【今月号の特集のテーマ!「パソコン入力の工夫」】 <特集> 割り箸マウススティックとテンキー
写真を参照してください。パソコンはベッドのオーバーテーブルの上で使用しています。プラスチックのザルは100円ショップで購入したものですが、高さをかさ上げするとともに、ザルごと移動して簡単に位置合わせをしてもらう役目にもなっています。ザルの上に、これまた100円ショップで購入した書見台を載せてガムテープで固定し書見台にパソコンを斜めに置いています。写真では書見台はツメ2本だけが見えています。パソコンを斜めにするのは、口からキーまでの距離を概略一定にすることによって、首の前後の動きを最小限で済むようにするためです。
パソコン入力はマウススティックで行なっています。マウススティックは割り箸1膳の先にもう1本割り箸を足してその先をゴムで覆ったものを使っています。ゴムはタッチ衝撃の緩和とすべり防止のためのものです。割り箸マウススティックは使い込んできたら口元の割り箸1膳を取り替えるだけでいいのが簡便で清潔です。そして安価=これらが売りです。キーボードは普通に文字入力として使うほか、Windowsの「ユーザー補助のオプション」のマウスキー機能を使ってマウスの役割も担っています。 次に見てほしいのはキーボードの下に置いているテンキーです。疲れた時にベッドをギャッチダウンして、このテンキーだけを使ってマウスキー機能を使うほか、WindowsXPの「ユーザー補助機能」のスクリーンキーボードを使って文字入力も行なっています。このテンキーは5000円ぐらいしました。以上です。 (2005年12月26日記) <特集> ハンズフリー・キーボード「Lucy」
私はスポーツの怪我が原因で重度な障害(頸髄損傷:C4)を負ってしまい、肩から下の部分を動かすことができません。現在、私は口にスティク(キーボードを押す棒)で、パソコンの操作をしていますが、私のように手や指が動かなく、スティク1本で操作する者にとっては、いざパソコンをはじめようと思っても市販のままでは使えなかったり、また専門的な(個々の障害に合わせて)サポートが必要になってきます。
幸い私の場合は、リハ病院のリハ工学エンジニアが開発したスティク1本でも操作できる特殊なマウスを取り付けてもらったり、キーボードを使いやすい角度にセットしてもらうなど、さまざまなサポートを受けることで、パソコンの操作やインターネツトへのアクセスが可能になっています。 しかし、誰でもがタイムリーにこのような障害を理解した専門家のサポートを受けることができるとは限りません。そんな重度な障害のある人でも簡単に使えて、強い味方となるLucy(ルーシー)というハンズフリー・キーボードが発売されました。 Lucyは、キーボードを使うことが困難な人のためにオランダで開発され、頭部や手足などのかすかな動きでパソコンに入力ができるパソコン操作用の多用途補助ツールです。このLucyをダブル技研(自動ページめくり機「りーだぶる」なども開発している)という日本のメーカーが、1年をかけて国内向けに改良を重ね、今年の11月から発売されています。 Lucyの使い方は、通常のパソコンに接続するだけでOKで、ソフトのインストールなどは一切不要で、誰でも簡単に使うことができます。そして、かすかでも動かすことができる体の部分、私の場合は頭を動かすことができるので、メガネのツタ(視力が良い人はレンズを外したフレームのみのメガネ)にレーザーポインタを装着した状態で、前方に置かれたLucyのキーボードを狙って、レーザー光線を当てます。(写真1) ●レーザーポインタをメガネに装着し、Lucyに、レーザー光線を当てている様子 例えば「あ」のキーにレーザーを当て、そのまま数秒制止すると、Lucyは「あ」を確定してパソコンに伝えたり、漢字変換やアルファベットの入力もおこなえます。この時に数秒停止する確定時間の長さも細かく調整できるので、操作に慣れてくるとスティク操作と同様か、それ以上の速度で入力できるようにもなります。 また、表示のキー配列も「五十音配列」と「キーボード配列」の2種類(写真2)があり、シートを交換するだけで、自分が使いやすい方のキー配列に簡単に変更することができます。 ●キーボード配列 ●五十音配列 もちろんLucyはマウスの操作もできるので、文字入力だけでなく、インターネットへのアクセスなど通常のパソコン操作はすべて可能です。また、Lucyをオプションのアシスタンド(写真3)に装着することで、高さや角度調節が簡単におこなえ、ベッド上でも車イスに乗っていても使用することができます。さらに「角度バー」を使用すれば、複雑な三次元の位置合わせも可能になります。この写真では、Lucyとパソコンを上下にセットして使用していますが、使う人の好みによっては左右に並べてセットすることもできます。 ●アシスタンドに装着して、車イスでLucyを操作している様子 現在、パソコンの活用やインターネットなどの情報通信ネットワークは、障害者にとって単に趣味の範囲だけでなく、有意義な地域生活を送る上で欠かすことのできないものとなりつつあります。しかし、障害が原因でパソコンを操作できなかったり、情報にアクセスすることができないと身体の障害だけでなく、情報障害という二重の障害を負ってしまう危険性があります。そのような観点からも、誰でも簡単に使うことができるこのLucyは、キーボードやマウスなどの操作が困難な重度な障害者にとって、とても有意義なものだと思います。 [問い合せ先]ダブル技研株式会社 〒252-1113 神奈川県綾瀬市上土棚中4-2-43 TEL: 0467-77-8797, Fax: -7865 E-mail: info@j-d.co.jp http://www.j-d.co.jp 担当: 寺田 真智子 F.L.C.(Friendly Life Community) 金子 寿 E-mail: f_l_c_@a3.ctktv.ne.jp
<特集> 光で入力
私は光入力式のキーボードとマウスを使っています。まったく手が使えないひとでもパソコンがすばやく操作できます。また、車イスをかなりリクライニングしても使えるので起立性低血圧の強いひとにもいいでしょう(頭がぐらぐら揺れるひとには向きません)。
●体の正面にあるのが光キーボード。画面のまわりに付いているのがマウスのセンサー。ともに指で押すかわりに帽子のつばに付けたレーザー光線を当てる。 キーボードにもマウス機能が付いていますが、画面とキーボードを同時に見なければならないのでたいへん。そこで画面のまわりに光マウスのセンサー(受光部)をくっつけました。レーザー光線を当てたセンサーの方向にマウスカーソルが移動し、クリックやドラッグもできます。 [問い合わせ先]アートロニクス㈱ TEL: 0297-58-9477 「アートロニクスのページ」 http://homepage3.nifty.com/artronics/ 編集部員:藤川 景
<特集> マウススティックでのパソコン入力について
1.電動車イスに乗っている時 (デスクトップパソコン)
写真1(↑)のような長いマウススティックを使い、パソコンのキーボードを押している。噛むところはオルソプラスト(ジョンソン&ジョンソン社)という素材。熱湯で柔らかくなり、好きな大きさに切れ、加工も容易である。この部分の角度を変えることで、噛んだ状態でのスティック先部分の向きを適切に設定している。清潔を保つよう気を付けているが、特にカバーなどはしていない。スティックを曲げる必要がある場合は金属を用いている。 スティックの先の部分はダイセム(ADLエキスプレス社)いう滑り止めを巻いている。パソコン用の棒の部分はφ9mmの木製を使い、約80cmになる。重さは59gである。マウススティックが長いことで顎や首の疲れもあるが、マウススティックをくわえながら、電動車イスで移動してエアコンなどのリモコン類も操作可能にしている。続けての入力は非常に疲れるので入力中に休憩できるよう写真2(↓)のようにマウススティックを置く所もある。マウス操作はマウススティックで直接マウスを動かし、クリックのみユーザー補助を使っている。 2.ベッドに寝ている時(ノートパソコン) フィリピンに行った時、向坊さんのパソコン操作をヒントにこのような(写真3)形で入力する。マウスはWindowsのユーザー補助機能を使い、パソコン本体のパットや外付けのマウスは使わない。無線LANでインターネットやデスクトップパソコンとつながっていて、メールの送受信やデータのやりとりができ、体調を崩し数日間電動車イスに乗れない時も、外部とのつながりを保つことができ、余暇時間の楽しみも増える。 四肢の麻痺した頸髄損傷者にとってマウススティック1本(材料には500円程度)とパソコン(インターネット)ができる環境にあれば、電子メールの送受信やホームページで必要な情報を手にすることができ、私たちにとって一番大切な情報収集やコミュニケーションを簡単に得られるようになる。 私たち障害を持った者が何かをする時、人に手を借りるのは仕方ないことであるが、マウススティック1本あるだけでそれを最小限にし「自分の意志で自分でできる。」という素晴らしい物を得ることができ、精神的に見てもとても大きいものがあると思う。(写真3↓) 「ふざわたかし・ホームページ」に詳しく載っています。 http://homepage3.nifty.com/fuzawa/rc14.htm 広報委員:麸澤 孝 |
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