はがき通信ホームページへもどる No.106 2007.7.25.
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も く じ
ballごあいさつ 広報委員:麸澤 孝
ball2007年「はがき通信」懇親会 in 京都のご案内
ballある日、新宿にて…… 東京都:H.K.
ball兵庫頸髄損傷者連絡会主催の市民講座
   「人工呼吸器使用者の自立生活を実現するために」に参加して
編集顧問:松井 和子
<特集!「私の常備薬」>
□σ(^-^)の常備薬 Mayumi
□私の常備薬 北海道:A.S.
□過反射にはニトロダーム 東京都:F
□大健中湯はイレウスに効くか 福岡県:K.M.
□クスリ−この不可思議な魔物について 千葉県:T.D.
□インフォメーション 薬について知りたいとき 東京都:Y.A.
ballTさんとの思い出 広報委員:麸澤 孝
ballTさんを偲んで 編集顧問:松井 和子
ballALS、私が思うこと(2)
  −握力の低下とスポーツと社会活動への取り組み−
福岡県:H.K.
<連載特集!「介護する側、される側」>
介護される側(自分)が注意しておきたいこと 千葉県:H.K.
ball虎さんへ 広島市:M.K.
ball連載「BOOK ENDLESS」最終回 佐賀県:中島 虎彦
ballはがき通信「広島頸損ネット10周年」 広島市:Y.S.
ball今年はウイーン少年合唱団コンサートへ行きました(前編) 埼玉県:Y.S.
ballひとくちインフォメーション


ごあいさつ

 向坊さんが亡くなって1年がたちました。あの突然の訃報からもう1年、本当に「早いな〜」と感じています。その間、中島虎彦さん・T祥二さんと、「はがき通信」の仲間を失いました。お2人とも昔からお世話になった方で残念でなりません。
 ある頸損の方から「受傷20年から身体が変わるよ」と聞きました。私は受傷23年ですが、ここ3年くらいから痙攣がより強くなり、風邪が治るのに時間がかかり、お腹も出てきて、気持ちが沈むこともしばしば。40歳になり年齢と頸損の節目が一緒に来た気がします。東京に出てきて自立生活をはじめた10年前とは明らかに体力の違いを感じます。
 また新たな10年、身体を大切に、いろいろなことをゆっくり考えながら過ごしたいと思います。
 みなさん、9月の「はがき通信・懇親会in京都」で会いましょう〜。
  

広報委員:麸澤 孝



 2007年「はがき通信」懇親会in 京都のご案内 


 暑い日が続いておりますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。「はがき通信」京都懇親会2007まで約2ヶ月となりました。年に1度全国の仲間が集い、顔を合わせて語り合い、情報交換のできるよい交流の機会です。今年の懇親会も出会いに恵まれ、向坊さん亡き後も参加者の和(輪)が広がる懇親会となりますことを実行委員一同願っております。
 観光名所には事欠かない京都という場所でもあり、どなたでもご参加できますのでぜひ多くの方のご参加を心よりお待ちしております。
 下記の通りご案内申し上げますので、よろしくお願いいたします。

【会場と宿泊場所】
 『聞法(もんぼう)会館』 (西本願寺北側)
 〒600-8357 京都市下京区堀川通花屋町上ル柿本町600−1
 TEL:075-342-1122 FAX:075-342-1125
 会場:多目的ホール・3F
 宿泊:5〜6F 朝食:レストラン・B1
 新幹線京都駅・烏丸口(からすまくち)より徒歩約15分
 車:名神・京都南IC→国道1号線を京都市内方面へ約15分
 駐車場320台無料
 チェックイン/15:00 チェックアウト/10:00
※京都駅からのボラさんの誘導はありません。




【日時と部屋数】
●2007年9月21日(金)〜23日(日)
 ・ツイン 6部屋(ベッド2)
・トリプル 13部屋(ベッド3)
 ・車いす対応部屋 3部屋(ベッド2)
 ・和室 2部屋(布団3)
 ・和洋室 3部屋(ベッド3・布団2)
※相部屋になることはありません。トリプルに2名でもかまいません。
※聞法会館が障害当事者25組位(先着順)までで宿泊定員オーバーとなった場合、聞法会館より徒歩約3分の『コンフォートイン京都五条』21日¥12,500と22日¥13,500(両日ともツイン2部屋)を予約いたしました(ホテル従業員によるトランスファー介助は不可)。
 『コンフォートイン京都五条』
 〒600-8357 京都市下京区猪熊通り五条西入柿本町698−2
 TEL: 075-341-2410 FAX: 075-343-5335
【懇親会日程】
●9月21日(金)
 14:00〜17:30(開始挨拶・スピーチ等)
 17:30〜18:00(夕食準備)
 18:00〜20:30(夕食レセプション:3Fホール)
●22日(土) 1日観光
注:5月号でお知らせしていましたボラさんを同伴しての観光案内は、ボラさんの状況により中止とさせていただきます。どうぞご了承下さい。
●23日(日)
 10:00〜12:00(スピーチ・「はがき通信」会議・終了挨拶等)
※1時間ほど「はがき通信」の検討事案について話し合う予定です。
【宿泊料金と参加費】
 ・1泊目:2食付 14,000円
・2泊目:朝食付 11,000円
※大人1名の料金です。どの部屋も宿泊料金は同じです。
  夕食、朝食は無しでもかまいません。 (夕食:3,000円/朝食:1,000円)
 ・参加費:障害当事者1泊1,000円
 (日帰りも同額・3日目のみ無し)
【その他】
 ・参加申込者には、後日詳しいご案内(参加者名簿や地図等の資料)をお送りいたします。
 ・受付時に宿泊代、夕食代、朝食代、参加費を徴収いたします。
 ・宿泊、食事代とも3日前の18日(水)よりキャンセル料が発生しますので、どうぞご了承下さい。

------------ キリトリ線 ------------
※お申し込みの場合のお届け事項は、次の10点です。参加申し込み者はキリトリ線から下をFAX、郵便、Eメールで8月31日(金)までに下記の藤田までお送りください。聞法会館は先着25組ですので、トランスファー介助が必要な方は特にお早めにお申し込みをお願いいたします。お申し込み内容は捨てずに保存してください。なお、「はがき通信」は「会」でなく、購読者のグループですので、どなたでも懇親会にご参加できます。
1.参加障害者氏名
2.住所(郵便番号も)
 TEL&FAX:
 携帯番号:
 E-mail:
 携帯E-mail:
3.同行者人数(わかれば氏名も)
4.参加日(宿泊か日帰り)
5.宿泊予定日と本人を含む人数と希望す る部屋の種類(21日 人・22日 人)
6.朝食予約人数(22日 人・23日 人)
 ※なしでもかまいません。
7.21日夕食レセプションの参加人数
8.交通手段
9.就寝、起床時のトランスファー介助の  要・不要
10.発表の題(          )
 持参する資料の種類(     )


[お申込み・お問い合わせ先]
 実行委員 伊藤道和
 実行委員 藤田 忠


 その他の実行委員:星野太志・大竹保行・瀬出井弘美



 ある日、新宿にて…… 


 ある日、20年来ファンの漫画家兼画家の遺作展へ出掛ける。最寄り駅から快速に乗り秋葉原で乗り換えて阿佐ヶ谷まで、僕にとっては趣味と実益を兼ねた楽しみな外出だ。ぜいたくにじっくり時間をつかい大好きな絵を味あわせてもらった。
 そうして帰りは途中下車し新宿で、1月ぶりに麸澤さんと会食する約束だ。麸澤さんは東京頸損連絡会の定例会議で新宿にいた。携帯メールで連絡後、都庁広場で待ち合わせ。介助者くんと空模様を伺っているところへ、顔馴染みの介助者さんと颯爽と現れた。聞くとXさんQさんも合流するという。
 それではということになり、4台の電動車イス+介助者4人が入れるお店探しが始まる。いくつか店舗を回っては、空いていてそこそこの広さの店を物色。そうこうして何とか親切に応対してくれた豚カツ店に決定。皆さんメタボリックが気になるお年頃、いやいや今宵はお構いなく〜せっかくだからとビールで乾杯。
 それぞれここ最近の出来事が話され、食事介助を受けながら笑い声が上がる愉快な夕食である。皆普段は介助者との静かな食事が常なので、こうした時は些細なことであれ笑顔が絶えないようだ。こうした介助者との単身暮らしを始めて今年で10年を迎える。東京暮らし10周年ということで麸澤さんと2人して共通の友人らを招き食事会を催そうという計画だが……。
 その打ち合わせにテーマが進もうとする頃お隣では、恋愛現在進行形のQさんの相談に幾多の恋愛遍路を転がる石の如く体現したイケメン頸損Xさんの手厚い助言が聞こえてくる。そうしてその場は一気呵成に、単身生活頸損者のまさにリアルな恋愛のあり方講座へと大きく弾んでいくのであった。
 守護者Xさんは、冷静に経験に裏打ちされた返答を述べながら、走馬灯のように過ぎ去りし愛と喝采、そして傷みの季節へと回顧しているのか、それとも卓上の特上ヒレカツの摂取カロリー計算をしているのか定かではない。
 テーブル端にいた麸澤さんから「今だから話すけど」と直球が飛び出し、大恋愛当時のXさんの様相を振り返り、隣人としての複雑な心境の一端を独白する。
 続いてわたしめもまた10年来の向かいあいと葛藤、そして日はまた昇るとばかりにある方との徒然を吐露するのでした。
 さらにさらに今やベテランの域に達した麸澤さん介助者O女史からもまた実体験からの助言として、忍耐強く傾聴する姿勢が大事よと教えを乞うのだった。
 ただいま大熱愛中のQさん、こうべを垂れつつ揚げ物をほおばり反芻(はんすう)する子牛の瞬きで聞き入っている様子。
 そうこうするうち宴の時間は足早に過ぎ、ここへ集いし悩める子羊たち、ちょっぴり切ない心持ちを分け合いつつ、程よい具合にお腹を満たしたのでした。おのおの帰宅時間、介助者の交代や終了時間が気になり、早々にお店を出ると四方からさらりと別れの声が上がり散会、電動車イスは走り出すのだ。
 今日は土曜日、駅は洪水のような人の流れでごった返しているだろう。どこか気分の良い僕らは、ポツリポツリ降り出した雨も気にせずに人が行きかう新宿の街をあとにした。

東京都:H.K.



 兵庫頸髄損傷者連絡会主催の市民講座
 「人工呼吸器使用者の自立生活を実現するために」
−当事者、支援者、市民がつながって考えよう−に参加して
 


 兵庫県明石市で2007年6月9日に当事者の講演とパネルディスカッション、日本リハビリテーション医学会の招待で来日されたアイリーンさんとバック教授の講演会(司会:Sさん)が開催されました。頸損者・Iさんの講演から開始、気管切開による人工呼吸器使用なのに約1時間、しっかりした声で自立生活の状況について報告されたのに、まず感動しました。ついで当事者のパネラーも積極的に社会参加されている方々で、生活や展望などしっかりと報告されていました。



●兵庫県在住の呼吸器使用者、Iさんによる基調講演
 「呼吸器をつけて自分らしく生きる」




●呼吸器を使って在宅生活をしているパネラーが集合 パネルディスカッション
 「呼吸器使用者の自立への課題」



 午後の講演でバック教授は、ALS以外の呼吸筋麻痺者の人工呼吸はもはや気管切開ではなく、鼻マスクによる非侵襲的人工呼吸NIPPVで充分対応できると強調され、自発呼吸ゼロであっても舌呼吸の訓練によって肺内の吸気を増やし、その力を使って自力排痰も可能と力説されていました。NIPPVにすれば吸引や気管切開ケアも不要になり、経済的な負担も軽減とメリットが強調されましたが、気管切開の当事者から質問や意見が出てこなかったのは、現実とのギャップがあり過ぎたからでしょうか。




●舌咽頭呼吸を参加者に教授するジョン・R・バック教授


 アイリーンさんのカナダBC州における人工呼吸器使用者の自立生活と地域呼吸管理の取り組みに関する講演でも、質問が出ず、司会のSさんが何度も「もったいないですよ。質問ありませんか」と催促されていました。
 会場には10年前、アイリーンさんと私が家庭訪問したYさんも参加されていました。Sさんの指名でYさんはアイリーンさんに「お久しぶりです」とまず挨拶し、日本とカナダBC州の違いは何かと質問されました。アイリーンさんは非常に難しい質問だが、一番の違いはリハビリテーションではないかと答えていました。確かにリハビリの差は大きいと痛感します。今回当事者の多くが普通のように話せていました。「気管切開なので話せない」と当然視されていたことを考えると、画期的な変化です。今回パネラーの大半は関西労災病院土岐明子医師のリハビリテーションを受けてきた人たちです。
 土岐先生は6年前東京でアイリーンさんを講師に開催した人工呼吸ケア講習会に参加し、その後、愛知在宅人工呼吸療法研究会が名古屋で開催した講習会にも受け持ち患者さんと共に参加され、アイリーンさんの指導を受けていました。さらにバンクーバで開催された国際脊髄障害医学会にも参加され、バンクーバの人工呼吸器使用者たちの自立生活の実態を学ばれ、バック先生の治療法もご自身の診療に積極的に導入され、今回の市民講座はさながら土岐学校卒業生の成果発表会のようでもありました。
 そうしたリハビリの成果を地域の自立生活に活かしていくには、カナダBC州のようにリハビリテーションに加えて地域で当事者を支えるケアシステムが不可欠です。実際、生活意欲旺盛なIさんもYさんも人工呼吸管理に加え吸引や気管切開ケアを引き受ける地域の体制不備を嘆いていました。そうかといってバック先生の推奨するNIPPVに切り替えるという選択にはすぐには行けないようです。
 今回の企画は長期人工呼吸器使用者の状態が改善されていることを強く印象づける一方で、地域生活の継続を支えるサポート体制についての課題も多く提起されました。さらに主催の兵庫頸損連絡会のメンバーが驚くほど参加者が多く、このテーマに対する関心の強さと広がりも示されました。



●カナダの自立生活型呼吸ケアについて講演するアイリーン・ハンレイ氏


 10年前初めてアイリーンさんが来日した際、カナダBC州の頸損者たちの自立生活運動について強い関心を持ち、アイリーンさんから熱心に情報収集されていたSさん、さらに昨年バンクーバへ調査に行かれたTさんたち3人組が核になって今回の企画を進められたのではないかと、こうした課題に熱心に取り組んでいる方々に感謝したい気持ちでいっぱいになりました。一時体調を崩されていたSさんも主治医が驚くほどの体調管理良好とのこと、久しぶりの明るいニュースでした。また関東からHさんが日帰りで参加されました。昨年広島の交流会で知り合った高知のTさんに刺激され、発声訓練の結果、ビックリするほど明瞭な声で話ができるようになっていました。
 

編集顧問:松井 和子



 ◆生活の実態など話し合う人工呼吸器使用者が集会

 明石市民公開講座「人工呼吸器使用者の自立生活を実現するために」(神戸新聞社など後援)が9日、明石市東仲ノ町の市生涯学習センターで開かれた。
 兵庫頸髄損傷者連絡会(三戸呂克美会長)の主催。事故や病気が原因で人工呼吸器を用いる生活の現状を知ってもらおうと企画され、頸髄損傷を原因とする人工呼吸器使用者に呼び掛けた集まりは県内で初めて。
 講座では「呼吸器使用者の自立への課題」と題して、実際に呼吸器を使う7人がパネル討論。バイク事故で頸髄を損傷し、5年前から呼吸器を使う田上彰洋さん(30)は「ヘルパーを頼んでも断られることが多く、家族に負担をかけ、つらかった」と話した。カナダと米国の研究者の講演もあった。
 三戸呂会長は「人工呼吸器の着用イコール重病で寝たきり、ではない。さまざまな人生を送っている人がいることを知ってほしい」と話していた。(川口洋光)
(情報提供:神戸新聞 平成19年6月10日)
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