はがき通信ホームページへもどる No.114 2008.11.25.
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 <特集> 第13回はがき通信懇親会in京都に参加して
  −向坊さんの遺業協力のお願い−
 


 今年、私は和歌山から新大阪を経て外房に戻る予定を京都に途中下車すればよいので、早々に参加申し込みしていました。ところが19日当日、大型台風が紀伊半島直撃かということでやきもきしていましたが、幸いなことに当日、台風は温帯低気圧となり、3時過ぎ大学を出る時には雲の切れ目が出ていました。懇親会にも十分間に合い、久しぶり、といっても大半は今年6月上旬、大阪で開催された全国けい損連絡会総会でお会いしていました。



 その中で2年ぶりの再会は太田美代子さんでした。しかも今回は故向坊さんの両腕、やじさん、きたさんの片方である遠藤さんと再会できたのもとても嬉しいことでした。遠藤さんとは向坊さんの葬儀以来で、東京へ向かう途中、1泊の予定で懇親会に参加して下さったとのことでした。さらに来日中のネパール・カトマンズ本願寺責任者のソナム氏、インドの若い留学生も参加、皆さん、故向坊さんの遺業後継の方々です。



 はがき通信懇親会の楽しみは、けい損当事者との交流のみでなく、同伴介助者との交流にもあります。皆さん、スーパヘルパーです。この方々の参加なしには懇親会の開催は難しいのに、常連の方々を含め皆さん黒衣に徹しています。当事者間はそれでいいのかもしれませんが、太田さんの役割の大きさを思うにつけ、検討の余地があるような気がしています(例えば、懇親会で自己紹介していただくなど)。
 向坊さん亡きあと、太田さんとも遠藤さんとも葬儀でお別れかなと寂しい想いをしたことがありました。幸いなことに太田さんは向坊さん亡きあとも連続して参加して下さり、交流を深めることができ、向坊さんがあの重度障害の身体であれだけエネルギュッシュな活動を可能にした太田さんの役割について、今回多少聞き出すこともできました。
 とりわけ向坊さんのインド100日旅の成功は、同行された太田さんからその秘訣をぜひとも伺いたいことの一つでした。インドはたいへん魅力的な国ですが、健康に自信のある人でもトラブルに見舞われがちです。私も10数年前、2週間インド・ネパールを旅した時は高級ホテル(比較的)での歯磨きでさえ、ミネラル水を使い、トラブル回避に努めたほどです。太田さんもお寺さんから「向坊さんのようなお荷物を抱えてよくインド100日旅ができましたね」とよく言われるとのこと。「向坊さんは自分にとって“お荷物”ではない。最も信頼できる人であり、自分が窮地に陥れば必ず助けに来てくれるという確信が常にある。向坊さんと自分は通常の人間関係を超えた信頼関係であり、大きな世界での繋がり」だと太田さんは言われます。
 確かに、お二人は浄土真宗の師弟関係でもあったわけですが、けい損という重度障害と高度な健康管理が必要な人の命を預かる、預けられる関係でもありました。太田さんは現在、向坊さんの遺言で設立されたNGOグリーンライフ研究所の代表者であり、向坊さんの遺志をできるかぎり継いでいきたいと活動されています。しかし広告塔であった向坊さん亡きあと、その運営は財政的に非常に厳しいとのこと。その財政難のなか、はがき通信懇親会に毎年参加され、しかも寄付までされていかれては、はがき通信の顧問たる私として黙認できません。太田さんからその活動内容を郵送していただきました。

◇NGOグリーンライフ研究所の社会福祉活動
・カトマンズ本願寺の運営サポート並びに参詣者の問い合わせ窓口
・ネパール離村の小学校建設と運営
・現地学生対象に日本語教室
・無料検診、献血、古着配布など社会福祉、奉仕活動
・車いすの配布
[会員]
 正会員:運営に参加 入会金1,000円、年会費3,000円
 賛助会員:オブザーバとして運営参加 年会費 1,000円のみ
[所在地]
 住所:〒808-0123 北九州市若松区有毛3106(旧向坊宅)
 NGOグリーンライフ研究所  ホームアドレス http://glij.shokakuji.or.jp/
[ゆうちょ銀行口座]
 口座番号 01780−4−96738
 口座名義 NGOグリーンライフ研究所

 故向坊さんの遺業継続に共感して下さる方、可能であれば、賛助会員なり、寄付なりのご協力をお願いいたします。 
 

編集顧問:松井 和子



 <特集> 京都観光3時間コース(平安神宮、南禅寺、清水寺) 

52歳、C4、頸損歴24年、男

 移動には、都タクシーのリフト車両(ハイエース)を使いました。
 西本願寺聞法会館を9:30に出発し、平安神宮・南禅寺・清水寺を回り、京都駅に12:30到着という全3時間の行程です。料金は15,000円でした。
 平安神宮は、朱色に塗られた大鳥居と応天門が印象的でした。明治時代に創建されたもので、調和のとれた建物は美しいものの歴史は感じられません。広い境内はバリアフリーになっていますが、砂利が敷き詰めてあるため手動の車イスでは動き難いでしょう。自然豊かな日本庭園が車イスでは見学できないのが残念です。
 南禅寺は、平安神宮から車で10分ほどの所にあり、歴史ある建物と緑豊かな木々との調和がとれた素晴らしい所です。「紅葉の時期はもっと素晴らしいですよ」と運転手さんが教えてくれました。また、お寺の境内にある水路閣というレンガで造られたアーチ橋も名物になっています。「京都サスペンスなどのロケによく使われる」と団体客のガイドさんの話を盗み聞きしました。水路閣とは、明治時代の疎水事業で作られた水路橋で、琵琶湖から引かれた水が滔々(とうとう)と流れています。そのせいか空気もヒンヤリとしてとっても居心地の良い所です。ここでも石庭や狩野派の襖絵(ふすまえ)が、車イスで見学できません。う〜ん残念!



●石川五右衛門の「絶景かな、絶景かな」で有名な重要文化財の南禅寺・三門(京都三大門の1つ)の前で


 清水寺は、タクシーの運転手さんが、電話で許可を取ってくれたので、本殿の近くまで車で行くことができました。さすがに世界遺産、修学旅行生や中国人観光客でごった返していました。ここに来るのは学生以来ですが、有名な清水の舞台は思ったより小さく、そして崖側に向かってかなり傾斜していました。そのせいか、ここに車イスは入れません。舞台を横目で見ながら人の流れにそって移動したのですが、観光客が多いやらスロープや山道がデコボコして少々難儀でした。山道をクリアしてやれやれと思ったのも束の間、ちょうど舞台下の手洗い場の5段階段で立ち往生してしまいました。なんとスロープがないのです。困っていると、おみくじ売場のおばちゃんが出てきて、一般の観光客に声をかけてくれました。アッというまに4人の男性が集まって抱えてくれました。「ありがたや〜ありがたや〜!」と思っていると、「あなた、きっとご利益があるわよ」という女性の声が聞こえてきました。「オイオイ! ワシは仏さんかい!」
 このたびは、短時間で効率よく見学するためにタクシーを利用しましたが、車中から二条城・京都御所・比叡山・八坂神社・五条大橋も見られて満足の3時間でした。

 PS:今年の11月に廃止される0系新幹線(福山−東広島)にも乗ることができました。ちなみに、京都−福山間は700系の新型新幹線で、オープン席に車イスを付けても車内販売車が余裕で通り抜けられました。また、多目的ルームは出入口が斜めに付いていて入り易いようになっています。

広島県:Y.O.



 <特集> 今年は琵琶湖に行きました 


 昨年は奈良・東大寺に行きましたが、今年は琵琶湖に行きました。琵琶湖というと「隣の滋賀県? 遠いよ!」と思いがちですが、京都市営地下鉄が京阪京津線に乗り入れ、乗り換えずに行くことができます。初めは地下を走り、地上に出て、終点直前には路面電車になる珍しい電車です。琵琶湖まで約40分。今回の目的は琵琶湖の遊覧船「ミシガン」に乗船すること。船内にエレベーターがあり電動車イスでも乗れると聞いていたので以前から機会があったら行ってみようと思っていました。船内は4階の作りになっていてレストランやカフェ、ステージなどがあって、かなり大きな船(全長59m)です。



 90分のクルージングでしたが、前日からの台風の影響もなく、晴天での乗船となりました。かなりの距離を移動した感じでしたがパンフレットを見ると琵琶湖の10分の1も行っていなくて琵琶湖の大きさを実感したクルージングでもありました。



 その後は京都市内に戻り、東山からノンステップバスに乗り、祇園、河原町、二条城と京都市内を縦断する形で移動し金閣寺を見学後、聞法会館へ戻りました。
 私自身、障害をもって初めての遠方への旅行が京都でした。リクライニングの手動車イスを押してもらいいくつかの寺院を観光しましたが、すべてリフトタクシーを使っての移動でした。20年以上が経った今、完全ではありませんが地下鉄やバスで移動でき、インターネットでエレベーターなどの設備等を予め調べておくことも出来ます。今年は京都駅と聞法会館の往復にもノンステップバスを使い、公共交通を有効に使った京都の旅でもありました。
 来年3月には全国頸髄損傷者連絡会・日本リハビリテーション工学協会による合同シンポジウムがあります。今回は「外に出ようや! 様々なバリアを乗越えて外に出るための工夫」で、まさに重度障害者の外出やそれにまつわる支援がテーマです。ぜひ、今から準備を始めて今度は神戸で皆さんとお会い出来ることを願っています。

広報委員:麸澤 孝



 <特集> 2年続けて福祉車両のレンタカーで観光 


 自由行動での観光は、昨年に続き(108号に詳述)トヨタレンタリース京都でレンタカーのラクティスのスロープカーを12時間借りて、世界文化遺産の平等院、宇治上神社、醍醐寺(だいごじ)を軸に計画を立て、平等院、宇治上神社、源氏物語ミュージアム、萬福寺(まんぷくじ)、醍醐寺、勧修寺、伏見桃山城、伏見稲荷大社と京都駅より南を回ってきました。その観光でのことを書きたいと思います。
 9時に聞法会館を出てレンタカーで9時半に出発して、約40分かかり宇治市の平等院に到着。『車イスでまわれる京都観光ガイド』のとおり正門の車止めを下ろして進入した横に身障者用駐車場が3台分あり駐車しました。中学の修学旅行以来の鳳凰堂は、平安時代に極楽浄土を具現化するとこのようになるのかと千年前に思いをはせながら池越しに参拝しました。鳳凰堂より奥へ進むと2001年に開館したバリアフリーの鳳翔館(博物館)があり、鳳凰堂の屋根に飾られてある本物の鳳凰や宝物が展示されていました。
 次に宇治橋を渡り、徒歩でも平等院から約15分のところに宇治上神社があります。入口は階段で申し出ると左側の通用門を開けてもらい境内に入りました。現存する神社建築では最古の本殿(国宝)へは写真を撮影したところまでしか行けませんでした。



 印象に残ったのは萬福寺で、中国から禅僧を招いて開かれたお寺だそうで、お堂の形や回廊や卍がくずれたようなデザインの手すり等が中国風で日本のお寺と何か景観が違い、カンフー映画で見たことのあるような佇まいでした。スロープが付いていてほとんどのところを回れ参拝できす。



 電動車イスで厳しいのは大伽藍(だいがらん)の醍醐寺で、見所の一つの「三宝院」は建物に上がらないと庭園など見られず、五重塔も仁王門は7段の階段があり境内に入れずに、横に回って塀越しにしか見られませんでした。ガイドブック情報によると春秋のシーズン以外はどこかの扉が開き入れるそうですが、それがどこなのか分かりませんでした。
 伏見桃山城は、天守閣のみで階段があり天守閣の中に上がれずに、それに観光地としては観光客はおらずに地域のウォーキングや犬の散歩の人ばかりで寂しい感じ。後でネットで調べるとキャッスルランドとしては閉園し、市営の伏見桃山城運動公園となっているそうで納得。次に勧修寺で、すばらしい庭園を観賞したところで17時になり、最後は参拝時間が自由な伏見稲荷大社を参拝して、食事のため京都駅へ向かいました。
 レンタカーでの料金は、ラクティス・12時間(6000円)+免責補償料(1050円)−JAF会員割引(−600円)=6450円と、返却前にガソリン満タンして約1800円(1リッター182円)でした。
 あと観光に出かけたみんなが暑さでバテたといわれていますが、私は暑さにかなり弱くすぐに熱が籠(こ)もるのに、バテなかったのは何故だろうと考えると、移動中は冷房をガンガンに効かせていたことで、クールダウンできたのが大きかったのではないかと思います。

 

編集委員:藤田 忠



 「まるで魚類だね!」水中リハにて 

C4

 8月に神奈リハで行われた在宅リハビリサポートの会「レッツ」の研修会「水中リハ」に参加させていただきました。
 プールに入るのは頸損になって初めてで多少の緊張はありましたが、PT、OTの先生方の優しいご指導や介助者の皆さんのサポートのおかげで恐怖心はなくとても楽しくて有意義な時間を過ごさせていただきました。プールの中は温水で気持ち良くて(先生方、介助者の皆さんは暑くてのぼせていたと思います)、湯船に浸かっているような心地良い気持ちでリハを体感することができました。1人、1人泳いだときの僕の姿は、泳いでいるというか藻掻(もが)いて溺れているような格好だったと思います。それでも首と肩を使って何とか前に進めたときは感動でした。ゴーグルとシュノーケルを使って息継ぎをしながらプールの底を見たり(鼻に水が入ってすごく痛かったけど)、うつ伏せになっての息止めは1分15秒近く止めることができました。
 とても貴重な経験をさせていただきました。あと、つい笑ってしまったことは僕の藻掻いている姿を見てOTのT先生が「すごいね! まるで魚類だね! でも横でクネクネ泳いでいたら爬虫類だけど、縦だからドルフィン、ホ乳類だから人間だな!」って言ってくれたことがおかしくてたまりませんでした。でもよかったです、人間で(笑)。先生方、レッツの会の皆さん、介助者の皆さんお疲れさまでした。

 

千葉県:T.T.

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