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★ ごあいさつ | はがき通信ホームページ管理人 ポスト |
★『臥龍窟日乗』 -86- 障害者ヘルパー | 千葉県:出口 臥龍 |
★全員参加企画『いいモノ見つけた!』~46~ | キロパスカル |
先日、2025年大阪・関西万博が開幕した。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、2025年4月13日から10月13日までの183日間、大阪市の人工島「夢洲」で開催される。大阪で開催されることが決まってすぐに、絶対行くぞと決めていたので、今月ようやく行くことができる。
2005年に開催された愛・地球博は、健常者だったが、あまり興味がなく、当時住んでいたところから遠方だったこともあって行くことはなかった。今思うと、実にもったいないことをした。しかし、不自由な体となった今、遠方だろうといろんなところに行きたくて、家から出たくて仕方がない。自分が生きているうちに、経験できる全てを経験してみたいという好奇心が強くなったような気がする。
今回の万博が賛否両論あるのも、マスコットキャラクターの評判も全く関係ない。周囲に万博に行く予定のある方がいないので、自分で情報収集をしないといけないのが大変だが、調べられるだけ調べてみようと思う。
火星の石、月の裏側の砂、生きてるうちに、自分が月や火星に行くことはできないかもしれないが、実物を見ることで、何を感じるのだろうか。さまざまなパビリオンから、未来の生活を想像し、未来に夢を見ることができるのだろうか。まぁ、あまり難しいことは考えず、素直に、万博を楽しんでこようと思う。
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『臥龍窟日乗』 -86- 障害者ヘルパー
私は受傷歴20年を超えるが、10年を過ぎた頃こんな経験があった。ある時、新任のヘルパーさんが挨拶にやってきた。30前後と覚しき若い女性で、長い髪をオダンゴに結っていた。端整な顔立ちだ。正座して三つ指をついてこう切り出した。
「わたくしは障害者手帳を持っております。一生懸命がんばります。末永くよろしくお願い申し上げます」
横になっていた私は正直驚いた。障害者らしき片鱗は微塵も感じない。意思の疎通も健常者と変わりは無い。数ヵ月通常通りに介護に入ってもらったが、支障はまったく無い。現在のように介護ヘルパーさんが人手不足の時代ではなかった。だが介護業界に障害者ヘルパーなる存在に意表を突かれたものだ。障害者手帳を保持しているというのだから、嘘偽りは無いのだろうが、ここまで育てた親御さんのご苦労も大変だっただろうと感じ入った。
介護を受けている障害者がこういうことを書いているのにやましい気持ちもある。例えどういう人であれ障害者の手足となって働いてくれるのに、不謹慎ではないか、という声も上がるかもしれない。件の女性ヘルパーは何の都合か数ヵ月でお辞めになった。一度も粗相は無い。ところがその後断続的に障害者らしきヘルパーさんが我が家に入った。自分では名乗らなかったが、意外に結構な数である。
私は最重度の障害がある。首から上だけ動くのだが首から下はまったく意のままにならない。車椅子も電動、ベッドは自動体交付きだ。ベッドから電動車椅子にはリフターが必要だ。即ち移乗ひとつとっても、機械の操作が誤れば危険この上ない。
天気さえ良ければ、我が家の周辺を一時間散歩する習慣がある。介護内容は食事介助、口腔ケア、入浴介助、排泄介助などだが、散歩は介助の合間に挟む。これらのルーティンのケアはベテランさんが入ってくれているが、新人の場合は散歩から慣れていただく。
ある時散歩中に、路幅4メートルの路地の真ん中に宅配トラックがでぇーんと停まっている。左右両側を見やると、両路肩に下水溝が切ってある。通れるかなとしばし案じた。男性の新任ヘルパーさんに「通れるかなぁ」と声を掛ける。「行けるでしょう」という小さな返事だ。私の電動車椅子はチンコントロールだ。恐るおそる進む。すると新任ヘルパーさんが背後から手押しを押した。
電動車椅子の幅は70センチ強だが、途中でこれは無理だと判断した。だがヘルパーさんはぐいぐいと押してくる。「ストップ、ストップ」と懸命に制止する。ところが悲しいかな、座位をとった重度障害者は蚊の鳴くような声だ。肺活量がわずかだから大きな声が出ない。已(や)んぬるかな、電動車椅子の車輪は溝にはまった。全体がぐらっと左に傾いた。左には住宅のブロック塀があったが衝突は免れた。宅配便の運ちゃんが飛び降りて引き上げてくれた。
仮に頭部がブロック塀に当たっていたら、二次災害でふたたび頸骨が折れていたかもしれない。
散歩を切り上げて自宅に戻った。電動車椅子の両輪を支える横フレームがぐにゃっと曲がっていた。新任ヘルパーさんはべそをかいて立ちすくんでいた。
「ストップって言っただろ。壁に頭突っ込んでたら、今頃お陀仏だぞ」と注意した。50代の新任ヘルパーは頭を掻きながら「ストップという言葉は判るんです。でもその意味が理解できるまで時間がかかるんです」そして「私発達障害なんです」と付け加えた。
重度障害ゆえに機械は種々多用だ。ベッドから電動車椅子に移乗するにはリフターを使う。身体の背中にハンモックを挿入し、リフターのフックに掛ける。ところが操作中にフックが外れるケースがある。ベテランさんはチェックするが新人の場合はそのまま身体を持ち上げる。何かの拍子にフックが外れる。身体が傾いてハンモックからスッポ抜ける危険がある。あってはならないミスだ。
これから先は事業所様にお願い申し上げる。この数十年間世間は不景気続きだ。飲食店や小規模製造業ではばたばた倒産した。軽度の障害者は職を失った人も少なからずあるだろう。特にこの数年は軽度障害者が介護業界に多くなったような気がする。障害者が言うのもおこがましいが重度障害者のケアにはごく普通のヘルパーさんを派遣して頂けないだろうか?
千葉県:出口 臥龍
全員参加企画
『いいモノ見つけた!』 ~46~
【バッテリー内蔵型LED電球】
停電やブレーカーが落ちたときに、自動点灯するLED電球です。夜にブレーカーが落ちて、急に真っ暗になった直後に明るく照らしてくれました。普段明かりとして使用して、自動的に内蔵しているバッテリーに充電されます。
他にも停電時に自動点灯するバッテリー内蔵のLEDシーリングライトや直管タイプもあり、バッテリー容量により駆動時間が違ってきます。
写真はコストコ購入品で、3個入り(1つ使用中)、バッテリー駆動は約2時間、約2千円。
紹介者:キロパスカル