はがき通信ホームページへもどる No.151 2015.2.25.
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全員参加企画 いいモノ見つけた! 〜15〜  



 
 
【わたしの寒さ対策グッズ】

この号が発行されるころには、少々季節外れの情報かもしれませんが……おすすめアイテムを紹介します。

『レンジでゆたぽん/首・肩用』

これは主に自宅で使用しています。入浴後、起床、就寝時などで体温を上げる手段として大変重宝しています。
 使い方は電子レンジで2分〜3分加熱するだけ。温かさの持続は30分ですが、寒気対策に効果大です。この商品は、さまざまな形状のものがあります。自分にあった商品を選ばれることをおすすめします。
 ただし、低温やけどなどの恐れもありますので、必ず家族や介助者がいるときに使用して下さい。ドラッグストア、量販店などで購入できます。

 販売元:株式会社・白元
http://www.hakugen.co.jp/products/character.php?pid=437


 紹介者:東京都:T.M.



 『臥龍窟日乗』 —のんたん— 


 のんたん、女子、二歳半。私の介護で婚期のおくれた長女の愛娘(まなむすめ)だ。覚えたての言葉を、人に聞かせたくてしようがない。少々ガニマタぎみの短い足で、ばたばた音をたてながら私の部屋に駆け込んでくる。
「じいたん、ご飯たべたかい?」
 と大声をあげる。これがあいさつだ。
 何にでも興味を持ち、何でもすぐに覚えてしまう。そういう時期なのだろう。週に2、3日やってくるが、そのたんびに新しい発見がある。
 ご多聞にもれず『アナと雪の女王』に夢中で、「クリスマスプレゼントは何がいい?」と訊くと、そくざに「あなゆき」と答える。人形だと1500円くらいかと皮算用して玩具屋につきあった。「雪の女王」をヤマほど積み上げてあるコーナーにつれていくが、のんたんは浮かぬ顔だ。
「これがいいよね」と勧めてもイヤイヤをする。ママに手を引かれ、広い売り場をさんざん歩き回って、けっきょく選んだのがお化粧ボックス。ホステスさんがよく持ち歩いているアレだ。外側に「あなゆき」のイラストが描いてある。
 値段を見て、じいたんはビックリした。5000円。なんとか1500円の人形にしてもらおうと、じいたんはあの手この手の策を弄するのだが、のんたんはお化粧ボックスをしっかりと胸に抱きしめ、離そうとしない。
 ウチに持ち帰って驚いた。おもちゃだと思っていたお化粧ボックスには、本物の化粧品が入っていた。イブの夜、のんたんは、ママが誂(あつら)えた「雪の女王」のドレスを着て、たんねんに顔を化粧してもらい、家族や親戚のまえで「あなゆき」の踊りを披露した。
 まぶたを半ば閉じ、夢見るような恍惚(こうこつ)の表情を浮かべて、のんたんは踊った。観ていて涙が出るほどに、あどけない目をして踊った。じいたんは、このときはっと気が付いた。のんたんは、「雪の女王」が欲しかったのではなくて、みずから「雪の女王」になりたかったのだと。
 わが家に来るとき、のんたんはいつも、じいたんにチューをする習慣があった。ベッドのサイドガードを、両手で鉄棒のようにつかみ、ジャンプして身体をもちあげ、前傾姿勢をとってチューするのだ。
 ある日のこと。のんたんは、上下の唇を口の内側に折り曲げ、チューをした。直接、唇が触れないようにしたのだ。そばにいたヘルパーさんが叫んだ。
「アッ、のんたんがオンナになった」
 何のことか分からぬじいたんは、40前後であるヘルバーさんに訊いてみた。
「異性を意識するようになったんですよ」
 そう言って彼女は笑った。
「なぬっ、2歳半でオンナ」
 じいたんは俄然(がぜん)、色めきたった。学生時代に読んだボーヴォワール女史の『第二の性』には、そんなことは書いてなかったぞ。有名なフレーズ〈人は女に生まれるのではない、女になるのだ〉と矛盾するではないか。
 ボーヴォワールは、泣く子も黙るジェンダーの元祖だ。人は生まれてきたときは男も女もないのだが、親や社会によって女に創りあげられる、というのが『第二の性』の論旨だ。ホンマかいな、とじいたんは永いあいだ疑いの目で見てきた。
 わが家には10人くらいの女性ヘルパーさんが入っている。30代後半から40代にかけて、子育て中の人が多い。やはり〈女の子は生まれたときから女、男の子は生まれたときから男〉と答えた人が圧倒的だ。
「女の子って、幼児のころからオンナとして、母親と駆け引きするのよね」と男女の子を持つAさんが指摘した。「男の子は、そっちょくに言ってバーカ。あっち向けっちゃあ、あっち向く。ホント育てやすかった」
 表現は異なれど、お母さん方の答えはおおむね同じだ。そういえば、のんたんもしょっちゅうママを困らせている。哲学者ボーヴォワール先生にたてつく気持ちはさらさらない。
 のんたんが将来、どんなイケイケ女子になるのか。いまから、じいたんは夢に描いているのだ。

千葉県:出口 臥龍



 「はがき通信」の道のりをたどる(その2) 


 「はがき通信」の読者の皆様、こんにちは。寒い日が続きますが、お変わりありませんか。私の研究室がある姫路市(兵庫県)は瀬戸内海沿いにあり、比較的温暖な地域で、雪は年にほんの数回降るかどうかです。それでも昨今の寒さは少々身に応えます。
 さて、前号から「はがき通信の道のりをたどる」と題して、「はがき通信」へ投稿された記事を分析した結果をお知らせしております。今回はその2回目です。
 前回と同様、分析対象は1990年の創刊から2014年は4月号までで、投稿記事の総数は2903件です。

1. 投稿の内容

 投稿内容の全体を見渡して、どのような話
題の記事が投稿されているのかを見てみることにしましょう。



記事の内容を分類するために、その元となる分類の内容(カテゴリ分類)を表に示します。この分類は国際生活機能分類(ICF)を参考にしたもので、「心身」「生活」「環境」の3つの大カテゴリに分類されています。さらにそれぞれを細かく小カテゴリに分類しました。この分類にしたがって、投稿された記事を内容に従って一つひとつ分類していきました。
 まず、大まかな分類(大カテゴリ)でみた結果を図1に示します。「生活」に関する話題が一番多く、半数以上(57パーセント)を占めています。「心身」や「環境」はそれぞれ18パーセント、15パーセントで、全体の1/5〜1/7程度で比較的少なくなっています。「はがき通信」の記事が、皆さんの日常生活で起きている話題で主にできており、親しみやすい内容になっていることがうかがえます。


         

 2.「心身」「生活」「環境」のそれぞれの内容

 次に、大まかな分類(大カテゴリ)をさらに細かな分類(小カテゴリ)に分けて見てみましょう。
まず、「心身」の分類について図2に示します。「障害」が最も多く、30パーセント程度を占めています。それに続いて「病気」「健康管理」「リハビリ」となっております。「健康管理」と「リハビリ」で約30パーセントを占めており、障害や病気の話題もさることながら、体調管理や機能回復にも関心が比較的高くなっており、日常的に健康管理等に配慮されていることと推察されます。



 「生活」の分類を図3に示します。生活の分類のなかの話題は多岐にわたっており、「旅行・懇親会」「趣味・スポーツ・活動」で40パーセントとなっています。日常生活のなかで積極的に活動し、その話題について広く発信しようとされていることがわかります。また、福祉用具に関する話題も約20パーセントあり、積極的な活動をするための手段や道具としての福祉用具の重要性や関心の高さがうかがえます。



 「環境」の分類を図4に示します。「制度・サービス」で約50パーセントを占めており、福祉制度に関すること、受けられるサービスについて高い関心があり、このような「制度・サービス」が日常生活のなかで重要なことがらとなっていることがうかがえます。また、「医療・研究」に関する割合は約20パーセントあり、機能回復等に対する医学・医療的な進歩に対する関心と期待が高いことがうかがえます。



今回はこれくらいのご紹介ですが、いかがでしたでしょうか。投稿された内容を分類してみて、社会制度や医療・医学的な進歩に対する関心を高く維持しつつも、日常生活でできる限り積極的に、前向きに生活されている様子がうかがえます。これは素晴らしいことと思います。次号でも「はがき通信」の内容から見えてくることをお伝えします。

 本題とは関係ありませんが、5年間の姫路城の改修(平成の大修理)が終わり、私の研究室からは真っ白な姫路城が望めます。姫路城をすっぽりと覆っていた工事用の大きな建屋が取り払われて、お城の全貌が現れたとき、あまりに白いので白鷺城(しらさぎじょう)(姫路城の別名)ならぬ「白すぎ城」と評判になりました。今年の3月27日がグランドオープンです。ちょうど桜の季節と重なります。姫路場内にもたくさんの桜があり、桜とお城の風景は、さすが世界遺産だけあり、いつ見ても素晴らしいものです。グランドオープンからしばらくは観光客でごった返すのは間違いないかと思います。おそらく一時的には電車のラッシュアワーなみになるのではないでしょうか。皆様にはすぐにでもお越しいただきたいところですが、しばらくして客足が落ち着いてからお越しいただきましたら幸いです。是非、姫路城をご堪能下さい。お待ちしております。

兵庫県:土川 忠浩 (54歳)
兵庫県立大学環境人間学部
      教授・博士(工学)












【編集後記】


 今回が、「はがき通信」編集担当としての初仕事となりました。
 随所で編集スタッフの方々の力を借りながら、なんとかやり終えたというのが実感です。
 少しずつでも役に立つ編集スタッフの一員となるよう頑張りたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 北海道は、例年、最も寒い時期を乗り越えて、これから春の雪融けに向かって一歩ずつ温かくなっていく時期です。その次にやってくる春〜初夏が一番北海道らしくて好きな季節です。
 昨年秋に、慶應義塾大学の岡野栄之先生の「脊髄損傷慢性期の患者さんたちの治療が本丸」という発言を日本せきずい基金ニュースで見ました。
 今年は、大みそか〜元旦の夜は一睡もできず、その翌日は熟睡したので、初夢はありませんでしたが、今年も再生医療の進展により、慢性脊髄損傷治療の臨床試験が実現に近づくことを夢見て、一年を過ごすことになると思います。
 次号の編集担当は、藤田忠さんです。

編集担当:戸羽 吉則





………………《編集担当》………………
◇ 藤田 忠  福岡県 E-mail:stonesandeggs99@yahoo.co.jp
◇ 瀬出井弘美  神奈川県 E-mail:h-sedei@js7.so-net.ne.jp
◇ 戸羽 吉則 北海道 E-mail:toba@blue.ocn.ne.jp

………………《広報担当》………………
◇ 麸澤 孝 東京都 E-mail:fzw@nifty.com

………………《編集顧問》………………
◇ 向坊弘道  (永久名誉顧問)

(2015年2月時点での連絡先です)

発行:九州障害者定期刊行物協会
〒812-0054 福岡市東区馬出2丁目2-18
TEL:092-292-4311 fax:092-292-4312
E-mail: qsk@plum.ocn.ne.jp

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