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★『臥龍窟日乗』-87- 等距離外交 | 千葉県:出口 臥龍 |
暑中お見舞い申し上げます。
厳しい暑さが続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は、寒がりなので、比較的暑さに強い方なのですが、連日の猛暑に疲れが溜まってきております。しっかり休みながら、疲れを溜めないように夏を乗り切りたいです。
さて、新体制ホームページ版「はがき通信」ですが、ご投稿が少ないので、これまで紙面版を購読してくださっていた方に、暑中見舞い兼ご投稿お願いはがきを送付させていただくことにしました。
はがきが届いた方、お時間がよろしいときに、ご投稿を何卒よろしくお願いいたします。
はがき通信ホームページ管理人 ポスト
万博レポート
前回のごあいさつに書いた大阪・関西万博について、バリアフリー情報を中心にレポートしたいと思う。基本的にイベント会場、パビリオン内は全てバリアフリーで、エレベーターの設置もあった。万博サウナがバリアフリーかどうか、未確認なので、誰か挑戦してほしい。
ところで、これまで、4月の下旬と7月の上旬に2泊3日で2回ずつ行ってきた。ひと言で言って、万博サイコー!である。人によって、感じ方はさまざまであろうが、私の嗜好にドンピシャなイベントなのである。
まずは、大阪・関西万博は事前の情報収集、事前準備と予約が肝心である。この事前の準備段階で心折れる方も多いだろうが、しつこい諦めない性格が、より万博を取りこぼしなく、楽しみたいという思いに駆り立てられた。
チケット購入は、公式デジタルチケットサイトから「特別割引券」大人(満18歳以上)¥3,700 が、障がい者手帳等をお持ちの方、もしくは障がい者手帳等をお持ちの方の同伴者(介助者)が1回入場可能なチケットとなっていたので、こちらを1枚ずつ選択し購入した。通常の1日券は¥7,500なので、大体半額になる。
通期パス¥30,000と迷ったが、こちらは障害者手帳等の割引がないことと介助者がその都度変更になるとどうなるか、不明だったので、1日券を選択した。その他にも夕方から入場できる夜間券や夏パスなど複数の券種と券の内容の変更もあるので、常に情報収集が欠かせない。
チケット入手後は、来場日時、来場ゲートの選択が必要になるが、日にちが決まらないとイベントやパビリオンの予約ができず、変更すると予約が無効になってしまうので、注意が必要だ。イベントやパビリオンの予約は、事前予約抽選が肝心で、こちらの情報は、一般情報と変わりないので、詳細は差し控える。
しかし、パビリオンによっては、視覚障害や強い光や音が苦手な方や車椅子向けの予約時間帯があるので、行きたいパビリオンの予約に当たったら、より楽しめるかもしれない。万博開幕当初は、会場のネット環境が不安定との情報があったので、入場QRコードをスクショし印刷、首からぶら下げるチケットケースに入れて準備した。
そして、公式マップがわかりにくいので、Xに投稿してある非公式マップがわかりやすいとの情報があり、そちらをA4で印刷し、雨が降っても大丈夫なように手持ちのケースに入れ、膝にクリップで留めることにした。非公式マップの情報を知るまでは、マップを覚えようとしていたのだが、非公式マップの出来の良さに感動し、覚える必要がなくなった。うちわに貼り付けられるようにレイアウトされた非公式マップも登場しているようだ。万博に行かれる方には、ぜひ非公式マップをお勧めしたい。
飲食は、長蛇の列との情報だったので、普段は花より団子なのだが、団子はいつでも食べられると思い、花を優先することにし、持ち込むことにした。ちなみに、ビン缶NG、ペットボトル、飲食の持ち込みはOKである。
さて、まずは4月下旬の万博をレポートしたい。新大阪駅到着後、スムーズに地下鉄を乗り換え、東ゲートから10時台で入場した。夢洲駅エレベーターを降りて、東ゲート向かって右手が優先ゲートになっており、空港の保安検査場より簡単にチェックが済む。チケット購入の際に、障害者手帳等の登録なく購入できたが、入場の際にも全く確認はなかった。天気も良く、寒がりの私でもちょうど良い。目玉のひとつである大屋根リングは、エレベーターも配置されており、これが半年で壊されるとはもったいないと感じる。
「大屋根リング」
まずは、ミャクミャクに会いに事前予約のないミャクミャクハウスへ並ぶ。ミャクミャクを初めて見た時はぎょっとしたが、見れば見るほど愛らしいマスコットである。無事にツーショットを撮ってもらい、頑張って!と声をかけ、予約していたパビリオンへ。その後、人気のイタリア館に並んでいると数人前の女性が車椅子の方は、別ルートの入り口があるはずと教えてくれ、近くにいた若手のスタッフに尋ねると知らないと言われた。それでも、少し年齢が上そうなスタッフに尋ねると快く先頭の入り口へ案内してもらえた。
本当に、車椅子は優先入場ができるようだ。そんな情報どこにもなかったが、一般の方が長時間並んでいるのにもかかわらず、良いのだろうかと後ろめたい気持ちになった。しかし、関西圏外の身としては時間が限られているため、比較的列の短い海外パビリオンを狙い、車椅子なんですけどと近づくと、快く先頭入り口に案内してくれた。初日の帰りは、噴水ショー後の混雑を避けるため、20時には退場した。
ホテルに向かう電車の中で、感じの良さそうな車椅子の女性に話しかけられた。万博のスタッフをされているそうで、周りの数人も万博スタッフで、皆さん良い色に焼けていた。やはり、海外パビリオンは車椅子優先、障害者優先レーンがあるようで、2時間待ちのアメリカ館もすぐに入らせてくれるのではないかとアドバイスを受けた。その中にいた男性がwheelogというみんなで作るバリアフリーマップのアプリを作っている人で、万博の車椅子用トイレ全て把握していると冗談めかして言っていたが、おそらく本当であろう。
「車椅子を組み合わせて作ったオブジェ」
「クウェートパビリオンのスタッフ」
2日目は、9時から21時まで、最後の噴水ショーとドローンショーまで楽しんだ。噴水ショーは、予約していなかったため、中央にある噴水に映像を映すため、付近の空いているスペースに30分前に場所を取りスタンバイした。目の前に立っている人がいるとさすがに見えないが、皆疲れて座っている人が多いので、充分よく見えた。同行してくれたヘルパーさんの2日間で歩いた歩数は、30000歩を超えた。もともとよく歩けるヘルパーさんだったが、さすがに超人的である。事前に折りたたみの椅子など用意しようかと持ちかけたが、必要ないとのことだった。普通の人なら、同行者のために折りたたみの椅子を用意してあげてほしい。
帰りは東ゲートで、一般の方は右側の迂回ルートを案内されるが、車椅子利用者は入場した時と同じゲートを通らせてもらえるので、ご注意願いたい。
次は7月上旬に行った大阪・関西万博の情報である。今回は、JR桜島駅までのシャトルバスを利用することにした。シャトルバスはKANSAI MaaSというアプリで3ヶ月前から予約購入ができる。しかし、1週間前に動き出したので、希望する時間帯で予約が取れず、柔軟に対応してくれるだろうと思い、購入した。この頃になると、周りでも万博に行ったと言う話を聞かれるようになった。車椅子の来場者が増え、優先入場をしないパビリオンも増えてきたとの情報があった。確かに明らかに車椅子をよく見かけ、ドイツ館に行くと今の時間、車椅子入場を断っていると言われた。必ずしも特別扱いで優先してほしいわけではないので、他のパビリオンに変更したが、入れないとますます入りたくなるもので、次回リベンジしたいと思う。
また、学生の団体も多くなり、日陰になる大屋根リングの下にベンチは多いが、学校側からの配慮かレジャーシートを広げ、食事をしていた。昼食時間は特に重なるので、もっと多くのベンチと机が必要であろう。このたびは、トルクメニスタンパビリオンで、食事にも挑戦し、1時間以上並んだ。並ぶ場所も重要で、屋内で冷房の効いている場所だったので、辛くはなかった。注文したのは、ピラフのような「パロウ」、揚げパンのような「ピシメ」、かりんとうのような「シェクシェキ」の入ったアイスクリームである。どれも、普段の外食の2倍の値段だが、トルクメニスタンに行かないと食べられないものが、大阪で食べられると思い、奮発した。
この日は、まだレジオネラ菌により噴水ショーが中止になっていたので、20時のドローンショーを西ゲートに向かいながら見た。そして、シャトルバスの希望乗車時間は過ぎていたものの、スムーズにバスに乗車してもらえた。次の日も、希望する時間のバス予約ができなかったが、JR桜島駅の乗車場所に行くと、アプリで車椅子枠ではなく、一般枠で良いから、今の時間に変更してくれと言われた。アプリから時間の変更は、その場でスムーズにできたのでよかったが、事前に埋まっていた時間帯が空いていたので、どうやら直前にキャンセルしている方も多いようだ。
ただ、大曲の花火の日は大変な混雑だったようで、バスの予約ができず、バスに乗れなかった方で大混乱だったようだ。知人によると、シャトルバスは購入していない方よりは購入している方、後の時間の方よりは、前の時間の方を優先的に乗せてくれる傾向にあるようだ。
他にも、ご存知の方も多いだろうが会場の中、すべてキャッシュレスである。万博関連アプリもパビリオンアプリも多数存在し、複雑さを感じる。多目的トイレもたくさんあるが、屋外のトイレは暑くて暗かった。なので、涼しい屋内のトイレをお勧めしたいが、パビリオンのトイレは故障しているところもあるので注意が必要だ。
最後に、大阪・関西万博は、10月13日まで開催している。私は、次回9月に3度目の万博で、集大成にしたいと考えている。私が何かを成し遂げるわけではないけれども、同行してくれるヘルパーさんに感謝しながら、半年間の大阪のお祭りを全力で楽しみたいと思う。
「横浜からやってきたガンダム」
「トルクメニスタンのパロウ」
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『臥龍窟日乗』 -87- 等距離外交
なんで日本人は中国を嫌いなんだろうか。筆者が中国に関心を持ったのは中学生の頃だった。資本主義も共産主義も分からずに、教科書に出てくる中国に興味を惹かれた。教科書の文字は中国語だというし、お寺や坊さんは中国から伝わったと知っていた。
中国に初めて渡ったのは文化大革命の後だった。個人では入国できず日中友好訪中団なる団体でしか受け入れない。香港へ渡り木造の古い橋を渡ったところが深圳(シンセン)だった。見渡す限りのだだっ広い畑地だ。駅に停車していた電車は木造蒸気機関車で、いつまでたっても出発しない。中国旅行社の、奇妙に日本語の達者な林(リン)さんがガイドだ。「みなさん今のうちにホームにある両替所で兌換(ダカン)券に交換してください。みなさんは外国人だから人民元は使えません」全員が両替を終えて木造列車はゴトゴトと畑の中を徐行した。
この当時の中国旅行は、国営の中国旅行社がすべて段取りをする。広州市内を一巡してから飛行機で上海へ飛び、上海鉄道駅から西に向かって南京市へ移動した。夕方だったから列車の進行方向に大きな大きな太陽が沈まんとしていた。訪中団は年齢がばらばらだから、50代後半の方もいた。真っ赤な太陽に向かってとつぜん「ここはお国の何百里……」と感極まって唸りだした。車両からスッと抜け出た男がいた。これはやばいぞと思ったが、ご当人はぼろぼろと涙を流して歌っている。すぐに先ほどの男が公安(警察)を連れてきた。公安は大きな声で叫んだ。外国の歌なんぞ歌ってはならぬとでも言っているのだろう。
南京から上海に戻る時に、私は上海で人民公社を訪れたいと林さんに頼み込んだ。林さんは両目をしばたたせて、「もう出発してるから予定変更は無理です」と困り切った表情だ。でも上海への列車の中で「なんとか受け入れる人民公社が見つかりました」と目を輝かせた。人民公社を見学して、一同は公社の会議室で人民公社幹部と質疑応答した。私は最も聞きたかった質問を「回答してもらえるかな」といぶかしながら質問した。
「毛沢東主席と人民公社職員の給料は何倍くらいですか」と訊いた。公社幹部は迷わずに「6倍です」と答えた。にわかに信じがたい返答だ。外国の要人接待などかさばる費用など6倍で賄えるとは思えない。そういう費用は別建てなのだろうと思った。その直後だ。50年配の女性から突然質問が出た。「人民公社の職員で鶏を飼う人が出たら鶏の産んだ卵は私物化して良いんでしょうか」私は驚いた。これこそ共産主義の本質を突く質問だった。人民公社幹部はちょっと困ったような顔になり「それは良いんです。政府もそんな細かいことまで口は挟みません。むしろ生産性の向上に繋がるから、目をつぶると思います。」
私はこれぞ社会主義の要諦だと喜んだ。一介の主婦らしい女性の口から、こんな本質的な質問が出てきたことに驚嘆したものだ。
南京の後上海に戻り大連には飛行機で移動した。大連からは旧南満州鉄道を北上して瀋陽(シンヨウ)、長春などを歴訪した。東北地方(旧満州)に住んでいた方がおられて「ぜひ自分の育った家に再び訪れたい」とリクエストした。多分だめだろうと林さんに交渉すると困ったなと顔で首を傾げた。なんと特別に許可が出てその方は思い出の故郷を再訪することができた。夕方本体に帰って来たその方は、顔面くしゃくしゃにして感動を披露した。日中友好訪中団もまだ始まったばかりなので中国政府も何かと便宜を図っているのだろう。
これから数年後には私は台湾に支社を設け台湾から深圳を経て上海や南京などに度々訪れる機会があった。驚くべきことに香港から橋を渡った深圳駅はばかでかい立派なビルになっていたし深圳市市内には台湾の工業製品メーカーが我を競うように工場を林立した。もう畑なんかどこにも見当たらない。私は台湾企業があっという間に中国に工場移転したのは、アメリカの量販店バイヤーだろうと思っている。量販店は小売価格でしのぎを削る。日本依存だった工業製品が台湾に移り、人件費などが更に低くなる中国に移動するのは、誰の目にも明らかだった。
実質GDPでは、アメリカを凌いで世界No.1という説もある。世間では台湾有事と騒がれているが、中国が台湾を併合するという意味だ。私は利ざとい中国人がそんな無茶をするとは思えない。中国が台湾本土にミサイル攻撃をすれば、中国の台湾企業のトップはすぐさま海外に逃亡する。シンガポールやカナダに彼らは第3の住居を所有している。そして大陸の工場はもぬけとなりGDPのランキングもがた落ちとなる。そんな間抜けな行動を中国政府が仕出かすとは思えない。ちっぽけな日本、アメリカや中国と等距離外交を模索するべきではないだろうか。
千葉県:出口 臥龍