はがき通信ホームページへもどる No.141 2013.6.25.
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 ハワイ&宮古島に行ってきました 

受傷歴10年
 [ハワイ]
 2013年4月に、ケガ(頸椎損傷)をして4回目のハワイに行ってきました。先月号140号で飛行機での移動のお話でしたが僕もケガをしてから、北海道に5回、ハワイに4回、沖縄に3回、福岡、出雲とけっこう利用させていただいています。
 ハワイのときは長時間ですし、バルーンを入れてレッグバック(足につける収尿器)を付けていきますが、どうしても1度捨てなくてはなりませんのでビジネスクラスを利用させてもらっています。
 一番前の席を予約しますが航空会社の小さな空港内用の車イスに乗り移りまして、男性職員2人に座席に移譲させていただいてます。乗るときは一番初めで、降りるときは一番後になります。
 ハワイは今回を最後にしようと思いました。というのも2時間近くけっこう大きな揺れがずーっと続いたのです。途中で人生の最後を覚悟するような揺れでした。僕の会社は社員旅行が毎年ハワイでしたから、もう15回以上は行っているのでもういいかなぁという気持ちです。
 前回132号(2011年12月)に編集担当者から、次はホテルのバリアフリーの様子を写真に収めてきてくれとの要望がありましたので、わかりにくいとは思いますが添付させていただきます。いつも泊まるホテルはワイキキビーチ沿いのツインタワーの「ハイアットリージェンシーワイキキ」のバリアフリールーム(22部屋あり)です。



 ベッドの高さは、旅行会社にお願いして車イス用に低くしてもらいます。それ以外は備え付けで、写真のように洗面台は車イスのまま入れるようになっていて、トイレは片方ですが手すりがついています。シャワーは備え付けのシャワーチェアに座った状態で入ります。ベランダに出るスロープもついてます。
 ハワイはけっこうバリアフリーに関しては進んでおりまして、道路もお店も抵抗なく入れます。今回は最後ということできれいな海を写真に収めてこようと思いまして、観光の方にお願いして車イスのまま入れる、あまり人が行かないとてもきれいなシークレットビーチに行ってきました。カラーでお見せできないのが残念なくらいきれいな海です。
 今回は一緒に行った友達がレンタカーを借りたので、ディズニーのホテルとかワイケレプレミアムアウトレットに行ったので充実したハワイとなりました。




 [宮古島]
 それから今月(5月)は、知人がとにかく宮古島が「イヤシロチ(ほとんどの人・動物・植物が、そこにいると気分のよくなる癒される土地)」として一番素晴らしいと、経営コンサルタントのY.Fさんも推薦していると、ずいぶん熱心に進めてくれるので5月9日から13日まで妻と2人で行ってきました。
 さすがです。本当に素晴らしい、ハワイにもないようなきれいな海でした。新城さん個人所有の「石の庭」というパワースポットにも行って、感動の涙もたくさん流してきました。ついでにパワースポットの写真も添付します。
 宮古島へは羽田空港から那覇空港で乗り換えて行くので、ちょっと面倒だし時間がかかるかと思いましたが、那覇からはわずか35分と短く意外と早く着きました。次行くときは直行便があるのでそれで行こうと思います。
 飛行機での国内旅行は、いつも運賃プラス1000円で少し広めのJAL「クラスJ」を利用させていただいてます。普通のシートと比べて、前後の間隔が約18cm、座席幅が約3cm、肘掛幅が12cmワイドで、より深くリクライニングできます。国内線も国外線もキャビンアテンダント(客室乗務員)さん、また職員の方々が、丁寧に接してくれますのでとてもありがたいです。


 ●パワースポットとして知る人ぞ知る「石の庭」

 いつも思うことは当日のJRの対応の遅さです。宮古島からの帰りもチケットを取ってなかったので、新宿の「緑の窓口」に行ってお願いしたところ、さんざん待たされました。挙句の果ては、「車イス席が空いているかどうか解らないので、その近辺を取っておくから乗ってから車掌と相談してください」という返事でした。毎度のことですがもうウンザリですね。何とかならないものですかね。
 来月は歩けるときに歩こうということで、友達の経営する函館のホテルに仲間6人と行ってきます。函館では、座席が外まで出てくる7人乗りのレンタカーを借りたので楽しい旅行になると思います。

 

山梨県:H.N.


 国境を越えて 

43歳、C6
 タイトルだけみると、何か海外旅行へでも行ったときの話のようですが、そんな華々しいお話ではありません。むしろありがたくない、迷惑な話です。
 前置きが長くなりましたが、何のことかといいますと今話題のPM2.5(微小粒子状物質・中国では環境基準がゆるく石炭火力や自動車の排気ガスから大量に発生)の話です。
 ご多分に漏れず福岡(九州)は、中国大陸に近く、福岡からは東京も上海も直線距離はほぼ同じです。ついでにソウルなど韓国は大阪より近いのです。したがって空を飛んでPM2.5や黄砂などがやってきます。今年、5月後半の福岡は、ほぼ毎日PM2.5と黄砂の注意報がメールで入ってくるような状況でした(県庁HPより「防災メールまもるくん」に事前登録していれば毎朝メールが入ってきます)。おかげで、晴れの日が多かったのですが、真っ青な気持ちのいい五月晴れはほとんどなく、常にもやがかかったような空で、遠くがかすんで見えていました。
 このような状況で、私のように呼吸器系に不安がある者にとって未だに外出時マスクが手放せません。本当に困ったことです。昼休みなど散歩に出ようものなら、その後目は充血し、目やにが出て、鼻水が出てきたかと思えば、のどが痛くなるといった具合に体の粘膜のあちこちから異常反応が出ます。外に出られないので仕方なく職場の廊下を何往復も行ったり来たりしています(笑)。
 暑さ、寒さに弱い私たちにとって貴重な気持ちのいい季節。何とか気にすることなく外に出られる日がくればいいなと願う今日この頃です。

福岡市:Y.S.



 臥龍窟日乗』−最強の二人−

 「凄い映画出たわよ。観ているうちにあなたのこと思い出して電話しました。9月封切だからぜひ観てね」
 興奮気味の声で電話をくれたのはA草K子さんだった。病院友達のシャンソン歌手だ。試写会に招かれたらしい。昨年7月のことだった。
 9月に映画は封切となった。ヘルパーさんの何人かが観てきて、「感動した」と高揚した顔で内容を話してくれた。頸髄損傷となったワイン工場のオーナーと、ヘルパーの黒人青年の物語だ。何か身につまされそうで腰が引けた。
 一応インターネットで検索してみる。原題を見て驚いた。
 『Intouchables』とある。これ、英語読みするとアンタッチャブルだ。もともとはインドのカースト制度の最下層のこと。今では死語なのだろうが、昔は不可触賤民(せんみん)なんて翻訳されていた。アメリカのギャング映画のタイトルとして、高齢者で知らない人はないだろう。ギャングは「手の付けられない賤(いや)しい奴ら」ということか。
 なぜアンタッチャブルが、日本で『最強の二人』になるのだろうか。ご丁寧に複数形の「S」が付いているが、これは誰と誰をさすのか。何か不透明な蔑視のようなものを感じた。
 さらに言えばヘルパーの黒人青年は、原作ではアルジェリア人だ。なぜアルジェリア人が黒人にすり替わったのか。アルジェリア人のままでは不都合だったのだろうか。
 アルジェリアは100年以上もフランスの領土だった。独立後もフランスに残った在仏アルジェリア人は当然いるはずだ。なにか、いやあな臭いがした。隠微(いんび)な政治的臭いだ。
 引けていた腰がさらに引けた。
 「あなた『最強の二人』観に行った?」
 この4月、ふたたびA草さんから電話があった。何とも答えようがなかった。
 「ダメよ、行かなくっちゃ。招待券送ったげるからぜひ行ってらっしゃい」
 そんな経緯で5月の末、劇場に足を運ぶ破目になった。
 『最強の二人』なんて、カラテ映画のタイトルみたいで、フランス映画特有のシリアスなものを連想していた。内容はいたって軽快。心に疵(きず)を持つ大富豪の頸損患者と、ヘルパーなんかまったくやる気のない傍若無人の黒人青年が、言葉の応酬で笑わせるコメディだ。
 頸損患者は雇い主だから尊大になりがち。ところがヘルパー募集にやってきた黒人青年は言いたい放題、やりたい放題。失業保険金の支給継続が目的で面接に来たのだから、採用されたら困るのだ。
 ごますりとおべんちゃらにうんざりしていた大富豪は、ずけずけモノを言うこの男に興味を持った。
 映画を観ながら思い出したことがある。
 評論家の内田樹さんの指摘によると、フランス社会はくっきり区分けされた階層社会だそうだ。爪のアカほどの上流階級、一握りの下層階級、そしてマジョリティは中層階級だ。このマジョリティこそミソなのだ。
 上流も下層も映画なんか観やしない。マジョリティがアンタッチャブル同士の揉(も)めごとや大騒動を拍手喝采で囃(はや)し立てる。
 さてA草さんがこの映画を見るよう強く勧めてくれたのはなぜだろうか。思い当たるフシがある。
 私は五つの病院を渡り歩いたが、A草さんとお会いしたのは四つ目のリハ病院だ。病棟は違ったが同じフロアだった。受傷8ヵ後のことで、私は精神錯乱の真っ只中にいた。  医師にかみつき、看護師に当り散らし、家族を罵倒した。今振り返ってみても、手の付けられない凶暴な患者だった。地獄の底からなんとか這(は)いあがろうと、なりふり構っていられなかった。同室の脳卒中の患者さんが、カーテンの隙間から恐るおそる私を覗いていた。その眼差しが今でも忘れられない。
 私の悪評は、当然、A草さんの耳にも入っていたはずだ。
 「あなたね、そろそろオトナになったら。人生こんなに楽しんでる人もいるんだから」
 そんな声が聞こえてきそうだ。

千葉県:出口 臥龍

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