はがき通信ホームページへもどる No.130 2011.8.25.
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 特集 多くのスポーツを体験して 

50歳、C6−7、受傷歴23年

 「はがき通信」の皆さん初めてお便りします。
 まずは私の自己紹介をさせていただきます。大分県大分市在住のS.S.と言います。23年前に交通事故(仮眠中に後ろから居眠りの11t車が衝突)により頸椎(C6−7)を損傷して車イスで生活しています。当時はリハビリのことを深く真剣に考え、1年間で4か所病院やリハビリ施設を変えて集中的に取り組みました。
 数多くのリハビリの中でスポーツを通してのリハビリをかなりやったことを思い出します。(その後、5年間リハビリ施設)そのような記事を書いてみたいと思います。
 書かせていただく前に3月11日の東日本の大震災で亡くなられた方々、行方不明の方々、この場をお借りしまして慎んでお悔やみ申し上げます。また、被災された皆様に対して、お見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興を願っています。
 さて、このたび編集部より原稿依頼を受けて、障がいが重度の四肢マヒ者でもできるスポーツを書いてみたいと思います。
 数多くあるスポーツのなかで、私自身が実際にやってきたスポーツを中心に体験談も加えながら書いてみます。
 今までに体験してきたスポーツを紹介します。

 [今までに体験してきたスポーツ]
 陸上(60m・100m)、スラローム ◎○
 バスケットボール(ツイン)   ◎○
 テニス(硬式)          ○
 アーチェリー          ○
 ウィルチェアーラグビー    ◎○
 バドミントン          ◎
 卓球              ◎
 グラウンドゴルフ        ◎
 ボウリング          ◎○
 マラソン(ハーフ・21.097km) ◎○
 [少しだけ体験したスポーツ]
 風船バレー          ◎○
 ボッチャー          ◎○
 水泳              ○
 卓球バレー          ◎○
 電動車いすサッカー      ◎○
 フライングディスク      ◎○
 ビーンズバック投げ      ◎○
 ジムカーナ          ◎○
 [やってみたいスポーツ]
 スキューバーダイビング     ◎
 モーターパラグライダー
 カーリング           ◎
 カヌー             ◎
 アイスホッケー
 ヒリヤード           ◎

 以上、私が体験してきたスポーツや将来やってみたいスポーツを記載してみました。
 ◎をつけているスポーツは、頸髄損傷者で言うと、C5−6の方でも可能な範囲の四肢マヒ障がい者でも可能なスポーツです。ただ、C5から上の高度な四肢マヒ障がい者(最重度の方々)に関しては、厳しいものがあります。なかには、C4でも必死にやっている方もいました。あくまでも完全マヒの方を対象に記載しています。高度でも不完全マヒによる障がいの方々は、例外です。
 ○のスポーツは、クラス分けがあったり、団体スポーツは、ハンディキャップがあり、同じ四肢マヒの障がい者でも残存機能により、クラスや持ち点で分けられていて平等にスポーツが楽しむことができるように上手くルールができています。ツインバスケットボールやウィルチェアーラグビーのようなスポーツは、同じ頸椎損傷した方でも残存機能によって動きや役割が大きく違ってきます。軽い方はオフェンス専門にやり、重たい方はディフェンス専門にやり、中間の方は両方の働きをします。軽い方は持ち点が高くなり、重度の方は持ち点が低く、メディカルで設定されています。バスケットだと5人で競技し、ラグビーだと4人で競技し、どちらも1チームにおける持ち点の限度が決まっていて、その枠の範囲でチーム編成して競技しています。同じ四肢マヒの障がい者でもクラス分けや持ち点制によって平等に競技できるようにルールができています。
 時代の流れとともに少しずつですが、重度の障がい者もスポーツを楽しむことができるようになったことは、嬉しく思います。ルールを変えて形を変えて一人でも多くの重度障がい者がスポーツできるようになったらどんなに凄い効果がたくさん生まれるでしょう。
・健康維持(リハビリの一環)と体力増進
・ストレス発散
・友達づくり
・社会参加
・生き甲斐
・目標や夢
・就職
・恋愛や結婚
・その他
 視野が広まり、仲間ができることによって情報交換もできる。肉体的にも精神的にも強くなれることでしょう。自分自身、スポーツ競技を継続しながら今は、障がい者スポーツ指導員の資格を取得して、障がい児や後輩たちに指導しながら普及活動にも励んでいます。重度の障がい者や障がい児がスポーツすること自体、とっても大変なことですが、ともにできる仲間やサポートしてくれる方を見つけて、これをきっかけに貴方もぜひやってみてはいかがですか?
 最後にそれぞれのスポーツに関して補足説明したいと思います。

 [陸上]60m走は(日常使用している)車イスで、それ以上はレーサー(競技用専用車イス)で皆さん走っています。スラロームは、手動・電動ともにコースは同じです。以前は110mありましたが、今は30mです。

 [バスケットボール]1チーム5人でやります。上と下にゴールがあり、軽い方は上にシュートして、重たい方は下の円内で、やや重たい方は下の円外シュートです。残存機能によって持ち点が違います。1チーム持ち点の限度があり、超えないようにチーム編成して戦っている。重度の方が有利なルールとなっている。バスケット専用の車イス使用。

 [テニス]ラケットをテーピングして固定している。固定したままで走行する。ボールは、ツーバウンドで打つ。テニス専用の車イス使用。

 [アーチェリー]弓と打つ手に装具を付着する。作業療法士か装具屋さんにお願いして自分専用に作らないと厳しい。弓を引くのにかなりの力がいる。C6が限度かな?

[ウィルチェアーラグビー]ラグビー専用の車イスを使用する。オフェンス用とディフェンス用で車イスが変わる。1チーム4人でやり、カナダで発案され、シドニーパラリンピックから正式種目になる。体育館内で競技し、ルールは、ラグビー・バレーボール・バスケットボール・アイスホッケーの各ルールが取り入れられ、ボールは、バレーボールを使用して競技する。

 [バドミントン]テーピングでラケットを固定して行う。

 [卓球]テーピングや伸縮包帯でラケットを固定して行う。

 [グラウンドゴルフ]テーピングでスティックを固定して行う。

 [ボウリング]握力ある方は、普通に行う。私は、握力0だから専用台にボールを置いてもらい、計算しながらボールを転がす。直進用とカーブ用2種類を使用する。

 [マラソン]レーサー(競技用専用車イス)を使用して行う。車イスもクラス分けも作りが大きく変わってくる。大半の方は、ハーフ(21.097km)だが、中にはフルに挑戦している方もいる。自分との闘いであって上り坂は、かなり大変で過酷な競技。手には、ボクシングのグローブのような手袋して車イスを漕ぐから辛いものがある。沿道の声援は、かなりありがたいものがある。5kmおきに関門があってタイムをするとその時点で収容される。ルールは、超軽い障がい者と同じだから重度障がい者にとっては、狭き門である。競技人口は、少ない。毎年、大分市で開催される大分国際車いすマラソン大会は、世界で一番大きな大会である。完走した時は、感無量である。

 他にも数多くのスポーツをあげてみましたが、興味がある方は、ぜひインターネットで検索して、ご自身にあったものがあれば、大いにチャレンジしてみてください。スポーツを通して何かが変わることでしょう。
 もっと、詳しいことが知りたい方は、いつかお会いできた時にお話ししたいと思います。継続は、力なり。スポーツに限らず何事に対してもチャレンジ精神を忘れないことは大切かなと思います。失礼します。
 以 上

大分県:S.S.


 特集 電動車椅子サッカーの競技概要と競技用具 

40歳、C5−6、受傷歴17年

 電動車椅子サッカーについて以前に2回投稿させていただきましたが、今回は競技概要や競技用具などについてご紹介させていただきます。
 [自己紹介]
 1971年生まれの40歳。受傷の3年後から東京都府中市で一人暮らしを始め14年が経ちます。趣味は電動車椅子サッカー、サッカー観戦、ゲーム、パソコン関係(自作など)で、好きなサッカーチームはFCバルセロナとFC東京です。



 電動車椅子サッカーでは、国際電動車椅子サッカー連盟(FIPFA)・アジアゾーン会長、日本電動車椅子サッカー協会(JPFA)・会長などの役職についており、電動車椅子サッカーをライフワークとしています。




 [電動車椅子サッカーの競技概要]
(1)コート:電動車椅子サッカーは屋内競技で、体育館のバスケットコートを利用して競技を行います。以下がコート図(競技規則より抜粋)となり、通常のサッカーコートを縮小したような配置になっています。電動車椅子サッカーではゴールエリアとペナルティーエリアは同じエリアとなります。ゴールはポストを両端に2本ずつ立て、その間をボールが通過するとゴールとなります。
(2)選手の資格・人数:電動車椅子サッカーの選手の資格は競技規則上5歳以上と決まっており、男女混同でプレーすることができます。1チームは4名で試合を行い、3名はフィールドプレーヤーとなり、1名がゴールキーパーとなります。ゴールキーパーは他の選手と区別するためユニフォームの上にビブス(ベスト状のもの)を着用します。選手の交代はフットサルやバスケットボールのように何回でも交代することができ、ベンチに入った選手もまた交代してコートに入ることができます。
(3)時間:前半20分、後半20分の合計40分で行います。同点の場合は延長戦を5分ハーフで行い、それでも同点の場合にはPK戦になります。PK戦はゴールラインより3.5m離れたポイントからゴールキーパーの守るゴールへ向けてキックします。


●コート図(写真上)とフットガード、ボール、ゴールポスト(試作品)


 [電動車椅子サッカーの競技用具]
(1)電動車いす:4輪以上の電動車いすが使用できます。3or4輪の電動スクーターやそれに類似するものや、簡易式電動車いすは安全性の面から使用できません。スピードは競技規則上10km/h以下とし国際的な大会やそれに準じた国内大会ではそのスピードで行われます。国内の大会では基本的に6km/h以下と日本独自に設定して試合を行っています。スピードチェックは試合前に審判員によって計測されます。
(2)フットガード:フットガードはボールをキックするためや足を保護するために電動車いすの前部に取り付けられます。このフットガードは電動車いす改造業者や鉄工所などへ各自が自身の電動車いすに合わせて製作します。また、インバーケア社製(ドイツ)・Storm3コンペティションという電動車いすはフットガードが付属品となって販売されています。
 フットガードについては詳細な条件がありますので、以下のJPFAウェブサイトよりご確認ください。
 ●電動車椅子サッカーとは?(パワーチェアーフットボール公式競技規則2009・http://www.web-jpfa.jp/soccer/
 (3)ボール:ボールの大きさは32.5cm(13インチ)で、電動車椅子サッカー専用のサッカーボールを使用します。材質は通常のサッカーボールと同様に人工皮革製です。日本ではJPFA公式球としてモルテン社より販売されております。品名はヴァンタッジオ電動車椅子サッカー(品番:VG777)で価格は12,600円となっています。
(4)ゴールポスト:公式競技規則ではゴールポストについて記載されていますが、日本国内では正式なゴールポストを現在製作中で、代用品として三角パイロン(工事現場など赤い三角形のもの)を使用しています。写真は現在製作中のゴールポストの試作品になり、今後JPFAから販売する予定です。
 [最後に]
 第2回FIPFAワールドカップが11月2日より6日までフランス・パリで開催されます。2007年に東京で開催されましたW杯では4位と不本意な成績でしたが、今回はその雪辱をはたすべく優勝を目標に練習を重ねています。日本代表チームの活躍にご期待ください。

 [ウェブサイトのご紹介]
 日本電動車椅子サッカー協会ウェブサイト
 http://www.web-jpfa.jp/
 電動車椅子サッカー応援ツイッター
 http://twitter.com/#!/JPFA_P_football 

東京都:H.T.


 特集 障害者でも檜舞台に立って、スポットライトをあびましょう!〈前編〉 


 日本国は経済力では世界的に先進国ですが、文化やスポーツに対する国の後押しは少なく、他の先進国には遅れており、この点では後進国のようでした。しかし、近年はそのほうにもやっと力が入りはじめて、少しずつ予算を付けてくれるようになり、最近では身体障害者のスポーツも活発になって来ており、スポーツ人口も増えて来ています。
 その名だたるものは、まず車いすマラソン、その後には車いすテニスと続き、以降車いすバスケットボールなどがあります。私が知る限りの身体障害者スポーツ(主に車いす者スポーツ)ではこの他に、卓球、アーチェリー、スキーがときどきニュースで報道されているのを見ます。
 こんなに多い身体障害者スポーツの中で、私は車いすダンスをしていますので、そのことについてお話しいたします。
 車いすダンスはイギリスで約60年前に始まったそうです。当時は車イス者どうしで踊っていました。しかし、車イスで生活している方はわかると思います。車イスどうしが押して相手を回してやろうとしても自分にも反発して相手も自分も回ります。このような状態なのできれいな踊りができなかったのを、それから約10年後(今から約50年前)にドイツの方が考えた方法で、車イスと健常者が組んで踊るのが理想的となり、この方法が現在にいたっています。


●1995年1月16日 車いすダンスをはじめた頃


 日本では約20年前に、東京で社交ダンスをされていた四本信子(よつもとのぶこ)先生が、当時世界選手権の社交ダンス等を見て回っていたときに、ヨーロッパで車いすダンスが積極的になされていることを知り、勉強されて日本に持って帰られ日本でも始まりました。その3年後に福岡県大野城市を中心に社交ダンスを指導されていた新原かおる先生から私に「一緒に車いすダンスを始めませんか」と声を掛けられて始めるようになったのです。新原先生はその前年に東京で車いすダンスを四本先生から指導を受け習得したそうです。
 私は中途障害者です。20年前に交通事故で車イス生活になりました。44歳でした。事故から3年経ったころ、私も何かスポーツをしたいな〜とは思っていたときに、当時、車イス者が中心になって文集を出していた『えにしの会』の会合に、「大野城社会福祉協議会から、この会があるのを聞いて来ました」と新原さんが他の2人と来られて、車いすダンスを勧められたのです。「えにしの会」会員3人が即入会しました。その中の1人が私です。


●2008年9月5日 津屋崎小4年生福祉授業/2010年12月19日デイサービス・クリスマス会


 私は20歳のころ少しだけ社交ダンスを習ったことがありました。車いすダンスは健常者が社交ダンスを習うのとは違い、車イス者にとっては簡単に覚えることができました。それは、ほぼリードをされっぱなしで良いからです。社交ダンスでは男性が原則としてリードをしますが、パートナーの女性はそれを察知して素早く行動を取らないときれいに優雅には踊れません。これに比べて、車いすダンスは健常者(スタンディングパートナー)が男性役で、車イス者(ウイールチェアードライバー)が女性役をします。だからリード役が男性とは限りません。車いすダンスでは健常者の女性がリードする例も多いのです。車いすダンスのリード役は本当に大変です。自分も体勢を取りながら力を入れて相手(ウイールチェアー)をリードしなければなりません。普通の社交ダンスを習得してリードを常にしている人も車いすダンスでは必要以上に力を使うのです。そう言いながらも、慣れてくると技とタイミングで車イス者を軽くリードできるようになります。もちろん車イス自体も軽く動きやすいものを使います。普通の生活している車イスでもできますが、できるならダンス専用の車イスがあったらお互いがスムーズに踊れます。  車いすダンスを始めたころは、珍しくもあり福祉関係のダンスということで各地の行事に引っ張りだこでした。車いすダンスでもほぼ社交ダンスと同じ種類ができます。初めはマンボ、ジルバ、ワルツ、ルンバを基本として練習します。その後、タンゴやチャチャチャ、サンバとレパートリーも増えます。いろいろを組み合わせて、フォーメーションダンスとして踊ることもあります。1組でも2組でも何組でもそれぞれの舞台に合わせて何組かのパートナーで編成します。舞台に上がるときはもちろん衣装は着飾ります。女性はメーキャップをしてドレスなどを着ます。男性もタキシードや蝶ネクタイ、またはラメ入りの派手な服などを着ます。初めのころは緊張してのどがカラカラになりますが慣れて来ると快感となり「生きてる〜〜!」とスポットライトの心地よさを感じてきます。


●2010年12月19日 デイサービス・クリスマス会出演

 失敗もありました、クリスマスパーティーで初めての人と踊っていたとき、相手の人が私を回そうと頭の上に組んでいた手を後ろに引いたので、車イスの私はバランスを後ろに取られスッテンコロリンと後ろに倒れてしまいました。怪我はありませんでしたが恥ずかしさは残りました。(後編へ続く)
 

福岡県:I.M.
 西日本車椅子ダンスの会「アミーゴス」 福津サークル会長

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