同シンポジウム」の報告を終えたいと思います。

●坂上懇親会実行委員長


 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

実行委員:土田浩敬

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