はがき通信ホームページへもどる No.135 2012.6.25.
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 夏の暑さ対策〜ルセナ編〜 


 こちらフィリピンのルセナは、4月と5月が乾季のシーズンとなり連日暑い日が続いています。現在のところ今年の乾季は日中の最高気温34度、エルニーニョの年と比べたらまだ過ごしやすく、乾いた風が吹く日は、日中でも日陰に入れば心地よい涼しさです。
 頸椎損傷、脊髄損傷の障害程度によっては身体の残存機能も千差万別ですので、人それぞれ発汗作用の状況が違うと思います。私は頸椎損傷ですが、幸い上肢と胸から頭にかけての部分は発汗作用が残っています。
 屋内は手押しの車いす、外出時は電動車いすを使用しています。このような身体状況での暑さ対策・ルセナ編です。
 〈1〉エアコンと扇風機を併用する
 暑い日中でも乾いた風が吹く木陰は涼しく感じるものですが、これと同じくエアコンの設定温度を極端に下げなくても、扇風機の風が体に当たっているとエアコンの涼しさが倍増します。
 〈2〉水のシャワーを浴びる
 こちらでは日本と違い浴槽で暖まるお風呂の習慣がありませんので、一年中毎日、朝のシャワーだけです。
 日本人の感覚ですと真水のシャワーだとシャンプーや石鹸で洗っても体の汚れが落ちにくい気がしますが、これが真水のシャワーに慣れてしまうと、特に暑いシーズンは非常に気分爽快です。火照った体を真水のシャワーが冷やしてくれて、シャワーから出た後も体がサラッとしています。さらにシャンプーをメントール系にすると爽やかさも増します。
 〈3〉食べるもので体を冷やす
 冷たいものをたくさん食べることは体に良くないかも知れませんが、暑い時には冷たいものを食べて体を冷やすことも暑さ対策ですよね。こちらでは、乾季のシーズンはフルーツがたくさん市場に並びます。
 我が家では、安いマンゴーを買って来て冷凍庫で凍らせて食後のデザートがわりにしています。安くて手軽で、食べた後も口がサッパリして適度に体が冷えるので乾季には最適です。バナナやスイカ、パイナップルなどの果物も冷蔵庫で冷やしておいて、いつでも食べられるようにしておくと、暑さで食欲がない時でも冷えたフルーツなら手軽にいつでもちょこちょこ食べられます。
 〈4〉朝早く起きる
 私は毎日家にいるだけなので、毎日の過ごし方は自分次第です。
 お勤めをされている方も多いでしょうし、介助者の都合などで私と同じ日課は無理かも知れませんが私は暑いシーズン、早朝夜明けの時間帯に起きて車いすに乗ります。
 早朝の涼しい時間帯に散歩へ行ったり、庭の植物の世話をしたりして涼しい時間帯から徐々に気温が上がっていくのに体を合わせていきます。
 乾季のシーズンは、朝の8時9時ともなると陽射しも強く気温も30度を越えて暑くなりだします。この暑くなりだす時間帯にベッドから起きて車いすに乗ると、朝起きていきなり暑さを感じます。そうすると朝から暑さで体がだるく感じたり、日中エアコンの風に当たってさらにだるくなって何もやる気が起きなくなってしまったりの悪循環を以前経験していました。
 現在は、夜明けとともに起きて早朝の涼しい時間帯に外に出て一汗かき、シャワーを浴びる。こうすることにより、体も早朝の涼しい時間帯から徐々に午前中の暑さに慣れて一日のだるさも軽減できます。暑いシーズンこそ、早寝早起きが良いのかも知れません。
 〈5〉強制冷却
 夜寝る時や昼寝など、エアコンの風に長時間当たっていると体の芯まで冷えてしまったり、だるさが倍増したりするので、暑くて眠れない時などは冷凍庫に入れてあるアイスノンや保冷材をタオルに包んでわきの下に挟んだり、首筋にあてて枕代わりにして強制冷却をしています。
 局部的に冷やすだけでも体の熱が下がるので、気持ち良く寝ることができます。水枕のような手間も要らないので、保冷材は一年中冷凍庫で凍らせています。
 〈6〉外出時はクールパッド
 今年、日本人の方からクールパッドという水で濡らすタオルをいただきました。日本で販売されているものですが、熱中症対策グッズのようですね。
 日中、外へ出かける時はこのタオルを持参しています。このタオルを水で濡らして首から掛けたり、帽子の下に頭から被ったりして使っていますが、ひんやりして気持ち良く非常に役に立っています。(このタオル、どこかで見た覚えがあると考えていたら……昔、日本で車の洗車の水拭き用に販売されていた吸水性が非常に良い水拭きタオルに似ていますが……)
 〈7〉緑を眺める
 夏になると日本では、西陽の入る窓際につる性植物を植えてグリーン・カーテンを作ったりされているようですね。
 我が家の庭には植物が植えてあるので、一年中緑が眺められます。朝夕には庭の植物に水遣りをするので夕方の水遣り後は、少し涼しい気分も味わえます。室内にも観葉植物の鉢植えを置いて緑が目につくようにしていますが、緑の植物を眺めていると暑さも和らぎますよ。
 と……こちらでは、ごく普通の暑さ対策しかしていませんが、日本のほうが最先端の暑さ対策、熱中症対策グッズがあると思います。
 こちらは、もうすぐ乾季が終わり6月以降は雨季に入ります。日本はこれから夏本番ですね! 暑さに負けず楽しい夏をお過ごし下さい!

ルセナの隠居



 (独)自動車事故対策機構【NASVA】情報について 


 (独)自動車事故対策機構【NASVA】(以下、ナスバ)とのお付き合いを始めて3年目。昨年は理事長が東京から来られて、2時間ほどの会談の機会もありました。
 そのお付き合いの中で、交通事故者に対する介護料(頸損・脊損者向けはH14年〜)について、まだ制度自体を知らない、申請を忘れている方々がたくさんいらっしゃるというお話を聞きました。もちろんナスバ自体のPR不足ということもあるとは思いますが、私たちのアンテナの低さということも感じられました。実際の交通事故発生件数からのデータでも、圧倒的に受給者が少ないことからもその様子がうかがえます。
 ナスバも『どうせ上から目線で申請も面倒なんじゃないの?』と思われている方も多いと思いますが、そんなことはありません。介護料の概要、申請の方法や必要な書類などていねいに教えてもらえますし、受給者向けには各地域の支所から受給者の方々の家へ訪問し、今私たちが何に困っているのか? 今何が必要なのか? 何を悩んでいるのか? いろいろと話を聞いて、少しでもお手伝いや協力ができる環境を充実させようと努力をされています。私たちを取り巻いている関係者・法律・医療が頸損・脊損から離れていっている環境の中で逆に歩み寄って、近い存在になってくれている、とても良い例だと思います。
 4月に入り新年度を迎えたわけですが、では今後、ナスバと私たちはどう接していけばいいのでしょうか?
 交通事故限定ではありますが、まず、介護料の制度を利用していない方がいらっしゃいましたら、ぜひ問い合わせをしていただくこと。そしてすでに介護料を受給している方々は今後、ナスバの支所から交流会開催や自動車関係の方々との交流企画などいろいろな会合の提案も出てくると思いますので、その節は積極的に参加してみていただきたいことです。そこから新しい出会いが生まれると思いますよ。
 それから今後、各地域の団体や会合などにもナスバから連絡や提案等あると思います。みなさんの地域にお役立つ情報を提供できると思いますので、ぜひ話しを聞いてみてください。
 広島頸損ネットワークではこうした活動の中から、新しい仲間、新しい関係者との交流も増えて、活動内容もさらに充実してきています。やはり一番大きいのは、交流会で広島県福山市に出席した際に『情報がない』『広島で誰に質問したらいいのか知らなかった』などの声を直接聞けたことから少しずつ会員が増えてきているということです。こうして情報が行き届き、少しずつみなさんが交流会などで外出する機会が増えて、仲間もできて、将来に向けて、より良い生活に役立てばと心より思っています。
 《(独)自動車事故対策機構【NASVA】(National Agency for Automotive Safety & Victims' Aid)とは》
 人と車の共存を理念として、自動車事故の発生防止及びその被害者への援護活動として
 〈1〉安全な自動車の普及・促進をはかるために、中立公正な立場で自動車アセスメント情報を積極的に公表
 〈2〉自動車事故の発生防止のために、運行管理者等指導講習により、安全の確保に必要な管理手法の習得、運転者適性診断により、運転の特性を診断し安全運転に役立つきめ細かなアドバイス、安全マネジメント講習会等により、運輸安全マネジメントの浸透・定着、運輸安全マネジメント評価・コンサルティング等により、個別事業者の安全マネジメント体制を支援
 〈3〉自動車事故による被害者の方の援護のために、介護料[介護料は、自動車事故が原因で、脳、脊髄または胸腹部臓器を損傷し、重度の後遺障害を持つため、移動、食事および排泄など日常生活動作について常時または随時の介護が必要な状態の方に支給]の支給や医療施設の設置・運営による重度後遺障害者への援護育成資金の無利子貸付や友の会の運営・家庭相談による交通遺児等への援護を行っています。
 【お問い合わせ】
 NASVA総務部総務グループ
 東京都千代田区麹町6−1−25 上智麹町ビル
TEL: 03-5276-4451(代表)[平日9:15〜17:30]
E-Mail: admin@nasva.go.jp
 URL: http://www.nasva.go.jp/index.html(各地域の支所情報はHPから)

 

広島頸損ネットワーク会長
 広島県:K.T.



 30分短縮の恐怖(診療報酬の改定)&拙歌一首 

C3・4不全、72歳♂、頸損歴24年目

 前4月号で排泄について書きました。4月の診療報酬改定でとんでもない事態に直面しています。憤まんやるかたない気持ちを吐露し、皆さんの意見や情報をいただけるとありがたいと思っています。
 後期高齢者医療保険(1割負担)を使って、週3回訪問看護ステーションを利用している。一級障害者は、65歳から後期高齢者医療保険です。
 120分以内は医療保険適用で、それを越えた部分は事業者が定める利用料(30分につき2,000円)が実費利用者負担が発生する。
 受傷後24年間、排便で巡回のDrをスッポカシて怒らせた回復期から現在まで、仕方は心身機能の変遷につれ工夫改善して変わってきたが、所要時間は一貫して90分から120分前後で今日に至っている。
 ところがである、4月中頃突然ステーションから、診療報酬改定で120分が90分に変わったからと、変更後の重要事項説明書に同意のサインを求められた。
 現在でさえ120分ギリギリなのに90分以内なんて無理! とすると、1回2,000円、週3回で月13回、月額26,000円、年額なんと312,000円もの負担増になる。特に排便は、ある程度納得感がないと後が不安なものである。時間短縮での身体への負担や精神面への不安、ひいては不安ゆえの引きこもりなど心身へのマイナスも予測される。
 どんな思惑があっての改定かは知らぬが、こんな理不尽なことが通ってよいものだろうか。この30分で、いかほどの行政効果があるのだろうか、また私のようなケースは想定されなかったのだろうか。ナニが〝生活が第一〟か〜っ!(怒)。
 折りしも、国会では消費税増税で喧々囂々(けんけんごうごう)の論戦がTVで放映されている。一人当たり年10万円の負担増だという声が虚しく聞こえる。いろいろな情報では、法的にはやむを得ないことのようなのが、なおさら腹が立ってくる。
 ステーションも多少は気の毒に思うのか、5月までを試行期間として取り扱っています。その間に90分内で終わるよう試行錯誤を繰り返していますが、いずれにしても、これが読まれている頃には結論が出ているでしょう。

 [拙歌一首]
 ☆闘病に励ましあった美しき娘は半年前に逝っていたりし

 彼女は長い黒髪のスラリとした容姿で、ある映画女優に似ていると日頃から思っていた。病院内では病室を回っては元気を振りまき、とりわけリハビリ室では彼女がいるだけで華やいだ。私が退院してしばらく後に知人から、半年前に亡くなったことを知り、思い出との落差に呆然となった時に詠んだものである。

佐賀県:K.N.

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