はがき通信ホームページへもどる No.149 2014.10.25.
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 ピンチはチャンス! 

頸損6−7、47歳


 皆様おげんきでしょうか? お読みいただくときは、夏も終わり、過ごしやすい秋になっているころだと思います。
 この夏は、雨続きでしたね!! お蔭で車イスレインコートが大活躍しました(羽織るだけなので脱着が超簡単で助かります。教えてくれたチェアユーザの大先輩のIさんに感謝!!)。
 ところで、今夏はある問題で悩む日々を送ることになりました。それは、超便秘に陥り、「かきんちょう反射」で血圧が200ほどまでにあがり、頭の毛細血管が切れたのではないかというくらい頭痛を起こすことが続いたことです。だからといって、下剤を服用することだけは仕事に支障があるため、やめました。
 これまで以上に、発酵食品(ヨーグルト、納豆)や食物繊維を含む野菜を取りました。それでも改善されなかったため、薬を飲むことを決意しました。このときに思ったのは便は下りているのに、腸の動きが悪く排出できないのではないか?ということ。
 そこで、腸の動きを活発にする薬を飲み、対応したところ、以前同様に復活しました。できて当たり前なことができなくなるということが、いかに本人にとってストレスになるかということを痛感しました。
 この後に掲載させていただく嫁も二重の中途傷害で歩行困難→車イス生活になりました。このような試練にも負けずにプリザーブドフラワーに出会い、懸命に打ち込んでいる姿は素晴らしいと感じます。
 集中するといえば、今度出張で10月に船橋、11月に東京に出張が決まりました。これまで断り続けておりましたが、今回は会社からの強い要望を受けてのことです。「いやだ! いやだ! トイレも心配やし、地理もわからん。日常生活だけで精いっぱいなのに、出張なんて無理!!」マイナス思考は膨れ上がってゆき、全てが億劫になりました。
 しかし、嫁の「会社から行って来いと言ってくれるうちが花だよ」の言葉に、はっとしました。もしかしたら、自分のマイナス思考でできないと決めつけているだけのことがいっぱいあるのではないか? そうであるのならば、大変もったいないことだと思いました。
 そんなわけで、通常業務と出張をいかに両立させるかを前向きに検討しています。この誌面が出回るころには、すでに結果は出ていることだと思います。(わたしもふなっしーに目覚めているかもしれません。近況はこんなところです。)

●結婚記念日に撮った1枚


 ご精読ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。皆様のご健康を心からお祈りしております。
 

福岡市:E.U.


 心癒されるプリザーブドフラワー 


 暑い日が続いています。頸椎損傷の方々は、辛い時期になりますね。
 わが家の主人・ワンちゃんたち・チンチラたちは、暑さに弱いので、早く涼しい日がくるのを待っていると思います。
 2年半ほど前からプリザーブドフラワーを習い出しました。お花が大好きな主人。飾っていると、心が癒されます。
 大変だったけれど、1番心に残ったのは、ブーケコースです。でき上がり、持って帰ってくると、ほめてくれる主人。嬉しいですね。
 その中でも、クレッセントブーケ


 そして、シャンベトルブーケ


 さらにポールブーケ(写真:向かって左)
 愛犬を思いながら、アレンジしました。(写真向かって右)


 花時計等々




 リビングに飾っていますが、素敵です。
 脊髄を損傷して、健康っていいなぁと思う日々です。
 お花って作ったことはあまりなく、生花はありますが、プリザーブドフラワーは初めてです。生花を加工してる魔法の花と言われています。
 何かできないかなぁ?と思っているとき、体験で作品を作り、車イスでも楽しむことってあるんだと知りました。
 皆さまも、一度トライしてはいかがですか!!!!
 

福岡市:M.U.


 トランスファーについて 


 受傷当時(1979年)私の体重110kg、身長184cm。毎日、腹一杯飯を食っていました。
 そんな私が、マット運動の失敗で大怪我をして四肢マヒになってしまった。ベッドから電動車いすへの移動(トランスファー)が大変な重労働になった訳です。
 入院当初、病棟の看護師5人で抱えてもらっていました。「若い女性に抱えてもらっていいネ」と妻のマリちゃんは言っていました。そのうちに廊下を通りかかった男性医師や男性職員にも声をかけ、トランスファーを手伝ってもらうことが多くなってきました。力持ちの女性もいましたが、足元がふらつく人も多く怖かったこともありました。
 そんな時、ひとりの看護師さんがバスタオルを使って移動させると言うのです。体の下にバスタオルを敷き、その端を持ちながら移動させる方法を考えたのです。これが安定していて、怖さを全く感じることはありませんでした。それから、バスタオルを使っての移動が続きました。これは33年前のことです。
 リハビリテーションセンターに転院してから、抱えてもらうことが少なくなっていきました。それは、床走行式リフトを利用するようになったからです。床走行式リフトは、アメリカ製のステンレスで作られた物で頑丈でした。体の下にスリングシートを敷いて、その四隅の金具に鎖でひっかけて、油圧ポンプのレバーを上下に動かすと体が持ち上がります。当時は電動ではなく、手動で動かすものでした。最初は怖さを感じたが、事故は一度もありませんでした。ただ、スリングシートが問題で、塩化ビニール製のスリングシートが敷きぱっなしになってしまいます。お尻や背中が蒸れて、皮膚がふやけて褥瘡になりやすいのです。
 スリングシートを、柔らかいメッシュに作ってもらうことで解消することができました。今でもそのメッシュのスリングシートが、移動するのに大活躍しています。飛行機の座席やホテルのベッドなどの移動も、スリングシートを持って行います。
 最近では、ビジネスホテルでも移動を手伝ってくれる所が多くなってきました。特に、体の大きい人が車イスを利用するようになると、トランスファーの問題が大きな障壁となります。どこへでも携帯できる移動機器の開発が望まれます。
 

神奈川県:M.I.



 後付け回転シート 


 今年の3月、乗車年数も10年を超えたので、次の車検前にと自宅の車をスズキの“ワゴンR”の福祉車両から、同じスズキの“スペーシア”の福祉車両に買い換えた。本当は同じワゴンRの福祉車両にしたかったのだが、スロープ付きで後ろから乗り込めるタイプの車をもう製造していないという。助手席が回転するタイプに変わってしまった。
 スロープ式の新型車両として、スペーシアを勧められた。我が家は、道路幅の関係から軽自動車でないと無理な状況。軽自動車といえど、福祉車両の新車は価格が高い! 一度試乗してみてからでないと福祉機器同様、この手のものは絶対に買うわけにはいかない。何とかデモ車を取り寄せてもらい、試乗してみた。
 前のワゴンRはスロープが緩やかだったので、人が車いすを押せば乗り込めた。しかし、スペーシアはフックが付いた自動ベルト引き上げ式で、車いすの前の部分を固定する。乗り降りに今までより時間がかかり、ちょっと面倒くさい。車内は、傾斜が付いた部分からフラットの部分へ。これが、私の手動車いすの後輪の車軸の重心とドンピシャリ。あと2、3センチでもフラットのスペースの部分が少なかったら車いすが後傾してしまい、購入をやめていたと思う。車いすが後傾したまま乗車していると、とにかく首が疲れてたとえ10分でもしんどい。逆に乗車しての車高は、前のワゴンRよりあるので圧迫感は少なくなった。
 私の理想は近場は後ろの車いすスペースへ、遠出は酔いやすいので助手席に乗りたいというもの。問題は、助手席へのトランスファー。いつも車を運転してくれている友人が、私を抱きかかえてのトランスが困難になってしまったのだ(「もっとやせろ!」という声が聞こえてくるような(笑い))。2人であーだ、こーだの試行錯誤は、今も続いている。
 スロープ式で、助手席への乗り降りもサポートしてくれる……この両方の希望を適えた福祉車両は、既成のものにはない。
 そんな折り、今年の7月に下記のような神奈川新聞の記事を目にした。
 『後付け回転席装着 神奈川トヨタ福祉車両を出展』
 だいたい7月に、“パシフィコ横浜”で毎年開催されている福祉機器の展示会“ヨコハマ・ヒューマン&テクノランド(通称:ヨッテク)”に、今年出展したとのことだ。今年は、観に行くことができなかった。
 「神奈川トヨタ自動車が、スウェーデンのオートアダプト社製の全自動回転・昇降シートを装着した車両を出展している。」と記事にはある。さらに記事は続き、「オートアダプト社の日本総代理店であるオフィス清水(東京都荒川区)によると、オート社の後付け回転シートは、どんな車種にも装着できるのが特長。約5年前から全国で個人ユーザーらを対象に約280台取り付けてきたという。今月からは神奈川トヨタと提携しており、新車販売時にオート社製品の紹介を始めた。」とある。
 この後付け回転シートも検討の余地ありかと思うが、オフィス清水のホームページには価格の表示が見当たらない。う〜〜ん、おそらく安くはない代物だろう。
 自分で写真を撮っていないので、興味のある方は『オフィス清水』
で検索してみてください。

編集担当:瀬出井 弘美










【編集後記】


 神奈川リハビリテーション病院の駐車場で、受診までまだ時間があったので車に乗ったまま待っていた。ふとサイドミラーを見ると、サイドカー付きのスクーターが車いす用のスペースに止まっている。そのうち、脊損と思われる車いすに乗った還暦くらいの男性がやってきた。「エッ! もしかしてスクーターに乗るの?!」
 どう見ても、改造などは何も施していないフツーのスクーターにしか見えない。「不全で立てるのかな〜…」などど想像しながら、サイドミラーを凝視。
 まず、膝上をベルトで固定してある両足をスクーターの足置き付近に“手”で持ち上げて置いた。「完全マヒの人だ!」それから、腰を捻転させていとも簡単そうに(?)スクーターに移乗。残された車いすはというと、後輪が外され、サイドカーに手際よく収納されていく。その後、黒のサングラスをかけ、マフラーを巻き、ヘルメットを被り、颯爽(さっそう)と私たちの車の横を通り過ぎ去って行った。外見からでは、健常者と誰もが見間違うだろう。
 神奈リハには、“スーパー脊損”とか“スーパー頸損”とか呼ばれる人たちが必ず存在する。久々に、超カッコイイ“スクーター野郎”を目撃したのだった。
 次号の編集担当は、藤田忠さんです。


編集担当:瀬出井 弘美





………………《編集担当》………………
◇ 藤田 忠  福岡県 E-mail:stonesandeggs99@yahoo.co.jp
◇ 瀬出井弘美  神奈川県 E-mail:h-sedei@js7.so-net.ne.jp

………………《広報担当》………………
◇ 麸澤 孝 東京都 E-mail:fzw@nifty.com

………………《編集顧問》………………
◇ 向坊弘道  (永久名誉顧問)

(2012年4月時点での連絡先です)

発行:九州障害者定期刊行物協会
〒812-0054 福岡市東区馬出2丁目2-18
TEL:092-292-4311 fax:092-292-4312
E-mail: qsk@plum.ocn.ne.jp

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