は が き 通 信 | Number.17 |
POST CARD CORRESPONDENCE | 1992.9.25 |
お変わりありませんか。尿路型の3ヶ所の手術の件で、術後4ヶ月の報告をします。
排尿は碓かに楽になりました。3百ccくらい尿がたまったら腹をふくらませるだけで排尿が始まります。抑圧によって尿を全部出しておけばたれ流しはしばらくはありません。以前は入浴後や夏の暑い牛後には体があたたまって排尿がストップしていましたが、それもなくなりました。座位では以前と同様排尿困難です。しかし体を少しうしろに傾けるとふつう通り排尿できます。寿命が何年か延びたような気持ちです。
向坊
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日本料理、母の手料理を腹いっぱい食べ異国生活の疲れを癒し九月の中旬に、出発する準備に追われる毎日です。
向こうの生活にも慣れて釆たので、気を抜かずに楽しい生活ができるように頑張る積もりです。
八月十五日 T
住所:Lucena City,PHILIPPINS(情報交換誌「はがき通信」に詳しい住所が載っています)
先日、私の大学の先輩が、七沢リハビリテーションセンターから今度、横浜リハビリテーションの隣に新しくできる障害者スポーツ文化センター(横浜ラボール)に移られると連絡がありましたので、7月28日に見学をかねて会いに行きました。 横浜ラボールは、殆ど出来上がり機械類を納めているところでした。施設は3階建てで全館冷暖房、1階入□に入ると天井までの突き抜けのロビー、シアターホール、広々とした体育館(床暖房)、筋カアップのマシン室、6コース25メートルプール、2階は、音声・点字の表示で知らせる全自動のボーリング場、レストラン、各合議室、コンピューター室、3階は、1階のプールが見学できるようになっていました。 施設は素晴らしく使いやすくできているのですが、ただ、どう見ても素人が設計して作ったような、障害者には、使いずらそうなプールでした。更衣室からプールに入る入□が手前側でなく反対のほうについているので、遠回りしなければなりません。また、入□が階段になっていて、上がり下がるようになり、これでは障害者や介助の人が大変だと思いました。こんな立派なプールができたのに残念です。 横浜ラボールのオープンは9月で、利用方法は、受付で障害者手帳を見せ、登録するようになるそうです。料金は無料。 以上、Iからの報告でした。
私も受傷して13年経ちました。 20歳のころ、親の苦労をよそに極道のしほうだい……車の事故でした。救急車の中で、あの母が心配そうな横顔……今も想い出されます。 『おふくろ、一度も親孝行をせずに死んでいく俺を ゆ…る…して…な!』最後の言葉…と思いきや……どこで、どう間違えたのか?!今日まで生きてきてしまった。不思議なくらい自然に、今の自分と付き合ってこられた様な気がします。枕を濡らした夜も数え切れないけどね。 今 私は…私なりの幸せを感じながら生きています。はがき通信を読んでおられる皆さんも、きっと同じ気持ちを持って生きておられると思います。 何が? 幸せかって聞かれると…困りますが…。優しい友がいて…姉弟がいる。年老いた親は、グチをこぼしながらも身の回りの世話をしてくれている。 自分は多くの犠牲の上に生かされている。自然に生きていられる生活がある。犠牲などと書くと反発をかいそうですが、でも犠牲を負わせているという気持ちはかくしきれない事実です。 向坊さんと家が近所ということで、親しくさせていただいておりますが、向坊さんは最愛の両親を亡くされてから……昼間はヘルパーさんの介護だけで、お一人で住まわれています。向坊さんのお宅に訪問させていただいた時、向坊さんが言われたひと言が『両親を大切に』 重い一言です。 私は生きていられる… 幸せを感じなければ、人間失格だね。 最近、ケガをされて不安な毎日を送っておられる方、見守っておられる家族の方私の場合“時”が少しづつですが自分を強くしてくれたように思います。あなたの愛する人も、きっと強くなります。 追伸:
TETSU−YAさん、今後の活躍!期待しています。
もっと近くだったら何かお手伝いできただろうに……うまく行かないね! では この辺で どうか皆さん おげんきで…
福岡県 KM(生年月日S34 6 26 オス)
少しふりかえると今年の夏はたいへんでしたね。8月の中旬くらいまでは夏台風のおかげで意外に涼しかったのですが、23日くらいからは思ったよりも残暑がきびしくて参りました。 今日は9月9日ですが、朝夕福岡でもようやく涼しくなってきました。 皆さんのところはいかがでしたか。なんとなく地球の気候が狂ってきたのでないかと真面目に心配しています。環境を大事にしましょう。それでは皆さん、がんばって下い。
7月から日記を付け始めました。書く内容は、その日に起こったことよりも、どちらかと言えはふと考えたことや移り行く季節のこと、そして前の晩に見た夢などについてがほとんどです。後になって、恥ずかしくていたたまれなくなるようなことや嫌な気分になりそうなことは、極力書かないようにしています。 それから特徴と言えば、これを書くときだけは絵を描いたり、手紙を書くときに使う口ではなく、手に装具をはめてもらって書くのです。毎日たったの1ページですが、全身の力を込めて、鼻息荒く、□を尖らせて綴っています。そうして、ノートの上に残された字は、それはそれは凄い字で、書いた本人でさえ読めないようなものもままあります。何かを続けて行く『根気』が昔から無い私ですので、一体いつまで続けることができるか分かりませんが、体調の許す限り続けて行きたいと思っています。 こうして、日記を書いて気持ちの整理をしたり、好きな読書や絵画を楽しんでいると時間がすぐ過ぎてしまいますが、注意が足りないと恒常的な運動不足で結構太っていることと、出っ張っているしっぼの骨のせいで、すぐお尻がいたくなってしまいます。 何かに熱中しているときに、わざわざ電動車椅子をリクライニングをさせて横になるのは本当に面倒臭いし、まして人前では恥ずかしい。だからと言って自分でプッシュアップもできないので、しばしば時計を見て横になるよう心掛けています。さもないと、後で(たいていは翌日)しっぽがまるで火傷のときのように痛んだり、足の付け根の関節や腿の裏側や腰などに圧迫感を覚えて辛くなるから。しかもその後では、かわいそうにお尻がうっすら黒ずんでしまうのです。 必死で訴えているお尻の悲鳴を聞かないで、うっかり褥瘡でも作ってしまったら、何もできずにベッドに伏せている退屈な生活が待っているだけ。それに祷瘡になると、膀胱炎がひどくなって発熱したり、便秘したりで全く良いとこ無しです。 そんな訳で、私は介助(プッシュアップ)してくれる人と一緒に外出したりするとき以外は、幾ら少しばかり手動の車椅子を漕げるようになったからとは言え、電動車椅子を使用するようにしています。手動の車椅子に何時問もじっと腰掛けているのは、私には無理みたいです。 家の中ではそうやって、電動車椅子のお世話になっている私ですが、こと外出となると通院以外なかなか踏ん切りが付かず、大きくて目立つこの電動車椅子では、なんとなく気後れして出かけられません。 特に先日、(平らなところでしか自分で漕ぐことができないので)手動の車椅子を友人に押してもらって買い物に出かけたとき、見ず知らずの子供に「変な車!」と言われた挙げ句に蹴られたという苦い経験をしたので、今後もしばらくは、電動車椅子で外出する気にはなれないと思います。それにしても気にしないようにしているのに、健常者の心無い言葉には傷付けられることって結構ありますよね。 ところで、私が使用している電動車椅子はイマセンのものですが、贅沢なことかも知れませんが正直言ってあまり気に入ってません。 だいいち、バッテリー液の補充がたいへんしづらいし、液の減り具合が分かりにくくて、よく液を入れ過ぎてこぼれた液が周りのフレームを腐食させたり、床に染みを作ってしまいます。それにリクライニングのときの音が大きいし、車体は重いし、使い始めて3年近くなりますが、パワーが落ちて来てスピードがでなくなってしまったので、バッテリーの交換までしたのですが、大して改善されなかったみたい。どこの製品も、みんなそうなのかしら。
これを購入したとき、ロールシチュ−ルに注文しましたが、注文した覚えのないチン・コントロール(顎を使って操作する)タイプが届いてしまい、病院に届けてくれたイマセンの担当者が慌てて、その場で手で操作できるように直してくれたけど、お陰で配線の見栄が良くないという代物です。
十五夜も過ぎ、虫の音とともに秋が深まって行きます。皆さんお体を大切に。さようなら。
埼玉県ET
今回の外泊では少々足を伸ばし伊東重度障害者センターに行ってきました。友人の車の助手席に乗せてもらい行ったのですが、高速道路や山道もシートがパケット気味ですので座位バランスの不安定な私でも快適にドライブ出来ました。それに3ドアで車椅子(手動)も楽に乗せられるし、ドアが大きく開き女性一人でも私を乗せることができました。 途中、厚木にある神奈川県総合リハビリテーションセンターを見学がてら、更生ホームの友人にも面会できました。話しに聞いていましたが広大な敷地に、病院を始め急性期から社会復帰までのリハビリ施設があり“総合”の名に恥じない立派な施設という印象でした。 今回の目的は、私と同じ時期に沢渡温泉病院に入院中だった友人に数年ぶりに会うことと、同じ頸損者の日常生活を見てみたい、それともちろん夏の旅行ということです。伊東重度には沢渡温泉病院から入所された方が4人ほどいて、皆さん入院中よりも腕の筋肉もつき、車椅子をこぐのも幾分早くなった気がしました。リハビリ施設も見学しましたが、パソコン・ワープロの数は驚いたものの、OT・PTはそれほど強い印象はなく、居室にしてもプライバシーや自分の時間よりも「機能回復訓練のための入所」が強い印象でした。社会復帰に関することでは、入所中に自動車教習所に通ったり、ワープロ検定試験を受けたりと、なかなか積極的でしたが、退所後それが活かされているかは、本人しだいと言う話しでした。 その日は、伊東市内のホテルに泊まりましたが、特に車椅子専用部屋というわけでもなく、あらかじめ電話で段差、エレベータの有無、ドアの広さなどを確認してから予約しました。比較的日本風の旅館よりもビジネスホテル風の方が廉価で利用しやすいと思います。
次回、はがき通信18号では、帰路に日野療護園と松井先生の研究所に立ち寄ったことを書きたいと思います。お楽しみに! 〔向坊弘道さん ご出版おめでとうございます〕 向坊さんの人生の一冊という感じで、今とまったく違うあの時代での、向坊さんの頑張りに感激しました。フィリピン障害者の家にも絶対行ってみたいものです。
9/15 カーサ・ミナノにて TF
はがき通信をいつも楽しみに待ちいろいろ参考にさせていただきながら読ませていただいています。お世話になりありがとうございます。 ところではがき通信の№16にSさんの車のことが書いてあり読ませていただきました。 主人を乗せるための車を求めなければいけないのですが、私自身が軽自動車しか運転したことがなくしかも買いもの程度で遠乗りをしたことがない状態です。 大きなワゴン車にリフターをつけるという声がありますが恐くておもいきれずにいます。 そこでさっそくSさんに問い合わせさせていただきましたところ快くお返事をいただきました。 詳しく教えていただきました折りSさんの車は神奈川リハ(注:七沢)の特許のようなものがあるらしいので他のところで作るのは……まず聞いてみないと…とおっしゃっていました。 略 作っては調整、作っては調整で完成までが長時間かかり大変そうで、熊本で作っていただくことは無理かもネと思ったりしていますが詳しいことを知りえればと思いましてたいへんお手数をおかけして申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
熊本県 市民病院 SI・M
そのうち今年4月読売新聞で報道されたことのある米国人青年を対象とした脊髄再生の手術は、「脊髄伝導路の再生を目的とした手術法の試みー末梢神経線維束、Schwann細胞、血管吻合を行った大網を脊髄欠損部に移植する方法(予報)」という演題で報告されましたが、手術結果の判定は数年の経過観察を必要とするという結論でしたし、司会の「思いきった手術」という発言などから推測して、これはまだ試みの段階の手術という印象をうけました。 数年前、NHKテレビで紹介きれたことのある機能的電気刺激については今回4つの報告があり、治療法として有効かつ安全という報告ですが、その有効性の判断は治療者側と脊損者、とくに生活者として実用的な立場とではかなり異なるのではないかと感じましたし、その実施はまだ特定の大学病院に限定きれているようでした。 またときどき問い合わせのある頸髄損傷者の異常発汗は一様ではなく、そのメカニズムもまだ充分解明されていないようですが、「異常発汗に塩酸オキシプチニンが著効を示した頸髄損傷者の一例」という報告もありました。 こうした問題はどれも短期間で解明されたり、治療法が開発されるわけではありませんが、せっかくこうした脊損者の治療を専門とする医学会が組繊されているのですから、その研究開発に当事者のニードがもっと反映きれる工夫も必要だと感じました。
FLC(Friendly Life Community 会長:金子寿)と神奈川県総合リハビリテーション更生ホーム職員有志からなる重度障害者自立支援システム研究会の研究成果がまとまり、(財)日本障害者リハビリテーション協会から発行されました。 障害当事者の立場から、自立支援を行う上で実際に参考になることを目指した報告書で、内容は在宅福祉の現状、在宅生活状況および意識調査、自立生活に関する面接調査、地域生活に向けた自立支援の事例という構成になっています。 そのなかでとくに関心を持ったのは面接調査の結果と自立支援の生活介助マニュアルでした。面接調査では単身生活者と夫婦のみで生活している車椅子使用者の日常生活と介助の工夫、緊急時の対応などが事例ごとに詳しく紹介されています。また介助や生活費なども具体的に報告きれていますので、これから地域で生活しようと考えている方には貴重な参考資料となるでしょうし、介助や看護を志す人たちにも参考文献になると思いました。なお報告書を是非とも必要ときれる方は金子さんの手元にまだ残部がいくらかあるそうですので、直接申し込んで下さい。
向坊さんは、ご自身の自叙伝ということから多少照れもあるせいか、出版のことを17号のどこかかたすみでも紹介して下さいという伝言でした。新聞記事は掲載されるつど、KSさんがファクスとコピーで松井宛に送って下さいました。その記事には「はがき通信」も向坊さんの重要な活動のひとつと紹介されていますが、それもSさんが記者の方に通信の意義を積極的に宣伝して下さったからのようです。 あとがき
*TETSU−YAさんの通信はなかなかの好評ですが、ETさんのお便りも男性に偏った通信のなかで、いかにも女性らしい優しさを感じますが、皆さんは如何でしょうか。Mさんの通信でも感じたことですが、貴重な体験を文章化することの意義というか、その役割の重要さをETさんの通信で再認識したような気がしています。MIさんの呼びかけがすこしづつ実り始めてきたようですね。 *9月上旬、約束通りFさんが私の研究室に見えました。Fさんには私が会いにいくものと思い込んでいましたし、つい最近まで行き先が決まらず心配していましたので、感無量でした。次号でどのような訪問記が寄せられるのか、楽しみにしています。 *例年でしたら台風の進路が外れるとほっとするのに、今年は外れてがっかりするほど雨不足、気が付いたときにはわが家のはなみずきやさつきの葉も枯れ始めていました。慌てて水を撒き始めたらはなみずきはなんとか持ち直しましたが、さつきは再起不能のようです。Mさんのように、地球環境の問題にもっと関心をもっていなければいけませんね。みなさん、お元気で、また11月下旬この通信でお会いしましょう。
松井
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