『臥龍窟日乗』-79- 宰相の見識
長引くウクライナ戦争は、解決の目途のたたぬまま泥沼化している。11月15日、ウクライナ北方のポーランドに、ロシアのものと思われるミサイルが撃ち込まれた、とAP通信が報じた。言うまでもなくポーランドはNATO加盟の国である。スワッ一触即発、NATO軍からロシアへ、ミサイルの集中砲火が浴びせられるか。第三次世界大戦の勃発。核戦争は免れまい。
ちなみに世界の核保有数はというと、ロシアが6255、アメリカ5550、中国350、フランス290、イギリス225、パキスタン165、インド156、イスラエル90、北朝鮮40-50(ストックホルム国際研究所2021年調査による)。これらの核爆弾が飛び交い、地球は一週間と経たずして放射能に包まれてしまうだろう。
いよいよ地球滅亡が迫ったかと思ったが、アメリカのバイデン大統領がすかさず声明を発表した。ポーランドに着弾したミサイルは、ウクライナから発射された迎撃ミサイルであると。ロシアから大量に発射されたミサイルを打ち落とす目的で、ウクライナが迎撃ミサイルを発射した。その一発が迷走してポーランドへ着弾したのである。
NATO軍30ヵ国の内には、ロシアへ核ミサイルの照準を合わせた国があったかもしれない。バイデン米大統領を、私は耄碌(もうろく)した爺様だと思っていた(私も同様ではあるが)。ところがこの爺様がとった手段は見事であった。ポーランドに落下したミサイルの飛行ルートを精緻に追跡し、ウクライナの迎撃ミサイルであるといち早く発表した。
元来、私はアメリカ人というものが嫌いである。受傷までの35年間、アメリカには数十回も渡った。レンタカーで縦横無尽に走り回ったが、いい思いをした経験があまりない。土台、日本の呑百姓面をしているのであるから、差別を受けても致し方ないのかもしれない。仕事上の友人には、いわゆる「いい奴」が多いのだが、こと星条旗が絡んでくると話がややこしくなる。世界の警察を認じていて、なにか紛争が起きるとアメリカの正義において制圧する、という態度は鼻持ちならない。
この百年を振り返ってみても、ベトナム戦争、中東戦争、アフガニスタン戦争など、アメリカは世界の紛争地に乗り込んできた。以前にも書いたが、我々のような脊髄損傷者が世界で一番多いのは、アメリカである。戦地に若者を送り込んでおいて、脊髄に弾丸を撃ち込まれた兵士は数えきれない。
国民の厭戦感を感じ取り、極力海外出兵は避けようという政策に切り替えたのは、民主党のオバマ前大統領である。今回のウクライナ戦争を注視していると、アメリカは武器弾薬や資金をつぎ込みはしても、直接出兵することはなかった。11月15日のポーランド誤爆事件で、もしバイデンが「ミサイルはロシアから撃ち込まれた」とけしかけていたら、早とちりのNATO軍の一部からモスクワに、核弾頭が撃ち込まれていたかもしれない。懸命に情報を収集し、最悪の展開を避けたバイデン爺ちゃんをいっぺんに好きになっちまった。
11月15日から16日まで、G20がインドネシアのバリ島で開かれた。11月14日にはまさかの米中首脳会談が持たれた。表向きには犬猿の仲である。腹には一物も二物もあったろう。アメリカは膨大な国債を中国に握られている。中国はアメリカに半導体の供給を阻まれている。舞台上で両首脳がどつきあっても不思議ではない。たとえ表情だけであっても、にこやかに握手をしたことの意義は大きい。政治体制の異なる国同士が話し合いの場を持つことは、何を差し置いても維持してほしい。それこそ宰相の道なのである。
あろうことかG20の席上、尖閣を引き合いに出して、某国宰相が中国を非難した。なんという愚挙。相手が大物だったから無視されたが、これとて戦争の引き金になったかもしれない。尖閣には歴史がある。一昔前、尖閣諸島の地下には石油資源が眠っているとされたが、今では大したこともないと判明した。
ポーランドに着弾したミサイルがロシアのものだと書いた記者を、11月22日、AP通信はクビにした。
千葉県:出口 臥龍
全員参加企画
『いいモノ見つけた!』 ~44~
【巻き爪矯正器・巻き爪ロボ】
1時間もかからずほとんどの巻き爪が治ります。また、何回でも使えるというところがいいです。
製造・販売:鹿浜製作所
連絡先:0120-616-011
価格:19,800円(税込)
※『巻き爪ロボ』でネット検索できます
紹介者:Y.I.
音声入力でのやることリストとキーガードと書見台
「はがき通信」193号の『アマゾンエコーで妻のスマホに電話する』で書いたように アマゾンエコー(アレクサ)を活用している。わずかな随意機能でセンサーやスイッチを作動させる環境制御装置に取って代わる日を夢見ながら、便利に使っている。
ラジコというアプリでラジオを聴いているとメモしたいことが時々ある。古い洋楽の曲名とか新しく出た本のタイトルとかいろいろである。音声入力の便利さを知っているのでボイスメモができないかと調べてみたら、やることリストという機能があった。使い方は簡単である。
やることリストに項目を追加する時は、「アレクサ、やることリストに追加」と言えば“何を追加しますか”と聞いてくる。やることリストの項目を確認する時は、「アレクサ、やることリストを確認 」と言えば“項目が2個あります。テキスト入力、読書”と答えてくれる。やることリストの項目を消去する時は、「アレクサ、やることリストを完了」と言えば“何を削除しますか”と聞いてくる。やることリストを白紙に戻す時は、「アレクサ、やることリストを削除」と言えば“リスト自体は削除できません。全項目を消去しますか”と聞いてくる。
***
「はがき通信」193号の『スウェーデンのSpinalistips』の写真2に対するコメント“私が興味を引かれたのは、キー部分が凹んだキーボードである。キーの上に手を置けるくらいなら、ミスタッチも少ないのかもしれない”が気になっていた。
某掲示板の書き込みから、キーボード本体に被せるキーガードの存在を知った。
手作りしてくれる工房もある。例えば、山ねこ工作室。(http://yamaneko-kousakusitu.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-c34a.html )
既製品もある。例えば、キーガード付きパンタグラフタイプキーボード”BFKB113PBK-G(https://bit-trade-one.co.jp/product/bitferrous/bfkb113pbk-g/
)。製品紹介には“上肢に震えなどの不随意運動や筋力低下などの症状のある方を対象に一つ一つのキーをより確実に入力補助をするためのキーガード付きモデルです。キーがガードされているため余計なキーが入力されずキーボード本体に手をのせながら入力することが可能です”とある。
10780円で販売されている。受傷から日が浅い頃であれば左手のリハビリに試してみたかった。
***
読書の時に本の角度とページめくりで苦労していたが、受傷後20年にして書見台を購入した。
製品によってホルダーの押さえつけ強度は異なり、しっかり押さえつけるタイプ(ページがめくりづらい)ものから、軽く押さえる(ページがめくりやすい)ものまでさまざまである。
ページホルダーが本のページがめくりやすい構造となっているサンワサプライ ブックスタンドデータホルダー DH-317W
(https://www.sanwa.co.jp/product/syohin?code=DH-317W)を購入した。アマゾンで1000円くらいだった。読書が格段に楽になった
福岡県:DRY
「はがき通信」193号の『スウェーデンのSpinalistips』
https://www.normanet.ne.jp/~hagaki-t/pcc193d.html#d2
【編集後記】
毎日の生活に欠かせない福祉機器や家電がたくさんあり、故障すれば生活に支障が出ますし、10年以上たてば壊れるリスクが高まり心配になります。特に真夏にエアコンが壊れたら死活問題で、買い換えるにしても修理するにしても最短1週間はかかりそうです。壊れる前に買い換えておきたい気持ちと、かといって今動いているものは調子が悪くなるまで使いたいという気持ちの葛藤があります。
先日壊れちゃとても困る、車いす~ベッド間移乗用の天井走行式の(既製品の)電動チェーンリフトが何の兆候もなく突然動かなくなりました。58号(1999年7月)に掲載の「手製の天井走行式リフター」から買い換えた3台目でした。すぐにネット通販で価格より到着日時、修理対応を優先して注文しました。故障から3日後に届き、装着して復旧できました。復旧するまでヘルパーさんの増員や力のある方に交代など対応していただき、おかげさまで何とか移乗することができました。
また今まで使っていた電動チェーンリフトは修理して予備に置いておきたいところですが、生産終了からずいぶん経っており修理不可でした。代用として約1万円の手動のチェーンリフトを緊急・停電用に購入して安心を得ようと思います。
*
次号の編集担当は、瀬出井弘美さんです。
編集担当:藤田 忠
………………《編集担当》………………
◇ 瀬出井 弘美 (神奈川県)
◇ 藤田 忠 (福岡県)
………………《広報担当》………………
◇ 土田 浩敬 (兵庫県)
post_card_comm_14520@yahoo.co.jp
発行:九州障害者定期刊行物協会
〒812-0068 福岡市東区社領1丁目12番4号
TEL:092-753-9722 FAX:092-753-9723
E-mail:qsk@plum.ocn.ne.jp