はがき通信ホームページへもどる No.154 2015.8.25.
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 全力と手抜きの使い分け 

C4、40代

 全身マヒの体になってもう二十数回目の夏を迎えました。この間ずっと自分にできることやできないことについて考えてきましたが、どうやら僕の中のどこかに「障害者だから」という気持ちがあるようです。障害者だからできない。障害者だから許してもらえる。障害者だからこれくらいでいい。という考えと、障害者だからこそできる。障害者だからこんな発想力がある。障害者だから伝えられることがある。という考えの2つです。
 まだ若かったころ、二十歳台後半のころは、障害者だからできない、という考えを言い訳と思い、その言葉を使いたくありませんでした。知恵を巡らせれば可能性は広がって、あれもこれもできるはずと挑戦して来ました。結果、叶わなかったことがほとんどでしたが、その代わりに何か別の大切なものを得たのではないかと思っています。ただ、無理はいけないな、と当時を振り返って強く思います。気持ちは先行しても、体力が追いついていかないことが多く、体調を崩すこともよくありました。
 それでは今はというと、もう手抜きしまくりです。「適当でいいだろう」「今まで頑張ってきたんだからこれくらいで」というようにです。僕の周りにいる人たち、介護ヘルパーさんや友人たちからは、僕が明るく笑顔でいるだけで、「ハンデがあるのにすごいね」「偉いね」と言われるようになり、その言葉に甘えてしまっています。
 ただ、今たくさん手抜きをしている中で、どうしても手を抜けないことが一つだけあり、それだけは常に全力で取り組んでいます。ほかで手抜きして、このことに力を注いでいます。なかなか大変なことなのですが、やりがいがあり、ふとしたときに達成感を得ることができます。もしかすると若かったころに努力してきたことは、これをやり遂げるための準備だったのかもしれない、と思うことさえあります。これからは全力と手抜きをうまく使い分けながら過ごしていきたいと思います。
 もちろん、挑戦し続けることが良いとか悪いとか、手抜きすることが良いとか悪いとかは、ひとそれぞれが決めることで、挑戦したいときもあれば手抜きをしたいときもあるのではないと思いますが、暑い夏、体調を崩されませんよう、ご自愛ください。
 

匿名希望



 訪問マッサージ 

 みなさんは高齢者や重度障害者が訪問マッサージを受けられることをご存じでしょうか。ご存じない方に少し説明したいと思います。
 私みたいに年齢を重ね障害者を何十年も続けていると、身体のあちこちに痛みが生じてしまい、特に肩こり、首こり、腰痛など、至る所が悲鳴を上げています。
 数年前、訪問マッサージの広告を見つけ、一度無料体験に来てもらいました。マッサージを受けるのは初めてで、肩こりや首こりが和らぎとても心地良い感じになりました。そのときに説明を受けたのですが、重度障害者は無料で訪問マッサージを受けることができるということでした。
 さっそく翌週から訪問マッサージに来てもらうように頼みました。しかし、訪問マッサージを受けるには掛り付けの医者の診断書が必要だということだったので、掛り付けの病院に行き担当医にお願いしたのですが、あっさり断られました。医者の中には訪問マッサージを快く思っていない医者もいるようで、結局は他の医者に診てもらって診断書を書いてもらい、訪問マッサージを受けることができるようになりました。
 なお、訪問マッサージは20分の時間制約があり、最初は物足りない感じでしたが、それでも週4回来てもらっているので、かなりの効果があり、今では訪問マッサージなしの生活は考えられません。
 また、マッサージをする担当者の質によって、こりのほぐれ具合がまったく違うので、マッサージ師を選ぶ際は注意が必要です。幸い私の担当のマッサージ師は超ベテランで、神の手を持つといっても過言ではないくらい、とても素晴らしいかたです。そういうかたですから、リクエストが多く、そのマッサージ師でないと辞めるという利用者が多く、おかげで、私のところには週1回しか来られない状況です。それでも、そのかたのマッサージを受けると心身ともリフレッシュできます。
 もし、まだご存じいないかたがおられましたら、一度無料体験に来てもらい、どのようなものなのか、お試しになってはどうでしょうか。

匿名希望


 肩の激痛の原因が、十二指腸潰瘍(かいよう)とは…… 

C6、頸損歴27年、49歳

 交通事故で頸椎5・6を損傷し、27年になります。6年前から、障害者アパートで一人暮らしをしています。
 2月に、十二指腸潰瘍で入院、手術をしたのですが、当初、原因がわからなかったため、かなりしんどい思いをしました。
 その夜、寝ていて、急に右肩が痛くなりました。痛みはだんだんひどくなり、そのうち、左肩も痛み出し、さらに、腹の張りも感じるようになりました。しばらくは、どうしたものかと考えていましたが、やっぱ、これはおかしい、異常事態だと思い、緊急の呼び出しボタンを使って、夜中でしたが職員に来てもらい、事情を話して、救急車を呼んでもらいました。そのときは、腹もかなり膨らんでいたそうです。
 ようやく病院に着いたものの、熱がなく、血液検査でも特に顕著な悪いデータが見当たらず、膀胱に尿も溜まってないということで(自分は腹が張り始めると、まず膀胱に尿が溜まっていないかを疑います)、原因がわからないまま、だいぶ長いこと待っていたように思いました。
 結局、どうも腹水がたまっているらしく、詳しく調べてみることになり、朝の4時か5時ごろ、ようやく病棟に入院しました。しかし、肩の激痛はずっと続いていて、腹の張りのせいか呼吸もしんどくなっていきました。入院した日が日曜日ということもあり、その日1日は、原因もまだわからないまま、肩の痛み、腹の張りが改善することもなく(このころは腹も妊婦さんのようになっていたらしく、めっちゃしんどかったんですが)、月曜日の詳しい検査を待つこととなりました(ホント長かった)。痛み止めも、ないよりはちょっとまし、という程度であまり効きませんでした。
 待ちに待った次の日、詳しく検査してもらった結果、腸のどこかに穴が開いていて、中のモノが腹部に漏れ出て、腹内に溜まっているということがわかり、緊急手術になりました。午後から手術と聞いて、とにかく待ち遠しくて、「早く手術してくれー」という気持ちでした。
 手術が終わると、肩の痛みは、すっかりとれていました。穴の場所は、開腹してみないとわからないと手術前に聞いていました。当初、大腸ではないかと考えられていたようなんですが、術後に、やっと、原因が十二指腸潰瘍だとわかりました。十二指腸潰瘍の穴が貫通してしまうまでわからなかったということです。自分は、脇より下は感覚がないので、腹部の痛みがわからないため、その代わりに、感覚のある「肩」に痛みが出たようです。
 それにしても、十二指腸潰瘍とは、予想外で、痛みはわからんにしても、この2〜3ヶ月振り返っても、吐き気とかもまったくなかったし、ホント突然でした。痛みの感覚がないということは、褥瘡の原因がわからなかったり、いつできた傷かわからなかったり、困ることは多いけど、痛みを感じないことの恐ろしさも改めて感じました。そもそも痛みがわかれば、穴が貫通する前に痛みでわかっただろうと思うし、ここまでひどくなることはなかったと思います。
 それと、熱は出ていませんでしたが、肺炎にもなっていたらしく、術後は肺に水がたまって、しばらくは痰(たん)が大量に出て、今度は、呼吸が苦しくて、しんどかった。すぐにリハビリがあったけど、しんどくて、車イスに5分も座れず、リハビリがきつかった。退院しても、体力の消耗と、肺にたまった水がまだ少し残っていて、座ると少し息苦しくなりました。肺の水はそのうち自然に身体に吸収されて、なくなるらしいんですが、完全によくなるまで、退院してから1ヶ月以上かかりました。頸損になって27年になり、入院生活も長かったし、いろいろな病院に入院したけど、今回の入院は他にないぐらいしんどかった。
 まあ、そんなわけで、えらい目に遭いました。入院して思うことは、やっぱ、病院より自分の部屋がよいです。設備が違います(病院は狭くモノが置けずとにかく不便)。
 原因がわかり手術が済んでから、1ヶ月で退院できましたが、今回、いろんなことがわかったんで、再発防止に気をつけたいと思っています。

福岡県:E.N.

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