はがき通信ホームページへもどる No.139 2013.2.25.
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 【特集! 移乗(トランスファー)をどうしていますか?<自宅編>】 


 今号の特集は、134号の〈旅先編〉に引き続き
「移乗(トランスファー)をどうしていますか?<自宅編>」です。
 私たち四肢マヒ者にとって、車イス〜ベッド間の移乗は
生活を営む上で不可欠な日常動作です。
 自宅での移乗方法や工夫、介助者へ移乗方法を伝えるコツ、
気を付けていること、失敗談等々、
移乗にまつわるご投稿を紹介させていただきます。



 特集 介護リフト利用 


 介護リフトを利用されて移乗されている方々には、質問形式でお尋ねしてみました。


 《質問内容》
 〈1〉現在のリフトの種類と名称(例:天井走行式「パートナー」など)
 〈2〉現在の吊り具の種類(例:2本ベルトタイプなど)
 〈3〉介助者の人数
 〈4〉「昔と今」での相違点は?(工夫を重ねた点や変更などをした理由)
 〈5〉介助者へ移乗方法を伝えるコツは?
 〈6〉何か気をつけている点は?(介助者に対してなど)
 〈7〉移乗に関する失敗談があれば何でも是非! 


 C4、5・リフター利用歴:20年

 〈1〉天井走行型:かるがるリフト(武虎)
 〈2〉2本ベルトタイプ 
 〈3〉1人
 〈4〉現在使用しているリフターは、当初バケット式吊り具だったが、介助の際ベルト式の方が身体に装着しやすいために変更した。
 〈5〉一つ一つの作業を確認をさせ声がけしながら移乗する。慣れるまでに繰り返し使用する前にシミュレーションを行い動作を確認させる。2人研修の際に介助者自らリフターで移乗を体験させる。
 〈6〉介助者を慌てさせないこと。介助者に無駄な動作をさせぬこと。介助者に慎重さを持たせる。移乗中に電話が鳴ってもドアベルが鳴っても移乗作業を続行させる。
  ※経験豊富な介助者であっても不注意や慣れがミスにつながる。
 〈7〉ウロバックのホースを車椅子にひっかけてしまった。背当てベルトの位置が下過ぎたままリフターを上げた際に反射が起き身体が海老反りになった。身体に通したベルトをリフターに装着する際、リフターをおでこにぶつける。 

東京都:H.K.


C5レベル完全

〈1〉ミクニ社・ベッドセットタイプ「マイティエース」



 〈2〉2点式ベルトタイプ



 〈3〉1人
 〈4〉特に変わりなし
 〈5〉焦らせずに、ゆっくり慎重に動作するよう伝えています。
 〈6〉移乗の際に車いすなどの突起物にお尻が当たらないよう注意しています。
 〈7〉リフトの電源が切れてしまい、緊急時用の手動方式で体を降ろしたことがある。巻き上げベルトが本体へ捻じれて入り込んでしまったため、動作しなくなった。

東京都:T.M.



1980年C4、5受傷

〈1〉天井走行式「パートナー」
  2000年夏に家を建て神奈川へ引越しをしてきました。建築時に天井走行機を設置しましたので、実際には必要な位置からは少し離れています。ですので、写真のようにバンドが斜めに引っ張られてしまっていますが12年間この状態で利用しています。



 〈2〉2本ベルトタイプ
  体全体を包むタイプもありますが、ややこしいし、急いでいるときに時間がかかり不便なので利用はしていません。
  2本ベルトタイプの胸部側は、脇を閉める力がないためベルトからすり落ちないように胴体にベルトを巻きつけるようになっていますが、まったく利用していません。



〈3〉1人
  リモコンを持たせてもらい、操作自体は自分でおこなっています。尿パックはベッド用と車いす用にと別々にあるため、移乗のときは毎回カテーテルをはずしておこなっています。



 〈4〉既製のものを利用する以前は、ベッドの周りに10センチ角の木材でやぐらを組み、家庭用電動リフトをホームセンターで購入し工夫をして利用していました。上下については家庭用電動リフトで、横へのスライドについてはコマと材木で工夫をし、利用方法はパートナーと同じでした。
 〈5〉ごく単純な利用ですので、バンドの引っかける位置や体の下ろす位置などを伝えるぐらいです。
 〈6〉リモコンを落とさないように紐(ひも)を手首に装着しています。その他、ベルトを引っかけたつもりでも再度確認はしてもらっています。また、もしもの時のために体の後方にいてもらっています。



 〈7〉リモコンを落としてしまい、ヒューズ(本体側)が飛ぶなどして修理に2万円からかかったことがあり、その後は落としたら2万円と唱えながら注意をしています。また、電源が入りの状態で落とすなど強い衝撃をあたえるとヒューズが飛ぶ可能性があるらしく、利用が済むとすぐに電源を切るようにしています。その他、ベルトを引っかけた後……他の用事をしているうちに引っかけた部分がゆるんではずれかかった状態となり、あがった瞬間にベルトがはずれてしまい、車いすの背もたれと介助者のおなかに落ちたことがありました。少しではなく、ある程度あがった状態で落ちていたら介助者のおなかでも支えきれずに後頭部から床に落ちていたかもしれません。

神奈川県:H.A.


C4

 〈1〉パラマウントベッド製・床走行式電動介護リフト「KQ−771」
 〈2〉パラマウントベッド製・スリングシート脚分離型「KQ−78」
  身体背面の頭から太ももまでの体を包み込むタイプ(頭部を自力で支えることができず、座位を自力で保持できない人に適用)
  ちなみに、2011年7月に〈1〉250000円+〈2〉35000円=285000円=公費負担159000円+自己負担126000円でした。
 〈3〉1人
 〈4〉施設にいた時は、介助者2人でのトランスファーだったのですが、在宅生活では介助者1人が前提だったので、リフトを導入しました。
 〈5〉初めは、移乗方法を知っている人(先輩)のやり方を見てもらい、次に、先輩の見守りの下に実際にやってもらい、その後、用意しているマニュアルで自己復習してもらい、1人介助時に私が助言しながらやってもらっています。あとは、慣れてもらうのみです。
  私は呼吸器を使っているのですが、最初は呼吸器をお腹に乗せて一緒にトランスファーしてもらっていたのですが、無理な力がかかることが多くて危ないということで、トランスファー前後にしっかり吸引してもらって、呼吸器なしで、呼吸を整えてからトランスファーしてもらうようになりました。肩呼吸での自力呼吸がある程度できるのでそれが可能になっています。もちろん調子の悪い時は、トランスファーを控えています。



 〈6〉焦らず、ゆっくり覚えてもらう。
 〈7〉車イスからの移乗時、シートごとすべり落ち、ヘルパーさん1人では戻すこともできず、訪問入浴のヘルパーさんたちが来るまで1時間ほど待っていることがありました。
  写真を添付しました。ウロバックをお腹に乗せています。口が開いているのは、肩呼吸をしてそれなりに苦しいからだと思います。

新潟県:T.H.



1982年受傷・C6レベル

〈1〉 天井走行式「パートナー」
〈2〉 本ベルトタイプ
〈3〉1名
〈4〉母が手動式だと大変だったため、20年ほど前に電動式に変更。停電時を考えると手動式の方が安心という点もある。(緊急時に引くと降下のみできる装置は付いている※写真:向かって右側の輪っかの部分)ベルトは必要不可欠な消耗品なのに自己負担、けっこう高額なので大変。



 〈5〉リフター使用未経験だと怖がる人が多いので、絶対に転落の心配はないと安心させる。お尻がはまりやすいように車いすを傾ける(キャスター上げ状態)ので、後ろに倒れるのではないかと不安がる。とにかく慣れてもらうしかない。
 〈6〉ベルトを左右対称の長さでセットすること(吊り上げ時にアンバランスになる)。ベルトをしっかり引っ掛けたかを確認すること。



 〈7〉意外とないのです……

神奈川県:S.K.


【自力】
 特集 側方45度からのアプローチ 


 初の投稿となります横須賀のSと申します。自分のレベルが分かりませんので、状態を含め簡単に自己紹介を。
 平成元年の初頭に自動車事故で5番を圧迫骨折の不全麻痺です。指は動きませんが腕は動きます。立つことはできませんが接触は分かり、ケイセイの利用もありますが、トランスファでは多少踏ん張ることができました。ですのでトランスファは「自力」。必要に応じて右でも左でも。簡単な距離であれば正面も問題ありませんでした。
 過去形で書いたのには訳があります。50を過ぎてからこれが怪しくなってきました。この1カ月など毎日のように失敗しています。ですので瀬出井さんから「トランスファ」について書くようにと言われて簡単に受けたはいいが、何を書いていいのかが分からぬ状態です。できていた時には何も考えていないのですよね。
 そこでこうじゃないか、ああじゃなかったかと頭で考えるわけですが、体力の低下もありこれを再現することができません。従って検証することができないのです。さて何を書くのがいいのだろうかとない頭を悩ませ、わしレベルでの「正しいトランスファと思われる注意点」を列挙させてもらいます。
 〈1〉常に空気圧に留意し、ブレーキを掛けている状態で動かぬように保つ
 〈2〉両手両足で一気に腰を上げる
 〈3〉足はつま先立ちとし、腰の位置を高位に保つ
 〈4〉上体は多少前傾とし、その反動で一気に回転する
 〈5〉車椅子を押しやらないよう、車椅子に添えた手にあまり体重を掛けない
 〈6〉無時着地できたら自分を誉める
 こんな感じでしょうか。そう間違ってはいない気もしますが、まだ体力のある方のご意見を是非お聞かせください。
 せっかくですから、失敗した時の対処に関しても少々書かせていただきます。わしの場合、尻が乗りきらずに滑り落ちるのが常です(車椅子〜ベッド・ベッド〜車椅子の両方とも)。そこで、落ちると思ったら是が非でも「ステップに尻もち」をつくよう努めています。これが成功したら半分は生還できます。
 〈1〉両足をそろえ、股をしっかりと閉じ、両のつま先をできるだけステップに近付ける
 〈2〉両手を後ろに回して車椅子のパイプ(乗車時に太ももの外に当たる部分)に乗せる
 〈3〉暖房が付いていたら消す(体温の上昇を防ぐ)
 〈4〉力の溜まったところで一気に踏ん張る
 では床に落ちてしまったら。
 〈1〉車椅子を固定できる壁際まで移動させる
 〈2〉車椅子を背に、体育座りで体力を貯め込む
 〈3〉一度前屈のようにして腰を前に曲げておく
 〈4〉パイプの隙間(すきま)から両手をステップに入れて両手両足で踏ん張り尻をステップに乗せる
 あとは「ステップに尻もち」と同じです。しかしこれが難しい。たいていは床で寝ることとなります。こんなところでしょうか。参考になる方があれば幸いです。

神奈川県:鈴木@横須賀


【介助者による】

 特集 C6レベル・介助者1人 


 先にベッド周りで工夫している点ですが、当然ながら車いすの座面とベッドマットの高さは同じ位置。ホームセンターで買ってきたスペーサー(板のようなもの)を2枚、4カ所(ベッドの足)に設置。マット自体も隙間(すきま)を埋めるために、なるべく手前へ。車いす自体もフットレストがベッドの内側に入れるタイプ。ベッド柵については以前に顔がぶつかって痛かった経験があり、水道管を巻くビニールを購入、その上に包帯を巻いています。汚れたら洗うも良し、交換するも良し。他にベッドの上にはコールボタン。壁にはプレゼントされた龍の額縁、縁起が良いようです。
 まずヘルパーには腰痛防止のために、屈伸運動も2、3回してもらいます。以前、ベテランのヘルパーが次の動作をするときによく行いました。また、ベッドで体位交換するときには、片膝を必ずベッドに上げてもらいます。後はお互いの声かけです。慣れてくると適当になりがちですが、タイミングが合わないと怪我のもと。
 初めに足首を持ってもらいます。これも以前ですが、バランスを崩して車いすごと転倒した経験がありました。そのときは後頭部を打ってしまいました。よって持つ場所を足首に変えて、転倒防止としています。また、車いすがベッドに着くまで間に、ヘルパーの足が邪魔にならないように気をつけてもらっています。

 

 




 写真〈3〉のような状態になれば、もう安心。あとはヘルパーに私の足を挟んでもらい、手首を握って上半身を振る。ベッドに体が乗っかり、無事にマットへ到着。あとは腰を持ってもらい、身体の上下を調整して完了。所要時間は5分から10分です。ただし、独特の方法なので慣れてもらうまでは、時間がかかってしまう。こちらも任せるのに不安がある。別の方法で行っていたのですが、形が崩れてこの方法になりました。
 ちなみにベッドから車いすは、上半身を起こしてもらい、お尻を移動。前屈姿勢になり、太股の付け根を持ち上げて車いすへ。時間はかかりますが確実にできます。どこの世界でも同じですが「安全第一」です。
 

神奈川県:F.H.



 特集 トランスファーリフトを利用した体重測定法 

56歳、C4、頸損歴20年目、人工呼吸器、電動車イス使用

 今回は、移乗(トランスファー)特集ということであり、いい機会なので、これを利用した体重測定法を紹介させていただきます。
 私は、以前から、体重は健康の指標として重要なものと考えていました。施設で生活していた時は、毎月1回、車イスのまま載って計る体重計で測定してもらっていました。体重が増えれば、無意識に食べるものを制限して一定の値をキープしていたようです。
 しかし、施設を出て、地域移行してからは、測定方法がなくて困っていました。体重測定のためだけに施設を一時利用させてもらおうと依頼したこともありましたが、重度訪問介護利用者は施設利用できないと断られました。
 そんな時、出席した2011年のはがき通信懇親会in横浜で、Fさんが体重計を4つ置いて車イスの4輪に重さを分散させて体重を測定しているということを伺いました。重さを分散させればいいということで、家に帰ってから、インターネットでバネばかりを検索し、耐重量40kgという釣った魚の重量測定用のものを2個購入しました。測定法は添付写真の通りです。トランスファーリフトと吊り具シート間にオレンジ色のバネばかりを挿んでいます。体重は、リフトで身体が空中に浮かんだ時の2つのバネばかりの表示値を足し算するだけです。バネばかりは、1個1000円くらいだったと記憶しています。



 注意すべき点は、吊り具シートがバネばかりから外れないようにすることと、外れても大事に至らないようにベッド上で身体を浮かせることです。
 安価で、安易に、体重測定できることがメリットです。ただ、精度は要求せず、月毎の変動値をモニターするぐらいに考えただけでも、健康のバロメータになると思っています。ただ正直に申し上げれば、地域移行してから体重がだんだん増えていくのを看過し、この体重測定法を活用できていません。しかしそれは、食べるものが美味しく制限がないからという別の問題であることを申し添えておきます。
 (2013年1月12日記)
 

新潟県:T.H.



 特集 「パートナー」で新聞を読む 

C5損傷26年、64歳

 天井走行式「パートナー」を使って、新聞を読んでいる。新聞は頸損にとっては扱いにくい媒体だ。大きすぎて自力でめくるには骨が折れる。ひとりで読めるいい方法があったらどなたか教えてほしい。


 読んでいるといっても、日曜の書評欄裏表2ページだけだ。ページの上をクリップではさみ「パートナー」のハンガーにぶら下げる。高さ調節は自由自在。ベッドを起こして新聞に照明を当てる(写真撮影の関係で照明は上に向けている)。1ページ読み終わったら、かろうじて動く手を使って新聞を回転させる。
 リモコンがぶら下がったままだと新聞に引っかかってページが裏返せない。リモコンコードの付け根にS字フックをつけて、そこにからめておく。

東京都:F川

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